ストレートなハードロックで
勝負したカクタスの
傑作デビュー盤『カクタス』
強靭なリズムセクション
現在50歳代半ば以上のロックファンは、僕のような経験をした人が多かったはずだ。それぐらい、ボガートとアピスのプレイには引き込まれた。今から思えば、彼らはハイレベルのテクニックだけでなく、観ている者を魅了するような“演出”を心がけていたのだろう。当時、ロックグループにおいて、ベースとドラムなどのリズムセクションは、ヴォーカルやリードギター(スタープレーヤー)より前には出ないという暗黙の了解のようなものがあり、それは最強のロックトリオと言われたクリームや、ツェッペリンやディープ・パープルでさえもそうではなかったか。ベースソロやドラムソロで、すごいテクニックを披露することはあっても、あくまでもそれは一部分のコーナーにすぎなかった。ボガートとアピスはスタープレーヤーと同レベルで演奏をリードするという恐るべき自己顕示的なスタイルで、ロックにおけるリズムセクションの立ち位置を大きく変えたのである。
しかし、そういった彼らの持ち味はグループ内の葛藤・分裂につながる場合も多く、現にB.B&A時代のベックはギターソロの途中で割り込んでくるボガートの音数の多いベースに嫌気がさし、カクタスのジム・マッカーティもメンバーの全員が目立ちすぎるという理由でグループを脱退しているくらいなのである。
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