【フジファブリック インタビュー】
ここから先のバンドの姿を
自分が想像させられた
これから成し遂げたい夢に対して
“諦めるなよ、俺”と歌っている
本当に面白いバンドだと思います(笑)。「Walk On The Way」から「破顔」「手紙」と聴き進めていくと、突然、「LET’S GET IT ON」で流れが変わる…。
でも、その直後に金澤さんが作詞作曲した「恋するパスタ」が来て…。
え、ヤバい? 「恋するパスタ」のようなポップソングがあると、逆にホッとできると思ったのですが(笑)。
山内
まともな顔した変な曲ですけどね。分かりやすいラブソングに思えるでしょ?(笑)
金澤
違うんですよ。今、血糖値が流行っているじゃないですか(笑)。血糖値がギューンと上がって、ギューンと下がると良くないって。それで、自分はどうなんだろう?と思って測ってみたら、大抵は正常なんですけど、いきなり炭水化物を食べると、やっぱり上がるんですよね。逆に低血糖状態の時は汗ばんだり、頭痛がしたりする…特にパスタを食べるとすごく上がるんですよ。上がった時ってふわふわして、変に気分が高揚するんです…って曲です(笑)。
(笑)。それをラブソングにしたっていうのは、どんなところからのアイデアなんですか?
金澤
高揚感やパスタを食べたいという欲求は恋愛に似てるじゃないですか(笑)。
あぁ~、なるほど(笑)。その他にもいろいろ気になるところがあるのですが、「Feverman」は加藤さんの歌詞が先なのか、山内さんの曲が先なのか、どっちなんですか?
山内
曲が先です。収録曲を選んでいる時、加藤さんが“これをやりたい”と言ってくれて。
加藤
アルバムにこういう曲があったらいいと思いました。
山内
加藤さんが書く歌詞の世界がこの曲に合いそうだと思って、“書いて、書いて”って。
加藤
キーワードとして“Fever”と“お祭り”っていうのがあったので、もうそのまま書きました。
最初から祭囃子っぽいリズムだったんですか?
山内
デモからそんなに変わってないです。ツインドラムなんですよ。ドンタドンタドンタとデンデンデンデンっていう。そこから“祭りっぽくない?”ってなったんですけど。
後半は沖縄民謡っぽいですよね。
山内
そうなんです。だから、土地違いの民謡を合わせたみたいな。
あぁ、リフはアイリッシュっぽい。
山内
あれはたまたまなんですけど、台湾でひと目惚れならぬ、ひと聴き惚れして買ってきたルアンって楽器をダビングしたら、フィドルみたいに聴こえて(笑)。なんだかよく分からないものになっちゃいましたけど、楽しいからやろうぜって。
加藤
“日々いろいろなことがあるけど、何も考えずに踊ればいいじゃないか。その時を楽しもう”っていう曲です。
加藤さんが作詞作曲した「前進リバティ」はパーカッションがラテンテイストを醸し出しつつ、中盤でサイケになる怪しいムードの曲ですが、“F”はどこに?
加藤
裏テーマで“Fail”…“失敗”という意味合いが入っているんですけど。
山内
バンドのことを歌っていると思うんですよ。だから、歌詞が出来上がった時、スッと入ってきて、“俺にこれを歌わせるのか!? これを歌わせるなんて、いい趣味してる”ってなって。
山内
加藤さんは普段、そんなに口数が多いほうではないけど、こんなふうに音楽で会話できる。そういう意味で、3人が全員とも作詞作曲するっていうのはいいんですよね。“なるほどな”っていうのがあるんです。それはメンバーとしてとても幸せなことだと思います。
そして、アルバムのラストを飾る「東京」。夢を追いかけ、東京に出てきて、そこでまた決意を新たにするという歌詞は、『FAB FIVE』(2018年10月発表のミニアルバム)に入っている「Water Lily Flower」と「手紙」とストーリーのつながりを感じましたが。
山内
ほんとにその通りだと思うんですけど、「手紙」と対になっているというか。「手紙」は東京で故郷を思う曲なんですけど、「東京」は東京で頑張っている友に向けた曲です。「手紙」が“東京でめちゃめちゃいい友達ができたから、今度紹介するよ”って曲だとしたら、「東京」はその友達に“まだまだやろう。踊り続けよう。諦めるんじゃないよ”って。ある意味自分にも言っているんですけど、東京という街が与えてくれた2曲なのかな。
「Water Lily Flower」について、前回訊いた時は夢を諦めちゃった人に“諦めるな”とは言えないと山内さんはおっしゃっていましたが、「東京」では《諦めるなよ友よ》と歌っていますよね。そこには何が心境の変化があったのでしょうか?
山内
「Water Lily Flower」はもうちょっと広いというか、東京にいるみんなって意味で作ったんですけど、「東京」はほんとに近い世界のことを歌っているんです。《諦めるなよ友よ》っていうのは、自分にも言っていることでもあるし、バンドメンバーに言っていることでもあるし。10月20日に大阪城ホールでやるライヴも含め、この先、フジファブリックというバンドで成し遂げたい夢に対して、“諦めるなよ、俺。そして、みんな”みたいなところが、「Water Lily Flower」とは違うんですよ。サウンドも全然違いますしね。「東京」のMVを撮ってくれた監督が、20代中盤で、“僕の世代に言われている気がする”って言ってくれたんですよ。自分に近しいところで作った曲を、そういう世代の人がそう感じてくれたのは嬉しかったですね。
取材:山口智男
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アルバム『F』2019年1月23日発売
Sony Music Associated Records
- 【初回限定盤(DVD付)】
- AICL-3623~4 ¥3,700(税抜)
- 【通常盤】
- AICL-3625 ¥3,000(税抜)
『フジファブリック LIVE TOUR 2019 "FEVERMAN"』
3/02(土) 神奈川・横浜BAY HALL
3/09(土) 広島・広島CLUB QUATTRO
3/10(日) 福岡・DRUM LOGOS
3/16(土) 愛知・Zepp Nagoya
3/21(木) 北海道・札幌 PENNY LANE24
3/24(日) 宮城・仙台Rensa
3/30(土) 石川・金沢EIGHT HALL
4/06(土) 新潟・NIIGATA LOTS
4/14(日) 東京・Zepp DiverCity Tokyo
4/19(金) 大阪・Zepp Osaka Bayside
『フジファブリック 15th anniversary SPECIAL LIVE at 大阪城ホール2019 「IN MY TOWN」』
10/20(日) 大阪・大阪城ホール
フジファブリック:2000年、志村正彦を中心に結成。09年に志村が急逝し、11年夏より山内総一郎(Vo&Gu)、金澤ダイスケ(Key)、加藤慎一(Ba)のメンバー3人体制にて新たに始動。奇想天外な曲から心を打つ曲まで幅広い音楽性が魅力の個性派ロックバンド。「銀河」、「茜色の夕日」、「若者のすべて」などの代表曲を送り出し、『モテキ』TVドラマ版主題歌、映画版オープニングテーマとして連続起用された。数多くのアニメ主題歌も担当。18年には映画『ここは退屈迎えに来て』主題歌、そして劇伴を担当。19年にデビュー15周年を迎えアルバム2作を発表。同年10月に大阪城ホール単独公演を大成功させた。21年3月に11thアルバム『I Love You』を発表。23年には4本のツアーを開催した。24年4月にデビュー20周年を迎えるが、目前となる2月に12thアルバム『PORTRAIT』をリリースする。フジファブリック オフィシャルHP
「東京」MV
(YouTube ver)
「手紙」ティザームービー
「破顔」-YouTube EDIT-