L→R 寺田正美(Dr&Vo)、林 ”VOH” 紀勝(Percussions&Vo)、根本 要(Vo&Gu)、柿沼清史(Ba&Vo)

L→R 寺田正美(Dr&Vo)、林 ”VOH” 紀勝(Percussions&Vo)、根本 要(Vo&Gu)、柿沼清史(Ba&Vo)

【スターダスト☆レビュー
インタビュー】
自分たちのバックボーンは
ちゃんと見せていきたい

僕の中にも伝えたいことがあると
改めて気が付いた

それが単なるカリビアンサウンドで終わらせない、独特のスタ☆レビらしい楽曲になっているメカニズムなんでしょう。移って、M-2の「泣きたいなら」もむちゃくちゃシンプルながら全てを伝えているかのような楽曲ですね。どうしてこのタイミングに改めて?

元々は僕が島谷ひとみさんに2008年に楽曲提供をした曲のセルフカバーなんです。作詞は松井五郎君なんだけど、その松井君の作詞した色んな曲を歌うコンサートというのがあって、僕もそこに呼ばれたんですね。実は、その1ヶ月前に、僕が応援している歌手の女の子がこの曲を偶然にも歌っていて。だけど、その時はそれが自分の曲だってことをすっかり忘れてて、“いい曲だな~”って聴き惚れていたんです(笑)。その後、松井君のライヴでこの曲を歌ったらなかなか良くて。そしたら、佐橋が僕と一緒にやっている“本日のおすすめ”というユニットでもやろうって話になり、彼のアコギ1本で歌うことになったんです。でも、実はこの歌、リハーサルのバージョンなんです。

リハーサル!?

そう。佐橋とのライヴのリハを録っていたんだけど、それがすごく良かったから、そのまま使っちゃいました(笑)。おそらくスタジオで歌っていたら、こうはなってなかったでしょうね。バンド名義なのに僕と佐橋とパーカッションだけですし(笑)。今のスタ☆レビはそれが許されるんですよ。「うしみつジャンボリー」の明るいバンドのサウンドと、歌を前面に“聴いてください!”と言わんばかりの「泣きたいなら」のこの2極。これが同居できるのが、40年以上やっているバンドの強みですから。

それにしてもこの2曲の歌詞はそれぞれシンプルながら考えさせられたり、染みたりします。

その感想は嬉しいですね。「泣きたいなら」は松井くんの歌詞ですけど(笑)。ほんと彼はいい詩を書きますよね。実は僕、カラオケに行くようになって、歌詞の重要性に改めて気付いたんですよ。いわゆる目で歌詞を追わせる重要性というか。

目で歌詞を見せる?

そう。カラオケって聴いてる人はずっと歌詞を追ってますからね。歌詞が良ければ、例え本人が歌っていなくてもヒットの可能性がある。対して、僕らは自分たちで歌うことでしか音楽を表現できないと思っていたし、さらに“サウンドあっての音楽だと。歌詞は二の次”と思ってましたから。だから、スタッフから常に歌詞が弱いと言われ続けていて。結局当時のシングルはほとんど作詞家の方に提供してもらってました。

そこから歌詞の重要性に気付き、そちらにシフトしていったのは?

15年ほど前に、僕らの知らないスタ☆レビを見つけてもらおうと、例えば後ろ姿って自分で見えないですよね。でも、確実にそれも自分なわけで。そんなスタ☆レビをプロデュースしてもらおうとお願いしたのが熊谷 昭さんで。その影響はとても大きかったですね。アルバム用に曲を出したらほとんどがオーケーなのに、歌詞を見てもらったら、“要さん、これ全然面白くない。普段あんなに面白い話が次から次へと出てくるのに、なぜ歌詞はこんなにも帳尻合わせなの?”って。その頃、目指す音とか生き方とか、“バンドとは?”なんてことをずっと熊谷さんに話していて、“あなたのしゃべっている言葉をそのまま歌詞にしてください”って言われたんです。その時に“なるほど!” と思いましたね。確かに日常でこれだけいろいろなことを吸収して、情報が入ってくるんだから、僕の中にもいろいろと言いたいこと、伝えたいことがあると改めて気が付いたんです。そこから歌詞に対する意識が変わりましたね。その時の気付きがなければ以後の自分の歌詞はないし、「うしみつジャンボリー」みたいな歌詞も生まれてこなかったでしょう。

でも、それをバシッと伝えずに、あえて聴き手に余白や行間、余韻を残し、委ねている印象もします。

それはありますね。僕が好きなのは、例えばラーメンなら、みそ派、しょうゆ派、塩派のようにひと味での勝負ではなく、それらがブレンドされて食べているうちにみその味もしょうゆの味もしてくるっていう。最終的に何味なのかは食べてる本人に任せたいってことです。でも、美味しくなきゃ意味ないですけどね(笑)。

OKMusic編集部

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