【→Pia-no-jaC← インタビュー】
“和”をあえて意識して作った
L→R HAYATO(Piano)、HIRO(Cajon)
3年振りのオリジナルアルバム『JAPANESQUE』のテーマは“和”。彼らの中にある原風景を反映しつつ、多彩な音楽のエッセンスを取り入れている各曲は、圧倒的なオリジナリティーの塊だ。
今作は“和”がテーマですよね?
HAYATO
はい。昨年、デビュー10周年を迎えたんですけど、デビュー当時に“和のメロディーが多いね”と言われて“そうなんだ!?”って気付いたんです。今回のアルバムは、そういう“和”をあえて意識して作りました。
HIRO
『風神雷神』(2009年7月発表の3rdアルバム)は海外に行って“俺ら日本人なんだな”って感じたことからできたアルバムだったんですけど、今回もそういうものを意識しつつ、今までやってきたいろんな海外のリズムも反映したいと思っていました。
“和的”という印象を形成する要素って具体的にはどういうものなんですかね?
HAYATO
多分、ヨーロッパとかの人にはない音階っていうのが、そういう印象につながるんでしょうね。
海外の人はどういうイメージを浮かべながら和音階を聴くんだと思います?
HAYATO
僕らも、例えばラテンを聴くとカーニバルを思い浮かべますから、もしかしたら侍とかを思い浮かべて聴いているのかもしれないですね。
(笑)。でも、日本人も海外の人も根本的には相通ずる何かを感じているのかもしれないですよ。
HIRO
そうかもしれないですね。今回の「Primitive」も和の部分を切り取ったらファンクでもあるし、アフリカンな楽器も使っているんですけど、国とかを問わない何か原始的なものがあると思います。
HAYATO
「MA・TSU・RI」もそういう曲ですね。右手で弾いている旋律は和ですけど、左のベースラインやアクセントはラテンなので。ラテンと和は合うんです。この曲は音階でも遊んでます。《そりゃそりゃ》っていう掛け声は“♪ソラソラ”、《らっせらっせらっせら》は“♪ラソラソラソラ”って(笑)。
(笑)。こういうテーマに向き合うと自分の中にある原風景とかも甦ったんじゃないですか?
HIRO
そうですね。「ふるさと」のメロディーを聴いた時に、昔、当時の彼女と行った祭りとかを思い出しました。
HAYATO
「ふるさと」を作った時は小学校の頃に遊んだ公園に行ったりして、“ここでドッチボールしたな”とか、いろんな細かいことを思い出しました。“音でそういうものを思い出せるのってどういう曲なのかな?”ということを考えながら作ったのが「ふるさと」なんです。
今作の前半は具体的なモチーフを据えた「MA・TSU・RI」「忍」「ふるさと」、後半は抽象的なテーマの「Primitive」「Starting Over」「追憶」「VOICE」という構成になっていますよね。
HIRO
いろんなかたちで“和”というものを広げていった結果、こういうものになりました。「Starting Over」は前からあった曲なんですけど、オリンピックに向けて制作された震災の復興支援の映像(東日本大震災被災地復興支援映像『2020年。東京と東北で会いましょう。』)のために作ったので、これは今回の『JAPANESQUE』にもすごく合っているから収録しようということになったんです。
「追憶」、いい曲ですね。ノスタルジーを誘うこの旋律も“ふるさと”というイメージを呼び起こしてくれます。
HAYATO
この曲、作った時からすごく好きで、ひとりでずっと弾いています。『BLOOD』(2015年12月発表の13thアルバム)に入っている「Nostalgia」の第二章みたいな感じですね。空の雲が流れるのをずっと見ていられるのと同じような、ずっと聴いていられるものを作りたいと思っていました。
作ろうとしてボツになったテーマはないんですか? 例えば“おまんじゅう”とか。
HAYATO
そんなの作れないでしょ ! (笑)
HIRO
聴いて“まんじゅうだ”って分かる曲って、なかなか難しいと思いますよ(笑)。
HAYATO
味と匂いを表現するのは難しいって、この10年やってきて思ったことのひとつです。
ライヴのお客さんからお題をもらって即興で食べものの曲を作ったこともあるんじゃないですか?
HAYATO
“タコ飯”っていうテーマが来て“これはヤバい!”っていうことになって、“タコタコ~!”って合唱する曲を作りました。
HIRO
そういう逃げ方をするしかない(笑)。
(笑)。でも、歌詞がないインストって、自由にその人なりのイメージを浮かべられるのがいいですよね。
HAYATO
そうですね。だから、このアルバムもいろんな懐かしい場所を思い出しながら聴いてほしいです。→Pia-no-jaC←が使う楽器はピアノとカホンに絞られていますけど、イメージは無限大なので自由にできますし、それが良さなのかなと思っています。
効果音的なパーカッション類を人力で鳴らすことによっても表現の幅を広げていますよね。
HIRO
「MA・TSU・RI」で摺り鉦(すりがね)っていう楽器を使っているんですけど、“岸和田のだんじり祭りを表現するためには小さいのじゃ駄目だ!”って言われて大きいのを買わされました。あれ、そこそこ高いんですよ。
HAYATO
“買わされた”って言い方が悪い(笑)。でも、ピアノとカホンで曲が完成していても、色付けをするのは小物の音だから大事なんですよ。メロディーライン以外の要素でもイメージは広がるものだから。
そういう音を人力で出す理由とは?
HAYATO
意地かな?
HIRO
半ば意地じゃない?(笑)
HAYATO
デジタルで出したり、サンプリングした音を流したりはしたくなくて、楽器で全部表現したいんですよね。
取材:田中 大
「MA・TSU・RI」MV
(Short ver)
『→PJ← History EAT A
野音3 ~5年振りにやります
全曲ジャック~』
ライヴ映像トレーラー
(初回盤DVD収録)
アーティスト
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