【コレサワ インタビュー】
女の子の歌と言えばコレサワでしょ!
コレサワ
メジャーデビューから1年を迎えたシンガーソングライターのコレサワが2ndアルバム『コレでしょ』をリリース。渾身の一枚になったという今作は、言葉の節々から早くも自信がうかがえる。
ついに2ndアルバム『コレでしょ』が完成しましたね。前回のアルバム『コレカラー』はメジャーデビュー作品だったわけですけど、どんな反響がありましたか?
高校の時に軽音部を担当していた先生がいつも買っている雑誌に、私のアルバムのコメントが載っていたみたいで。辛口の雑誌なんですけど、そこでの評価が良くて、それを写メに撮って送ってくれました。“俺が一番信用している雑誌に載ってた! これは本当にすごいことだ”みたいな感じで言ってくださったので、それもメジャーデビューしたから届いたのかなって。
今回のタイトル“コレでしょ”も駄洒落からできたのでしょうか?
曲が揃ってからタイトルを考えたんですけど、“コレ”から始まる言葉がもう浮かばなくて“コレでしょ”になりました(笑)。“女の子の歌と言えばコレサワでしょ!”と思ってもらいたいのもあるし、よく売れてるお菓子とかっていろんな人が買っているというよりも、同じ人が長く買ってくれているから長く続いているということもあると思うので、そういうふうに長く食べてもらえる…聴いてもらえる作品になってほしいという想いも込めました。
今回もプロデューサーを迎えている楽曲がありますね。
はい。「プラネタリウムに憧れた」は石崎 光さんにプロデュースしていただきました。2枚目のEP『女子、ジョーキョー。』の時からお願いしたいなと思っていたのですが、2年以上経って、今回こういうタイミングで実現して嬉しいです。私は作詞作曲のことは得意だけど、アレンジとか楽器のこととなると、ドラムとかベースの自分がやってない楽器の詳しいところは分からない部分があって…光さんはミュージシャンの方たちとのコミュニケーションも上手くとっていましたね。ドラムは玉田豊夢さんに叩いてもらったんですけど、光さんのイメージに合わせて、Bメロのスネアだけは小さい部屋で、照明も暗くして叩いてもらったんですよ。1曲の中で場所を変えて録るっていうのを初めて経験できて良かったです。
流れ星をイメージした音も入っていて素敵でした。
プラネタリウムなので、星とか宇宙、夜空をイメージしたアレンジでやってほしいって最初に伝えていたんです。だから、そういったキラキラしたものも入っていますね。
コレサワさんはグロッケンシュピールに挑戦したみたいですが。
光さんは生の楽器にこだわる方なので、グロッケンも生演奏にしようとなって。いつもは光さんが入れているらしいんですけど、私も学生時代に吹奏楽部でパーカッションをやっていたので、昔を思い出しながらやりました。でも、難しいんですよ。めっちゃ頑張ったのでDメロのあたり聴いてほしいですね(笑)。
NONA REEVESの奥田健介さんが参加した「パープル」は一番最後にできたそうですが。
これは一番最後に作って、つい最近出来上がった曲なんです。本当は11曲の予定だったんですけど、それからタイアップのお話をいただいて、これもアルバムに入れたいって。全体のなんとなくのアレンジは自分で固めたんですけど、参加してくださったのがはじめましての方も多かったので、どうやってコミュニケーションをとろうかなって最初はすごく緊張しました。鹿島達也さんも奥田さんもやさしく、“これどう?”ってアイデアをくださったりしたのですごくいい曲になりましたね。
巡り巡ってまた同じ人に恋をするという物語がロマンチックで。
タイアップに合わせて、離れてしまう恋人たちや卒業する人だったり、卒業式にもマッチするような曲というオーダーをいただいたんです。“離れてしまっても気持ちはひとつだよ”っていうことをコレサワなりにどう伝えられるか試行錯誤しました。
逆にこの中で一番古い曲は、インディーズ時代からライヴでもやっている「悪いユメ」になるのですか?
