【フジファブリック インタビュー】
ここから先のバンドの姿を
自分が想像させられた
L→R 加藤慎一(Ba)、山内総一郎(Vo&Gu)、金澤ダイスケ(Key)
10作目のフルアルバム『F』が完成。デビュー15周年という節目の年にリリースするアルバムは、“最高傑作”“名盤”と自ら胸を張る、いつも以上の自信作となった。
聴き終わった時に
3人とも“おぉ~”って言った
もちろん毎回が自信作だとは思うのですが、今回は山内さんがすでにいろいろなところで“最高傑作だ”“すごいものができた”とおっしゃっているじゃないですか。そこまで言い切る自信の根拠が何かあるのでしょうか?
山内
本当にいい曲ばかりだからなんですけど、“デビュー15周年という節目にリリースするにあたって何を歌おうか?”というところで、“F”というタイトルを含めてコンセプトをまず決め、そこからバンドのことや頭文字が“F”のもの…例えば“故郷”だったりとか、“Fever”だったりとか、“Food”だったりとか、全てそのコンセプトをもとに曲を作るというところで、自分たちも楽しみながら作ることができたので、サウンドや歌詞の内容をはじめ、すごくいいものができたという手応えがあるんですよ。それで“名盤、名盤”と手前味噌ですが、言わせていただいてます(笑)。
新しいアー写を見ると、第三の目が開いちゃったぐらいの感覚があるのかなと。
山内
開いちゃいましたねぇ。今までが開いていなかったのかどうか分からないですけど(笑)。
金澤
もちろん常にではありますけど、いつも以上に気持ちを新たに作った感覚もありますね。
加藤
みんなが“F”というものに向かっていった、その力はすごく強かったんじゃないかな。
じゃあ、曲作りはスムーズに?
山内
これまで手を変え品を変え、いろいろな手法を使いながら曲を作ってきましたけど、今回は原点に戻って3人で楽器をガチャガチャやりながらセッションで作ろうってところから始めたんです。そこでリフができたり、“F”って言ってもいっぱいあるよねってテーマを話し合ったり。その他にもそれぞれが作ったデモもあって、そこはこれまでと変わらないですよね。1週間とか2週間とかに1回、デモ聴き会もやりましたけど、セッションから始められたのはバンドらしい作り方ができたという意味で良かったと思います。
ちなみにセッションで作った曲というのは?
山内
4曲目の「LET’S GET IT ON」です。
あ、ディスコでサイケな。
山内
すでに配信リリースした「手紙」はあったんですけど、セッションで作り始める時に「手紙」のようなドーンとしたでかい曲が1曲あったおかげで、“自分たちが楽しいことをもっと追求しようぜ”ってなれたんです。「LET’S GET IT ON」は初めにセッションで作った時は、もうちょい「東京」に近いニュアンスだったんですけど、自分やバンドのルーツをふんだんに盛り込んで集大成みたいな曲にしたいと思っていたせいか、Talking Heads的だったり、Pink Floyd風だったり、Yesみたいなところもあれば、Funkadelicの「マゴット・ブレイン」みたいなギターもあったりっていう(笑)。その後、いろいろ混ざりながら、レコーディングの現場でも“ああしたい”“こうしたい”って最後までセッションで作りましたね。
前作のアルバム『STAND!!』(2016年12月発表)は50曲ぐらい作った中から選んだそうですが、今回は何曲ぐらい作ったんですか?
金澤
何曲ぐらいあったっけ? フレーズだけっていうのもあるから、はっきり何曲とは言えないんですけど、同じぐらい作ってるのかな。
加藤
最終的に15~16曲から今回の9曲に絞り込んで。
金澤
そして、曲順を決めたんですけど、マスタリングの日に変えて。
それぞれに個性が強い曲ばかりだから選曲ももちろんですけど、曲順を決めるのが大変だったんじゃないかなって。
山内
“大体これが1曲目かな”とか考えながら録っていったので、そんなに大変ではなかったけど、マスタリングの前日に不意に“「Walk On The Way」が1曲目に来たらどうなんだろう? みんなに訊いてみよう”ってひらめいて(笑)。もうアルバムというかたちにこだわる時代ではないのかもしれないですけど、フルアルバムを作れる、出せる喜びが僕らにはすごくあるから、曲順は毎回あれこれ考えますけど、今回は大枠が決まってました。その中でどういうふうに聴いてもらおうかってところでは考えましたけど、頭とケツの曲が決まれば、あとは早かったですね。
最初に考えていた1曲目は何だったのですか?
金澤
「東京」です。最後の最後まで“「東京」が1曲目でしょ”って。
加藤
前日までね。
金澤
なんなら当日もね。
山内
でも、「Walk On The Way」を1曲目にして、「東京」を最後に持って来た曲順で聴いてみたら、聴き終わった時に3人ともが“おぉ~”って言ったんですよ。自分たちのアルバムを聴いて、そんなふうに言ったのは初めてかもしれない。“カッコ良い! 何、このバンド!? 続きがあるんだ!”って。
“続きあるんだ!”っていうのは?
山内
アルバムを聴き終わった時、お腹いっぱいってなるのも作品としていいと思うんですけど、「東京」はカットアウトで終わるんです。それが何かの番組のオープニングテーマみたいに聴こえて、なんか“この続きがあるんだ!”って思えたんですよね。それで“おぉ~”ってなったんですけど、節目にリリースする…しかもタイトルはフジファブリックを象徴する頭文字の“F”ということで、本当に気合いを入れて作っているんですけど、最後の最後にここから先のバンドの姿を自分が想像させられた。そういうところに自分たちがグッと来てしまった。“面白い! このバンド”って思いました(笑)。
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