【浅井健一
&THE INTERCHANGE KILLS
インタビュー】
出し惜しみなくというか、
選りすぐりの3曲を出した
写真左上から時計回りに、小林 瞳(Dr)、中尾憲太郎(Ba)、浅井健一(Vo&Gu)
約2年半振りとなるシングル「TOO BLUE」。浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSでは初となる浅井健一(Vo&Gu)と小林 瞳(Dr)の共作「送る歌」を含む3曲を収録した同作のことをはじめ、新たなスタイルを取り入れて変化を続けるバンドの今、そして音楽家としての心境について浅井に語ってもらった。
ツアーがなくなっちゃったから
制作活動を集中してやっていた
自粛期間がありましたけど、元気にされていましたか? また、期間中となる4月や5月頃は何をされていたんでしょうか?
全然、元気でしたよ。6月10日に『神様はいつも両方を作る』という本を出したんだけど、その本をまとめ上げていました。あと、9月8日に出したインストゥルメンタルアルバム『SPINNING MARGARET』(SHALLOW WELL名義)を小林 瞳ちゃんと一生懸命作っていましたね。それで結構忙しかった。
浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS(以下、KILLS)としてリリースされる今回のシングル「TOO BLUE」の制作はいつ頃から始められましたか?
4月ぐらいかな? インストゥルメンタルアルバムと同時くらいでしたね。KILLSのアルバムも作っていて、3つ同時にやっていたから…忙しかったね。
それは忙しくて、自粛どころではないですね。
ツアーはなくなっちゃったけど、制作活動はできるじゃないですか。なので、集中してやってました。
昨年のツアー以降、ライヴをやっていないということですか?
今年の2月8日にポツンと一本だけ渋谷であって、それ以来ライヴはできてないね。
半年以上になりますね。やっぱりライヴはやらないとウズウズしてきますか?
やらないと、なんか寂しいよね。
僕らも寂しいですよ。
“どうなっちゃうのかな?”って感じだよね。(配信ライヴフェスの広告を見て)これは、配信ライヴがあるの? チケットを売って、配信でライヴをやるわけ?
そうですね。チケットを買ってオンラインでライヴを楽しむかたちになります。
すごいね。ライヴのあとも2週間くらいは観れるってことか。
アーカイブもありますね。いろんなアーティストが始めてますよ、配信ライヴもフェスも。
初めは盛り上がるけど、2回目以降から盛り下がるらしいよね。
あぁ、そんな話も聞きますよね。
みんなの熱が冷めきっちゃうのが寂しいよね。俺は配信ライヴに関してはやりたくないな。
そうですか。で、話は戻りますが、から先行リリースというニュアンスになるんでしょうか?
アルバムを出すのにあたって、やっぱりツアーができる状態で出したいからタイミングが見えなくて。でも、シングルは出し惜しみなくというか、選りすぐりの3曲を出したって感じです。
3曲とも全然キャラが違うので、カッコ良かったです。こういう時期だからこそ、みんな新曲に飢えていたと思うのでちょうど良かったんじゃないかなと。
そうだね。みんな普通にアルバムとか出してるのかな?
いや、4月や5月とかに出す予定だったアーティストは延期をしていますね。その時に出してもCDショップが動いてないとか、流通が止まっているとかで。そういう問題もありますからね。
大変だよね。でも、冬に向かってコロナの人口も増えちゃうかもね。またぶり返すというか。
確かに。そこは気になりますね。
俺の身近には感染者がいないけど、もはやみんなの意識が緩んじゃってるよね。感染者の人数も少し減ってはきているけど、完全に麻痺しちゃってる気がする。ちゃんと家にいるようにしている?
私はしていますね。この機会に断捨離をしました。
いいね。少しずつでも捨てていかないとダメだよな。
確かに溜まりますからね。今回のシングルの楽曲を作ったのは昨年になるんですか?
