【LUNKHEAD インタビュー】
『plusequal』は
すごい泥臭いアルバムになった
L→R 桜井雄一(Dr)、小高芳太朗(Vo&Gu)、合田 悟(Ba)、山下 壮(Gu)
結成20周年を迎えたLUNKHEADが12枚目となるアルバム『plusequal』を完成させた。3カ月連続で出した先行配信シングルでも攻めの姿勢がうかがえたが、まさに20周年だからこその覚悟や反発がみなぎる作品に仕上がっている。
売れないし、
新曲を作るのが嫌になった
前アルバム『アリアル』を作ったあと、1年以上も曲が作れなかったそうですね。何か理由が?
小高
モチベーションの低下ですね。売れないし、新曲を作るのが嫌になったんです。
山下
横で見ていて、苦しそうだなと思ってましたね。でも、そこは信じて待つしかないんで。
合田
会場限定CDを持ってツアーを回ったり、ライヴもやってたから、バンドとしてはずっと動いていたんですよ。でも、そろそろ新しいアルバムを作りたいとは思っていたので、小高が作り出すのを待ってましたね。
小高
そうそう、ライヴはずっとやってたんですよ。で、会場限定CDっていうのが『REACT2』というセルフカバーアルバムだったんです。そのツアーが『アリアル』の時のツアーよりも動員があって、“もうこれでいいんじゃね? 次は『REACT3』でいいんじゃね?”みたいな。それでいいんだったら、もう新曲を作るモチベーションも沸かないですよね。
昔の曲のほうが盛り上がったりするし…
小高
ライヴは新曲のほうが盛り上がるんです。待っててくれる人はいるんです。けど、結果がついてこない。アルバム1枚分の曲を作って歌詞を書くのって、結構擦り減る作業なんです。メンバーもそれぞれアレンジを考えるし。だから、作った以上は見返りが欲しい。
『REACT2』は2年前の作品になるわけですが、そこから新しい曲をライヴでやりたいという想いは沸かなかった?
小高
なかったです。新曲を出す意味って、焼き直しをやっても仕方ないし、新しい俺らを見せないといけないわけじゃないですか。それって怖かったりもするんですよ。新しい自分らにがっかりされたくないし。あと、やっぱり新譜を出すことによって離れていく人が一定数いるんですよ。だったら、絶対に盛り上がると分かっている昔の曲をやったほうがいいし、俺らもリスクが少ない…って思ってた時に、「未来」という曲ができたんです。それが一昨年のことで、つばきの一色くん(一色徳保、2017年5月に脳腫瘍のため逝去)のことを思った曲なんですけど、フッとできたんですよ。誰かに聴かせるとか、新しい俺らを見せるとか、そういう気負いもなく。だから、これはLUNKHEADの曲じゃないと思ってたし、ソロの弾き語りで歌ってたんですけど、新しい言葉と新しいメロディーが自分の中から生まれたっていうところで、今まで詰まっていた栓が抜けるように、そこからなんとなくデモができ始めたんです。で、そのタイミングで2018年というのは結成20年目になるから、プレ20周年的に盛り上げていこうっていう話になって、それには新曲が必要なんじゃないかってことになり…俺らって全員そうだと思うんですけど、決まった途端にやる気が出るんです(笑)。新曲を出す! 新曲を出さざるを得ない! 新曲を出さざるを得ない以上、すごいものを作らないと意味がない!…って感じで、そこで火が付いたんです。
となると、作る曲も20周年をどこかで意識していたり?
小高
まぁ、そうでしょうね。まさに「アウトマイヘッド」や「はじまれ」とか。「心音」はまた一色くんの歌なんですけど。
でも、このアルバムの核は「心音」だと思ったんですよ。歌詞的にはバンド仲間だった一色くんを歌ったものだけど、彼の想いを背負った感じがあるし、同世代のバンドの想いも背負ってるとも思わされたし。あと、今回のアルバム自体が光を掴みに行っているというか、光を睨み付けるような強さも感じて、その覚悟みたいなところともリンクしているというか。
小高
意識はしていなんですけど、自分たちのモードが反映されてるんでしょうね。それは自分でも思います。20周年で腐ってる場合じゃないっていう。
そんな小高くんから曲があがってきた時の他のメンバーの感想は?
合田
どれもいい曲だと思いました。一気に曲があがってきたんで、そこからどうするかって感じだったんですけど、どの曲を配信で出そうとか、アルバムに入れようっていうのは、結構すんなりと決まりましたね。
山下
先行配信で出した「心音」「アウトマイヘッド」「はじまれ」が上がってきた時、また新しい感じがあった…特に「アウトマイヘッド」には今までないものを感じましたね。具体的に次のアルバムをいつ出すとかは見えてなかったんですけど、いいアルバムになる予感はしていました。
小高
「アウトマイヘッド」は最後にできたんですよ。それまでは「心音」「はじまれ」「小さな反逆」の3曲を配信で出そうって言ってたんです。でも、「アウトマイヘッド」ができた時、“いや、これでしょ!”って。
山下
3曲なんで、1曲はしっとりとしたものでもいいかなと思ってたんですけど、攻め攻め攻めでいこうって。
小高
タイプの違うイケイケの曲だったんで。でも、その次のツアーの会場限定シングルを「小さな反逆」にしたのが、結果的に良かったですね。
うんうん。今のバンドの覚悟みたいな曲でもあるので、アルバムへの流れを作ってますよね。
小高
そうですね。自分らの真ん中にある、揺るぎないものを磨き上げて出した、新しいLUNKHEADみたいな感覚がありました。“確かにLUNKHEADなんだけど、新しいだろ?”っていう。だから、「心音」「アウトマイヘッド」「はじまれ」を配信で出して、「小さな反逆」を会場限定シングルで出したんですけど、この4曲に対するファンの評価がめちゃくちゃ高くて。みんな“次のアルバムはヤバいぞ!”みたいなツィートもしてくれたりして…プレッシャーでしたね、“他の曲でコケれんぞ”って(笑)。
山下
さらに超えていかんとね(笑)。
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