【スターダスト☆レビュー
インタビュー】
自分たちのバックボーンは
ちゃんと見せていきたい
L→R 寺田正美(Dr&Vo)、林 ”VOH” 紀勝(Percussions&Vo)、根本 要(Vo&Gu)、柿沼清史(Ba&Vo)
アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』エンディング曲という、デビュー38年にして初のアニメタイアップ曲「うしみつジャンボリー」。昨今のアニソンの潮流とは異なり、あえて完全に原作の世界観に寄せているのも印象深い。裏打ちのリズムも心地良い軽やかなカリビアンサウンドの上、鬼太郎とそのファミリー観、そして妖怪との共存讃歌が歌われている。そんな同曲ついて根本 要(Vo&Gu)が語ってくれる。
『ゲゲゲの鬼太郎』らしい曲を
作りたくなっていった
「うしみつジャンボリー」はミュージシャンが担う昨今のアニメ主題歌の潮流である、自身の楽曲の世界観にアニメを寄せていくタイプとは対照的に、完全に『ゲゲゲの鬼太郎』の世界観にバンドが寄っているのも特徴的ですね。
そうなんです。当初は『ゲゲゲの鬼太郎』をあまり意識しないで自由に作っても大丈夫との依頼でした。これを受けて改めて過去の起用曲も聴かせてもらったんですが、僕的には逆にいかにも『ゲゲゲの鬼太郎』という曲を作りたいって思ったんです。「鬼太郎讃歌」というか。当初の仮タイトルは“妖怪讃歌” でしたからね。作っている時に妖怪と鬼太郎たちが仲良く共存している光景が思い浮かんできて、“ジャンボリー”と名付けたように仲間たちが集まってくる感じの楽曲を作りたいというのがありましたね。さらにできるだけ分かりやすいメロディーと歌詞を作ろうとしてたら、あのメロディーが歌詞と同時に浮かんできたんです。
どうしてこれほどまでに鬼太郎の世界観寄りに?
利用させて頂けるものは利用させていただく(笑)。僕らと鬼太郎を天秤にかけた時に、どう見ても僕らが鬼太郎に寄ったほうが得策ですから(笑)。スタ☆レビの音を知らない方にも、知ってもらえる可能性がある。僕らのファンよりも鬼太郎ファンの方が圧倒的に多いし、幅も広いでしょうからね。
でも、他はきっともっと折衷にすると思うのですが。
確かにそういう考え方もあると思うけど、今回はこれが僕らの折衷案(笑)。スタ☆レビらしさは自然と滲み出てるぐらいでいいだろうと。鬼太郎というモチーフの中で僕らがどれだけ遊べるか、それぐらいのほうが美しいんじゃないかなって。楽曲の素晴らしさよりも歌詞とメロディーとキャラクターがくっついて、すごく面白い曲、楽しい曲、それで十分なんだと思い至ったんです。
サウンドもカリビアンサウンドだし、すごく軽やかで心地が良いです。
今作のプロデュース兼アレンジャーの佐橋佳幸が持ってきたアイデアは『ひみつのアッコちゃん』のエンディング曲「すきすきソング」なんですよ(笑)。あのロックンロール調のね。というか、それよりも当初はドドンパ(マンボを日本独自に解釈したリズム)をやってみたかったんです。アニメ界では誰もやってないし、音頭になるとお祭りになっちゃうけど、もう少し複雑なリズムにしたくて。
ドドンパは日本独自のリズムですからね。日本の土着性あふれる妖怪とはベストマッチです。
挑戦はしてみたけど、あまりいいのができなくて。実は勝手に、小林幸子さんに自分プロデュースでドドンパを歌ってもらうことを妄想していた時期があって(笑)。で、バックをスタ☆レビが務めるという。ドドンパをもう1度流行らせたい願望が自分の中では常にあるんですよ。
でも、この「うしみつジャンボリー」の歌詞はすごく含蓄があります。
僕が今回の曲で描こうと思ったのは勧善懲悪の鬼太郎ではなく、妖怪と共存する世界。きっと人の心にも妖怪は住んでいて、同じように鬼太郎も住んでいるんですよ。善も悪も時代や見方によって変わるもの。でも、自分の信じる善をちゃんと求めて生きたい。そんな気持ちと、やっぱり“人生楽しく生きていきたい”っていう想いから、鬼太郎とそのファミリーの関係も盛り込んでみました。
その重いテーマをあえて軽く伝えているところも、この楽曲の特筆すべき部分かなと。そんな中、ドゥーアップやアカペラを上手くその中に交えているところにスタ☆レビのアイデンティティーを感じました。
僕らのサウンドの肝はコーラスだと自負しているし、さらに今まで影響を受けてきたサウンドを自分たちなりに昇華して、ブレンドしたくなっちゃうんですよ。“こんなサウンドもあるんだよ”“この曲は実はこれが下敷きにあるんだよ”とかね。今回の下敷きはPoul Simonの「Mother And Child Reunion」とThe Beatlesの「Ob-La-Di, Ob-La-Da」、いわゆるまだ世の中がBob Marleyを知る前の白人レゲエです。スタ☆レビのサウンドはいつもモノマネ (笑)。僕らが聴いてきたサウンドが必ず下敷きになってます。ここ数年、佐橋と組むようになってからその思いがますます強くなってきてますね。自分たちのバックボーンはちゃんと見せていきたい。その気持ちは常に持っています。
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僕の中にも伝えたいことがあると改めて気が付いたアーティスト
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