「TOO BLUE」は昨年に片鱗ができて、ツアー中に未完成のまま宇宙語で歌ってたりしたね。歌詞ができてちゃんと作ったのは今年の3月くらい。「JODY」は「TOO BLUE」超えをしようっていうことで、今年の6月にスタジオに再度入って録り直したんだ。「JODY」もすごく気に入っていたけど、「TOO BLUE」のほうがキャッチーだと思って表題曲になったんですよ。
そうですよね。タイプが全然違う曲ですし。
あと、「送る歌」は今年の春くらいかな? リズムは打ち込みで作って、瞳ちゃんがベースラインを作るとどうなるんだろうと思い、瞳ちゃんとじっくり作った曲ですね。ベースは実際に弾いてみるととても難しいと実感しました。憲太郎がスーパーなのがよく分かりましたよ。
私は『METEO』(2017年3月発表のアルバム)の時にもお話をうかがったんですが、まだバンドが始まったくらいの時でしたね。
その時はまだ瞳ちゃんがドラムのみの人だと思ってたんですよ。でも、彼女にはいろんな才能があって、年月とともにだんだんとそれが分かってきてね。その才能を使わないのはもったいないと思って。
あの時はコーラスの音源も浅井さんがやってるという時でしたからね。“照れちゃって歌ってくれない”みたいなことをおっしゃられてましたから。それにしても、「TOO BLUE」もいい曲ですよね。楽器の音色がリアルでとてもカッコ良いです。ものすごくこだわってる感じがしました。
昔ながらのやり方なんだけど、今はアンプとかも周りのサウンドが良くなっているのかな?
そうだと思いますよ。耳元で鳴ってる感じがすごかったです。
じゃあ、エンジニアの録り方もうまいかもね。あと、ミックスをしてくれたニシカワくんもかなり感覚が鋭いんで、ミックスがいいのかもしれないな。
基本的にこのバンドは一発録りですよね?
KILLSは一発録りだね。でも、「送る歌」は違うんだけど。
歌詞につながるところもあるかもしれませんが、本をとても楽しませてもらいました。言い方が合っているか分かりませんが、細かい構成になっているからパッと目に入るページでも、今日の気分でパラパラと読めるし、いい意味で気楽に接することができる一冊だと思います。
ありがとう。そうだよね、バラで読めるんだよ。あれは自分で読んでても面白いと思う。
あの本は日記になるんですか?
日記の部分もあるし、世の中に対する文句もあるしさ。
結構出てきましたね(笑)。それで「TOO BLUE」の歌詞にも《始まりなんだね だから老人は/この世で一番 始まりに近い》と出ていますが、それは本にも書いていたので。
何個かシンクロしてる部分があるんだよね。同じ時期に作っているからダブっちゃう。
《世界が壊れるって みんな言ってる》なんかは今の状況とシンクロしたりして。もっと前に書いていた歌詞じゃないかとは思いますが。
いや、これに関しては、恐らくコロナウイルスが出てきてからかな?
何か世界への警告のようにも感じました。
俺は何かを警告するような、そんな偉くないから。
でも、本を読んでると環境のことについてすごく気にされてますよね。心地良い暮らしについてという点で。
この歳になると自然にそうなるけどね。世界情勢のこととか。日本人はみんな平和の中で暮らしてるし、戦争を知ってる人はほとんど高齢になっちゃたでしょ? だから、今から戦争を知らない人だらけになるじゃん。警戒心もまったくないから怖いと思うんだよね。そんな政治的なことばっかり言ってるとうざがられちゃうよな。
そういう大切なことは話したほうがいいと思うんですけどね。
最近そんなことばっかり言ってるんだよ。
本にも結構出てきましたからね。でも、淺井さんの意見は生活感覚が出てきているから哲学という感じがしないです。「TOO BLUE」で言うと《この地球に 悪いぜ》という言葉もすごく染みましたし、自然に感じました。そして、2曲目の「JODY」のタイトルですが、これは人の名前ですか?
そうだね。なんだろ? 架空の人の話というか。
そういうイメージで作った楽曲なんですね。同じリフでずっと流れていく感じですが。
先にメロディーがあって、一生懸命そのメロディーの中で活きる言葉を探していたらそういうかたちになったってことだね。
浅井さんらしいカッコ良い言葉とメロディーですよね。ライヴでもハマる曲だと思います。
ライヴがいつ頃にできるか分からないけどね。みんなライヴは少しづつやっているのかな?
基準に沿ったかたちでライヴをやってる人がいますね。
だんだんと規制は緩くなってくるのかな?
とりあえず、今はお客さんの数を半分にしてというのもあります。動いちゃいけないとか声を出さないとか、難しいことを言われるのでどうなんでしょうね。
じゃあ、こっちで得てる情報をほとんど一緒だね。
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