そうですね。4年くらい前から歌っているんですけど、最近はあまりやっていなくて。今回音源にできたことで昔からファンだった方が喜んでくれるといいなって思います。相手が駄目男なのに離れられない女の子の歌で。でも、好きだったらしょうがないって少し同情しちゃうところもあったり。こういう女の子、いっぱいいるんじゃないですかね? 届いてほしい(笑)。
1stぬいぐるみのおまけCDに収録されていた「君とぬいぐるみ」は、やっぱり改めて聴いても《無駄金を》で始まる曲のインパクトがすごいですね(笑)。
あんまり普段口にしないから、やっぱり気持ち良いし楽しいですよね(笑)。こういう悪口を言える関係だから言っちゃうっていう。それだけふたりの距離が親密なんだっていうのに気付いてほしいですね。
悪口を言いながらもこれからの話をしていますし、そういうところも含めて愛情なのかなと。
そうなんですよ! たまに“この男、駄目じゃん”っていうツイートを見ると、“違うんだよぉ~!”ってなります(笑)。高いものとかは頑張ったら自分でも買えたりするかもしれないけど、一緒に過ごす時間とか思い出はお金で買えるものじゃないから、そういうものを大事にするふたりでいてほしいなっていう願いなんです。
配信シングルでリリースした「友達だからかな」はテレ朝ゴーちゃん。の長編アニメのエンディングで、小さい子に向けたサウンドアレンジも印象的です。
ホイッスルを入れたり、子供も面白がってくれるようなアレンジにしています。書き下ろす時に“いつものコレサワさんで”って言われたんですけど、いつもの私で書くと子供に聴かせられないんじゃないって思って(笑)。お母さんと子供が聴いてもいい曲だと思ってもらえるようにしたいなって考えました。
でも、今のコレサワさんだからこそ、そんな気持ちも書けたんじゃないですか?
そうですね。私が高校生の時は26歳ってめっちゃ大人やんって思ってたのに…このままだったら30代になっても大人の意味分からへんままやな、ガキやなって思いますね(笑)。
前作でお母さんのことを書いた「24歳」も、お母さんがコレサワさんを生んだ24歳になってみたら、まだまだやりたいことばかりだったって話してましたけど(笑)。
ほんと、まだまだですね~。まだ若いんだなって思って生きていきたいです(笑)。
「いたいいたい」は昨年12月15日の渋谷WWW公演で初披露していましたよね。
曲自体は結構前からあったんですけど、Aメロの歌詞がまとまらなくて後回しにしていたんです。やっぱりこの曲はライヴで映えるから、これでスイッチが入れられるようにまだまだ歌い込みたいですね。バンドでももうちょっと育てないといけないなと思っています。
《自分のこと大事にできていないのに 誰かに愛されるわけがないでしょう》ってフレーズがグッときますね。
実は、私はそんなにここがグッとくると思ってなかったんです。私的には《昔ちょっとキスしたあいつと今会えたら》ってところに“いるよね~!”ってなるかと思ったら、みんなそっちだったんですよ(笑)。“愛されたかったらまず愛せ”ってよく言うけど、ほんとにそうだなと思って。自分のことを大事にしている人のほうが外から見た時にすごく魅力的だなって感じるので、なるべく私も自分のことを好きでいたいなって思ってます。
「彼氏はいません今夜だけ」はタイトルだけで伝えたいことが分かります(笑)。
良かった~(笑)。私、これは友達に何回も聴かせて、“歌詞に出てくる《あなた》と《あの人》の違い分かる?”って訊いたら、みんな分かるって言ってくれたから安心しました。浮気をするほうがいけないんですよ、絶対。だけど、浮気をされるほうにもきっと何か原因があるんじゃないかなって思うんです。きっと、ここに出てくる女の子は浮気はしたくなかった。だけど…みたいな痒いところに気付いてもらえたらいいな。おじさんには分からないかもしれないけど(笑)。でも、スタッフにも“面白いね”って評判が良かったですよ。サウンドでもノリやすいので、ちゃんと物語として聴いてもらえてるのかなって。結局、この子が帰ったのか、帰ってないのかっていうのは私は断言していないので、それは聴いた人に任せます!
