【ライブレポート】the pillows、30
年の集大成「俺たちの音楽を受け取っ
てくれよ」
◆ライブ画像
オープニングは、会場の大型LEDモニタにメンバーの幼少期の写真が映し出され、それと同時にそれぞれの母親の肉声メッセージが流れる。母親達は、the pillowsが30年続いた理由を「ファンあってのこと」とそれぞれ語り、演奏が始まる前から会場に集まった12000人の涙を誘った。
映像が終わると「聞こえてくるのはキミの声 それ以外はいらなくなってた」というヴォーカル・山中さわおのアカペラが鳴り響き、ステージセンターのロゴ看板が光を帯びる。バンド演奏が始まると同時に赤い幕が開いてメンバーが姿を見せ、「この世の果てまで」で公演開幕だ。
ステージの後方にもLED画面が掲げられ、続く「MY FOOT」「Blues Drive Monster」と曲に合ったCG映像も展開される。最初のMCでは山中が「集まってくれてありがとう。俺たち、30年間ロックバンドを続けてきたんだ。今夜はその集大成。俺たちの音楽を受け取ってくれよ。」と語り、「アナザーモーニング」「スケアクロウ」と代表曲が演奏される。中盤「サリバンになりたい」のCGでは70年代サイケデリックなオイルアートや、「Please Mr. Lostman」ではジャケットで馴染み深い枯れ木と夕暮れ的な映像が照明と相まって、普段のライブ以上に言葉が突き刺さってくる。
メンバー紹介を挟んだ後に演奏されたthe pillowsで最初のバンドソングであろう「Swanky Street」では後ろに掲げられていたLED画面がなくなる。残った照明だけのシンプルな演出は、バンドが背負った30年の歴史を感じさせるに相応しいシーンとなった。「About A Rock’n’Roll Band」「LITTLE BUSTERS」「Ready Steady Go!」と、この日一番の盛り上がりを見せて本編が終了した。
20周年で日本武道館をソールドアウトさせたバンドは、この30周年で過去最大規模のキャパシティである横浜アリーナを成功に収めた。1997年に発表しライブアンセムとしても歌い続いけられている「ハイブリッド レインボウ」の一節「限界なんてこんなもんじゃない」という言葉を自ら体現するように、ファンに力強い姿を魅せてくれたthe pillows。終演後、彼らに出会えた幸せを噛み締めるように、晴れ晴れとした顔で帰路につくオーディエンスが、特に印象的だった。
◆ ◆ ◆
photo by 橋本塁(SOUND SHOOTER), 玉井 信吾
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