【宮野真守 インタビュー】
“命懸け戦闘モード”の10年を辿る
アーティスト・宮野真守の初ベスト
宮野真守
アーティストデビュー10周年を記念して、宮野真守初のベストアルバムが到着した。疾走感あふれるキャッチーなシングル曲、甘い歌声を存分に楽しめるメロウなバラード、そしてライヴで強いインパクトを残すダンスパフォーマンスと、デビューから培ってきた宮野真守の“三本柱”を堪能してほしい。
ロックもバラードもR&Bも
全ては“好き”の延長線上なんです
デビューから10年、アーティスト・宮野真守の歩みを一作で知れるベスト盤が完成したというのは、リスナー側からしても非常に嬉しいです。
ありがとうございます。僕にとってもベストが出せるというのは、10年やってこられたことの表れですし、こうやって僕の歴史を知ってもらえるというのはすごくありがたいことですね。ライヴの定番曲になっている「J☆S」は3rdシングルだったりもするし、そんなデビュー間もない頃の作品が今もファンのみなさんに支持してもらえているというのは、ちゃんと当時から自分というものに向き合って、本気で作ってきたからなんだろうなぁと。
私もシングル16曲をリリース順に並べたDISC-1を聴かせていただいて、最初から完成度が高いことに驚きました。もちろん今に比べれば“まだまだ”な部分もあるかもしれませんが。
そこは10年の歳月がありますからね。ただ、1stシングル「Discovery」でデビューした時から、表題曲はゲームのタイアップならではの疾走感を重視した曲、カップリングにはダンスナンバーにバラードと、3タイプの曲を入れてきたんですよね。
その後、今に至るまで宮野さんの三本柱となっている音楽性ですよね。
そうですね。やっぱりデビュー作って“どういう音楽をやるアーティストなのか?”というところを見られる一枚だから、ちゃんと自分の想いを示したかったんです。ずっと表に立ってパフォーマンスしてきた人間だから、ライヴができるアーティストというのは最初から目指していたところだったし、となるといろんなジャンルや音楽の引き出しの中でやっていったほうがいいという判断があったんですよね。エンターテインメント性は高く、いろんな角度や表現でライヴを作っていく、それが“役者”である自分の音楽活動の在り方だったんです。実際に3rdシングルの「J☆S」ではヒップホップを取り入れたり、4枚目の「REFRAIN」はバラード曲、6枚目の「オルフェ」はロックの熱いサウンドで初めてシングルを切ったりと、節目節目でいろんなチャレンジをしてきたと思うんです。
ただ、それ以前からバラードもロックもカップリングやアルバムではやってきたわけですし、宮野さんのチャレンジって完全なゼロからではなく、しっかりと準備した上でのものなんですよね。だから、最初からクオリティーが高い。
やはりプレイヤーとして、それ相応の経験を積んでから挑みたいというのはありますね。10枚目の「NEW ORDER」でSTYさんと初めてシングルで組ませていただいた時も、かなり攻めたトラックワークで自分のやりたかったEDMを作って。僕のシングルの流れとしても、アニメの主題歌としても珍しい切り口でした。
しかし、EDMにロック、バラード、ヒップホップにR&Bと、それだけ多彩なジャンルに興味が持ててアウトプットができるということは、インプットもかなり量が多くて幅広いのでは?
いや、そんなに特別なことはなくて、僕としては全て“好き”の延長線上なんです。子供の頃から“このアーティストが好き”じゃなく、“このアーティストのこの曲は好き”っていう聴き方をしていたんですよね。要はジャンルで見るんじゃなく、純粋に曲のキャッチーさやメロディーに惹かれてたんでしょうね。
なるほど。ジャンルにかかわらず、自分の琴線に触れたものをいかにたくさん聴くことができるかに奔走していたリスナー時代の延長に、今の音楽活動があると言われれば納得です。
“楽しむ”ということにおいてジャンルの違いはないはずだから、純粋に自分の琴線に触れるものに対する“好きだ”という気持ちを役者としてどう表現に変換できるかに喜びを感じているのかもしれない。だから、ロックを歌っている宮野真守、バラードを歌う宮野真守を演じている感覚に近いのかもしれません。そうやって自分のやりたい方向性だったり、音楽性を突き詰めていった結果、いろんな方との出会いがあって幅も広がっていったんです。それこそDISC-2に収録してる新曲「そっと溶けてゆくように」を制作したTSUGEさんとは2ndシングル「君へ…」からのお付き合いなんですけど、ライヴで盛り上がるダンスナンバーや、グッと聴かせるバラードなど、本当にいろんな角度の曲を一緒に旅してきたんですよね。僕はシンガーソングライターではないから、そうやって僕に新たなサウンドを与えてくれるクリエイターさんたちと共鳴して、一緒に積み重ねてこられたというのが、本当にありがたいです。Jin Nakamuraさんも最初はアレンジで入っていただいていたところ、4thシングルで書き下ろしをしていただいて、そこで初めて自分で作詞をさせてもらえたのも、Jinさんの曲だったからこそ。JinさんやSTYさんは歌いながらレコーディングしてくれるから、そこでテクニックも磨かれていったし、その分、表現の引き出しも増えていったんです。
それこそ「HOW CLOSE YOU ARE」で、LAでのレコーディングを経験できたのもJinさんのおかげですもんね。
そうなんです。そんな経験ができるなんて想像もしてなかったけど、渡米してLAの空気を感じて、そこで闘えたことは僕にとって大きな意味があって、すごくプラスになりました。それも出会いがあって、積み重ねてきた関係性があったからこそですよね。そうやってクリエイターの方々にいろんなきっかけをいただけなかったら、本当にやってこれなかったと思うんです。
アーティスト
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