「泣く角には福きたる」には頑張りすぎないでねっていう包み込むようなメッセージ性があって。
これはドラマのタイアップで、鬱を抜けたあとのハッピーな感じをお願いされたから、ほんとにもうハッピーな感じにしました。嫌な人がいたって、その人にもちゃんといいところはあるから、恨むよりも愛しちゃえば楽しくなるかなって。原作の漫画を読んで、頑張りすぎちゃう人が背負いやすいということも分かったので、“1日くらい休んでもいいんじゃない?”っていうのも伝えたかったですね。開き直ったって辛いことはあるし…“泣いても幸せは来るよ”って言われたほうが私は気が楽になるんですよね。《涙は手作りできるから》っていう部分は、ちょっとしかないものはちょっとしか使えないけど、涙はいつでも作れるから我慢せずにいっぱい泣いてほしいって意味なんです。
《美しいものを美しいと気づけますように》というのもハッとする部分があります。
鬱状態になると景色がくすんだり、モノクロに見えることもあるらしくて。物語の中に、空の色や花の色のきれいさに気付くエピソードがあったので、ちゃんと美しいものを美しいって気付けるのって、誰にでもある当たり前じゃなくて尊いことなんだなって感じたんです。私も夕陽とかを見てきれいだなって思えることに感謝するようになったきっかけになったので、いろんな人にその大事さに気付いてほしいと思いました。《美しい》と《うつむいて》も言葉の頭をそろえることにこだわりました。
女の子の愛情表現を書いた「夜にして」は男性スタッフに“怖い”と言われたとか(笑)。
ディレクターに言われました(笑)。ゆっくりめな曲調もあって、念が感じられるというか。ちょっとひねくれてますしね。《愛しすぎて 傷つけたくなる》ってところとかヤバくないですか?
でも、寂しさの表れでもあるのかなって思いました。
そうですよ、寂しいんですよね。そう考えたら全然怖くないのに! 女性と男性で違うのかもしれないですね。だから、男は弱っちぃな~と思います(笑)。
そう考えると、「君と満員電車」は男の人でも素直にかわいいと思える曲じゃないですか?
満員電車に好きな人と乗りたいって企んでいる女の子の曲なので、これはキュンキュンしてほしいですね。私は満員電車にはあまり乗る機会がないんですけど、好きな人と一緒だったら最高やん!って(笑)。そこから《君と乗るなら満員電車》っていうフレーズが出てきましたね。《ギュギュギュ》って歌いたくて書いたところもあります(笑)。あとは、付き合うの? どうするの?っていう中途半端な関係の距離間。カップルか付き合う前の話がすごく悩んだんですけど、やっぱり付き合う前のほうがドキドキしていいかなと思って。
「東京コロッケ」はいろんな意味で勢いがあふれていました。
だって、ひどくないですか? 地元の大阪のお祭りでは東京コロッケっていうのが売ってたんですけど、東京に来たらなくて本当にショックでした(笑)。18歳で上京した夏にお祭りで探してみたらなくて、なんでなんやろ?って。2年目にも探したけどなくて、検索してみたら大阪だけのものだったんですよ。
(笑)。まんまと…
騙されてました。大阪人は東京に憧れてるから、“東京”って付けたら売れるやろっていう関西人の血やと気付きました(笑)。でも、東京に来たら大阪風お好み焼き、広島風お好み焼きってたくさんあるんですよ。確かに東京で大阪のものが売ってたら食べるなぁって。そういう戦略だったんですよね。もう、この曲は東京コロッケへの《東京コロッケ食べたい》の気持ちだけ! すぐにできましたね。“なんでやねん!”って突っ込みもライヴでみんなにやってもらうつもりなんで(笑)。
歌ネタ芸人のような振り切ったテンション感が素晴らしいです!
そう! そういうテンション。もはやネタです。芸人になった気持ちで歌いましたもん(笑)。ライヴでも面白くできたらいいなと思ってます。
「最後の有給」はコレサワさんの実話をもとにした曲ですか?
これは私がアルバイトしていたスポーツジムの話なんです。最近、弾き語りでもやっていますね。本当は『コレカラー』の時にあったんですけど、てんこ盛りになっちゃうなと思って、今回入れました。ほんとに、文句ばっかり言ってくるじじいといつもまずい飴くれるおばさんがいて。
最初は《いつまでもここにはいないよ》と言っているのに、そのあとに《さよならがちゃんと淋しく思えたの》って言うところに人間味を感じました。
離れる時に“この人たちにも元気でいてほしいなぁ”って思ったんですよね。だから、このアルバムの中で一番聴いてほしい曲でもあるし、私の本当の気持ちというか。多分、コレサワじゃなくて、人間としての本名の私が作った曲だなって思いました。
この曲では初めてストリングスも取り入れていますね。
はい。出羽良彰さんにお願いしたんですけど、お陰でちゃんとアルバムの最後感が出てますよね。壮大で背中を押せるような曲になったので、また機会があったらお願いしたいです。
取材:高良美咲
「いたいいたい」MV
「彼氏はいません今夜だけ」MV
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