超特急、チャレンジ満載の
FCツアーイベントが終幕
4月4日@東京・Zepp DiverCity photo by 米山三郎 / 深野輝美
3 月に名古屋と大阪を回り、東京公演の2日目となったこの日は、幕が落ちるとお揃いの制服に身を包んだ6人が楽器を携えて登場。2号車・カイがエレキギター、3 号車・リョウガがベース、4号車・タクヤがキーボード、5号車・ユーキがドラム、7号車・タカシがアコースティックギター、そして6号車・ユースケがボーカルという編成で、なんと「Clap Our Hands!」をガチで生演奏してみせる。見事な6人のプレイに歓声をあげる8号車の手拍子を受け、続いて贈られたのは昨夏の主催イベントで共演したゴールデンボンバーの「女々しくて」。ドラや太鼓、トライアングル等を自由に鳴らしながら全員で交互に歌い踊り、間奏ではポンポンを持ってチアダンスというハチャメチャっぷりに、場内は頭から大盛り上がりだ。ちなみに白を基調にそれぞれのイメージカラーをあしらった制服風衣装はカイのプロデュースで、テーマは「あったらいいな。こんな学校」とのこと。さらにバンド演奏はタクヤの意見が採用されたとのことで、メンバー発信でライブを創り上げていこうという彼らの姿勢が、こんなところからもうかがえる。
中盤の企画コーナーは毎公演日替わりで、名阪ではカードゲーム、東京初日は即興劇に挑戦したが、最終日には運動会が行われた。椅子取りゲームでは勝者のタクヤ以外が変顔を、リフティングでは最下位のユーキが即興ラップを罰ゲームで披露し、最後は8号車にちなんで長縄跳び88回に挑戦するとまさかの大成功! ゼーゼーと息を荒げてステージに蹲りながらも、ユーキは「8号車の声のおかげです!」と感謝を露わにした。さらに、客席全員でのビンゴ大会ではリョウガ、ユーキ、タカシの私物をプレゼント。来場者からの質問コーナーでは、メンバーで唯一インスタグラムをやっていないリョウガからアカウント開設の告知が飛び出し、8号車を喜びで湧かせた。
企画3 連発のあとは「a kind of love」のカップリング曲である「PARTY MAKER」のMVがモニター上で先行上映。着ているシャツを破いて原色のイルミネーションのなか踊りまくり、水を被るという未だかつてなくワイルドなアクションに場内は阿鼻叫喚の嵐となり、その興奮のまま「No More Cry」からライブパートへと突入する。6年前の結成時から歌い続けてきた超特急初めての曲で8号車への変わらぬ愛を示すと、昨年発表した「DJ Dominator」に続いて、まずは“オシャレ"な超特急で魅了。かと思いきや“ダサかっこいい"歌&ダンスで、超特急のエキセントリックな個性を全力アピールする「超えてアバンチュール」が始まったとたん、すかさず普段以上の勢いでペンライトを振り上げ、コールを叫ぶファンクラブ会員の熱量はさすがだ。声を張って歌い上げるタカシやダンサー陣のテンションも爆上がりして、場内の熱気はグングン上昇。加えてライブパートでのピンクのスーツは、桜の季節と8号車のイメージカラーであるピンクを重ね合わせてタクヤがプロデュースしたものとのことで、ここでも8号車とメンバーの相思相愛ぶりは明らかである。
「みんなに出会えたこの偶然は、きっと一番素敵な奇跡なんだと思います」というタクヤの言葉で始まった「Billion Beats」からは、6人体制となって新たなスタートを切った彼らの想いを赤裸々に伝える真摯なナンバーが連なってゆく。タカシの透き通るようなアカペラで幕開ける「Synchronism」では、一斉に同じ振りを繰り出す8号車のペンライトの光が美しくシンクロし、実にドラマティックな空気を生み出した。いわば“ホーム"であるファンクラブツアーだからこそ挑戦したい、8号車を驚かせたかったと今ツアーへの想いを語ったあとは、「これから先も、みんなで共に走っていきましょう」とリョウガが呼びかけた「走れ!!!!超特急」で、メンバーと共に客席の8号車も隣同士で電車ごっこの形に連結。また、ステージ上のモニターには常に歌詞が映し出され、超特急の曲は常にリスナーの心に寄り添うものであったことを確認させてくれた。
「BREAK OFF」に「バッタマン」と超特急を代表するアゲ曲で8号車の掛け声を受け、ユースケも全身全霊の雄叫びをあげて本編を終えると、アンコールでは本日発売の新曲「a kind of love」を披露。リョウガいわく「出会いと別れを多く経験するであろう今の季節にピッタリ」な爽やかな曲調に、コミカルな振りつけが組み合わさった超特急らしいナンバーは場内を笑顔にして、曲が持つ愛の力の大きさを証明してくれた。そして「僕たちと8号車ならどこまでもイケると思うんだ。まずはここから、みんなの声を聴かせてくれ!」とユースケが声の限りに誘った「Burn!」では、“カイ、リョウガ、タクヤ、ユーキ、ユースケ、タカシ、超特急!"のコールを巻き起こして、8号車がサビを大合唱。そして「どんなに形が変わってしまったとしても、どんなに時が過ぎて行ってしまっても、変わらないものはそれぞれあると思うんですよ。そういった未来への明るい気持ち、希望を込めて」と最後に贈られた「Starlight」は何よりも雄弁に、彼らの想いを物語っていた。戸惑いながらも決して変わることのない夢に向かって、夢が叶うその日まで“みんな"と共に歩いていきたい――。美しい光を放つミラーボールの下で、“同じヒカリ"を目指そうと柔らかに歌い、踊る6人の心は、きっとその場にいた全員に伝わったはずだ。
「今まで歩んできた超特急の全てを無駄にしないため、何より今、超特急に乗車してくださっている8号車の皆さんと夢を掴み取るために、これからは前だけを向いて走るべきだと思っています。もちろん8号車の皆さんを置いて行ったりしません。手を取り合って連結して、誰一人欠かさずに、いつまでもどこまでも走っていきたいと思います」(リョウガ)
「俺たち6人を信じてくれれば間違いないです」(カイ)
力強くそう宣言した彼らの次の舞台は東西アリーナツアー。5月26・27日に昨年オープンしたばかりの武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで、6月9・10日のCDデビュー記念日に神戸ワールド記念ホールで行われる4公演は既に全て完売と、6人の決意と覚悟は超特急のスピードをさらに加速させている。去り際に「これからも俺たちは笑顔で咲き続けます!」とタカシが告げたように、きっと2018年の超特急も大輪の花を咲かせてくれるだろう。
photo by 米山三郎 / 深野輝美
text by 清水素子
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