【LOVE PSYCHEDELICO
インタビュー】
20年前の自分たちも
喜んでくれそうな新曲

L→R NAOKI、KUMI

デビュー20周年を迎えたLOVE PSYCHEDELICOが配信シングル「Swingin’」(ドラマ『行列の女神〜らーめん才遊記〜』オープニングテーマ)を発表。先駆けてリリースされたアルバム『Complete Singles 2000-2019』、DVD&Blu-ray『Premium Acoustic Live “TWO OF US” Tour 2019 at EX THEATER ROPPONGI』などにも触れつつ、ふたりにたっぷりと話を訊いた。

当時の心境を知りたい
アプローチがあったりする

アニバーサリー作品のリリースに向けていろいろ振り返る中で、どんなことが印象深かったですか?

KUMI

まずはシングル集(『Complete Singles 2000-2019』)ですね。今回は全曲聴き直して、リマスタリングをしました。カップリング曲は久しぶりに聴いたものも多くて、“どうなってたかな?”と少し不安に思うところもあったんですけど、どの時代の楽曲も“あぁ、ちゃんと作ってたんだな”って思えて良かったです。

NAOKI

もちろんレコーディングのスタイルは時代によって違うし、1stアルバム(2001年1月発表の『THE GREATEST HITS』)の頃の音源は学生時代のデモテープをミックスし直したものだったりして、プリミティブな曲もあるんだけど、若いなりにその時の環境や機材でちゃんと頑張ってたんだなって(笑)。デビューシングルのカップリング「Low」とか、今回聴き直してすごく好きだなと思いました。

KUMI

私は「This Is A Love Song」が新鮮でした。これまでライヴでもなかなかやる機会がなかったので。

NAOKI

そもそも自分たちの楽曲をそんなに聴き返すほうじゃないしね。旅行する時なんかに思い立ったように聴くことはあるけど(笑)。あとは、「Amp’ Box」とかかな。

KUMI

この曲は作った時に“すごいのができた!”って盛り上がって、世の中に出したらきっと話題になるだろうと思ったら全然ならなくて(笑)。

NAOKI

リリース当時の取材でも「Amp' Box」のことはほとんど訊かれなかったよね(笑)。

少しくぐもった音も含めて、すごくクールな曲だと思います。

KUMI

はい。今回聴き返してみたら“やっぱりカッコ良い!”って思いました。歌詞の佇まいもいいよね。

NAOKI

当時、あれは発明だと思った。エリック・クラプトンの「Lay Down Sally」とかも聴き返すと面白いカバーだったね。カップリングとしてリリースした曲でもオリジナルアルバムに入れようとしていた曲がいくつもあるので、もう一度こうやってスポットを当ててもらえるのは嬉しいです。

例えば「Right Now」(2005年6月発表のシングル)の頃ってLOVE PSYCHEDELICOが自分たちのスタジオを作る時期じゃないですか。そういう変化を迎えてるあたりの音源はより独特の生々しさがありました。

NAOKI

今聴くとアレンジが斬新すぎて“どんな気持ちでこういうことをやってたんだろう?”ってなる曲があります(笑)。当時の心境を知りたいアプローチがあったりする。

KUMI

音作りを何かと試してる時期だったね。

NAOKI

いろいろ面白いですよ。シングルのA面の曲でも「C'mon, It's My Life」なんかは、このバージョンがCD化されるのは初めてで。オリジナルアルバム(2017年発表の『LOVE YOUR LOVE』)の時のミックスはもう少しユーモアが欲しくて自分たちでやってるんだけど、今回入っているシングルバージョンはドラムがもう少し立ったロックな表現ですね。

そして、『TWO OF US』の映像作品とアナログ盤では、昨年行なったツアーとスタジオセッションの模様が楽しめると。

NAOKI

『TWO OF US』のツアーはいろんな観せ方や音のブラッシュアップを積み重ねながら20本回ったんですけど、これだけ長く活動してきてもコンサートスピーカーを独自で作るとか、なかなかできない新しい体験がまたできた喜びもあったし、何より誤魔化しがきかないアコースティックショーをふたりだけで表現しきれたのが、音楽家として自信になりましたね。

KUMI

映像作品のミックスも自分たちのスタジオで全部手がけて、とても充実したツアーでした。

アレンジも原曲からかなり変わってて。

KUMI

ふたりだけで演奏するから、ギター2本でコードだけジャカジャカ弾いて歌っても曲は成り立つけど、それだと面白くなくて飽きちゃうでしょ? リアレンジのためにもう一回もとの楽曲を聴いて、どこの音やフレーズを一番聴かせたいのかを考えて、相応しいアレンジ、演奏楽器を決めていきました。

NAOKI

曲作りみたいなリハーサルだったよね。最初はギターを持って始めるんだけど、途中でKUMIから“私、マンドリンにしてみようか?”と提案があったり。そんなやり取りで進んでいくっていう。

KUMI

“この曲はもっと低音があったほうがいいからマンドリンじゃないかもね”とか話しながら。

アナログ盤のスタジオセッションについてはどうですか?

KUMI

VICTOR STUDIO 302でライヴレコーディングをしたんですけど、こちらもすごくいい音で録れました。

NAOKI

うん。ライヴ演奏なんだけど、ギターにもマイクを立てて、スタジオの空気をやさしく封じ込められました。ここ数年、ふたりともレコードに対する耳のほうが日常に近くなってたので、そういう意味でリリースのタイミングも最高で。盤面の真ん中に貼ってあるラベルとかジャケットの紙の質感とか、納得がいくまで丁寧に作れたことも良かったですね。

アーティスト