【内田雄馬 インタビュー】
自分のことを少しでも
肯定する気持ちに
なってくれたら嬉しい
内田雄馬
声優の内田雄馬の3rdシングル「Speechless」は、自身が主演を務めるテレビアニメ『この音とまれ!』のエンディングテーマとしても話題のさわやかで包み込むような表題曲の他、R&Bテイストのバラードやライヴ向けのナンバーも収録。彼の想い、趣味趣向も詰まった同作について語ってもらった。
“言葉以上のもの”という気持ちで
歌わせていただきました
昨年5月の1stシングル「NEW WORLD」は壮快で青い空が似合う楽曲で、9月の2ndシングル「Before Dawn」はアッパーの力強いサウンドの楽曲でしたが、ニューシングル「Speechless」はどんな曲になりましたか?
今回はアニメ『この音とまれ!』のエンディングテーマとして制作しました。これまでの表題曲にはダンスミュージックの要素を取り入れていましたが、今回はギターロックのサウンドになっています。『この音とまれ!』は高校の箏曲部を舞台にしているので、弦楽器をフィーチャーすることで箏を連想してもらえたらなと思って、ギターをメインにしたサウンドになっています。
アニメのタイアップは初めてとのことで、しかもご自身が出演されているアニメというのは特別な気持ちですか?
やっぱり特別です。自分自身もアニメを観て育って、当時好きだったアニメの曲を聴くと、今でも一瞬でその当時の自分に戻れる感覚があるんです。自分の歌がそういうものとして、誰かの中に残ってもらえると思うとすごく嬉しいです。第1話が放送された日も“どうだったかな? 喜んでもらえたかな?”と本当にドキドキしました。
“Speechless”というタイトルには“言葉では言い表せないもの”や“声で表現できない状態”といった意味があるのですが、このタイトルについては?
アニメの物語には思春期の高校生がたくさん出てきますが、自分の言葉で気持ちを表現するのが苦手な子ばかりなんです。そんな子たちが箏や音楽を通して、相手の思いやる気持ちを感じていくんですね。ある意味で“箏”という言語といいますか、言葉じゃない言語で相手を感じている姿と、“Speechless”というタイトルがマッチしていると思いました。僕としては“言葉以上のもの”という気持ちで歌わせていただきました。
言葉を扱う声優である内田さんが、“Speechless”という曲を歌うところに意味を感じますね。
僕ら声優は言葉の向こう側にある気持ちを普段のお芝居で意識しているので、そういう意味では誰かとしゃべったりコミュニケーションする時の、大切で本質的なものを思い出させてくれますね。
歌詞からは内田さんの音楽活動に対する気持ちも感じました。例えば《楽しんだもの勝ち》とか《僕は僕にしかない音 信じて》とか。
みんなに楽しんでもらうためには、まずは自分が楽しむことが大事だと肝に銘じているんです。最初に自分の音楽活動に対する気持ちを伝えていたので、自分の気持ちをたくさん汲み取って詞を書いてくださったと思います。あと、アニメの中で自分自身を肯定できないでいるシーンがあるのですが、それは僕の経験も含めて思春期には誰でも感じることだと思うんです。でも、裏返せば、それがその人の個性でもある。“あなたにしかできないことがあるから、それをあなた自身のやり方で表現すればいいよ”と気持ちを込めているので、悩みや葛藤を抱えた人がこの歌を聴いて、自分のことを少しでも肯定する気持ちになってくれたら嬉しいですね。
歌声が前シングルの2曲よりも空気成分が多めで、ふわっととしたやさしい雰囲気があると思いました。
ディレクションしていただきながら、すごく試行錯誤してこういう声と歌い方に辿り着きました。最初は前シングルの2曲と同じようなアプローチで臨んでいたのですが、今回は主観的な立場よりも世界を広く見ているような俯瞰的な視点が欲しくて。なので、世界が横に広がっていくようなイメージを持って歌わせていただきました。でも、同時に前のめりに進んでいくロックの力強いニュアンスも欲しかったので、やわらかさとリズムに乗ったグルーブを両立させるのはかなり難しかったです。歌っては聴いてを繰り返し、“こうかな?”“これかな?”と何度も試行錯誤しながら、かなりの数のテイクを重ねて、ようやく納得のできるものを録ることができました。
俯瞰的な視点というところで、何か具体的にイメージしたものはありましたか?
作品の登場人物たちのようなことが自分にもあったな。僕自身は学生時代に吹奏楽部に所属していて、コンクールに向けてみんながひとつになる経験やその楽しさを体験しているので、その当時のことを振り返りながら、アニメの登場人物をやさしく包み込んでいるような感覚でした。
サビの勢いは部活動の情熱や汗を感じさせますね。
そこは意識しました。部活って学校にいる時間だけじゃなくて、家に帰ってからも練習したり考えたりするから区切りがないといいますか、終わらないものだと思うんです。そういう止まらず前のめりに進んでいく感覚が、サビで表現できていたら嬉しいです。アニメのエンディングとしてもこの曲が流れて終わりじゃなくて、翌週の放送に向けた楽しみの始まりと感じていただけたらいいなと。
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