【石崎ひゅーい インタビュー】
魂の15曲、
初のベストアルバムをリリース
石崎ひゅーい
メジャーデビューから5年、初のベストアルバム『Huwie Best』が完成! 驚愕のデビュー曲となった「第三惑星交響曲」、人気ドラマ『みんな!エスパーだよ!』エンディング曲で話題となった「夜間飛行」、珠玉の名バラード「花瓶の花」など、孤高のSSW魂の歌に注目あれ。
ベストアルバムのリリースおめでとうございます。
レコード会社のみんなが“ベスト盤を出さないか?”って言ってくれたんですけど、正直ヒットソングがいっぱいあるわけでもないし、最初はどうなのかな?って思ってました。自分的におこがましいというか。でも、デビューして5年半が経っての自分の現状というか、俯瞰して考えた時にものすごい擦り減ってるというか、空っぽに近い状態になっていて。今回のベストで全てを出し切って、新しいフェーズに進みたい想いがあってリリースすることにしました。
ひゅーいさんの曲って、ひゅーいさんを取り巻く人たちであったり、関わってきた人との関係性から生まれてくると思うんですけど、こうやって曲が並ぶといろんな顔が浮かぶんじゃないですか?
そうですね。本当にその通りです(苦笑)。傷付けた人もいれば…。
やっぱりデビュー曲の「第三惑星交響曲」が素晴らしくて。声が泣いていて、なのに高揚感もあって。ここに至るまでの初期ストーリーってひゅーいさんの中でとても大きかったんじゃないですか?
「第三惑星交響曲」は母親が死んだところから全てが始まってるんです。母親が持っていたアイデンティティーの素晴らしさを世に伝えたくて。そんな使命みたいなものが自分の中に生まれて、一番最初に石崎ひゅーいが世に出るために必要だった曲ですね。
2013年リリース、今もなお声を大にして名曲と言いたい「夜間飛行」もターニングポイントとなりましたね。
これはもう速攻でできた曲ですね。園子温監督から“テーマは世界だよ”って言われて。漫画も渡されて、次の日にはデモを返してました。アレンジもそのままで進んで。あ、そうだ! ここで間違えちゃったんですよね(苦笑)。“タイアップ楽勝じゃん”とか思っちゃって(笑)。…あ、冗談ですけど(苦笑)。でも、合致したんですよね、曲がその時の自分の状況と。シンガーソングライターなんで、その場その時の自分の感情を吐露するっていう。僕はそんなタイプなので、この時はすぐに結び付きましたね。
今や代表曲とも言える名曲バラード「花瓶の花」。冗談ではなく、日本のポップシーンに残る名曲だと思います。もとは友達の結婚式で歌うための曲だったんでしたっけ?
そうですね。身内の間でもこの曲でどっか行こう(勝負かけよう)っていう想いが最初からありました。もともとは、友人の結婚式が2011年に予定されてたんですよ。でも、震災が起きて結婚式が延期になって…。みんな感じたであろう、どこにも行き場のない喪失感ってあるじゃないですか。僕もそれを感じて、居ても立ってもいられずに日本の最南端、波照間島に旅に出ました。実は、そこで東電の社員…いわゆる3.11、現場作業員だったおっちゃんとたまたま出会えたんです。ギターを持ち歩いてたんで「花瓶の花」を歌ったら、めちゃめちゃ救われたって言ってくれて。で、帰ってきてから会社の人に聴かせても良い曲だって。もちろん、全部の曲を大事にしろ!って話なんですけど(苦笑)。特に変な引力のある歌なんですよ。
今回新曲として収録された「ピリオド」は、タイミング的にはいつぐらいに生まれたんですか?
年末年始にかけてずっと曲作りをしていて、2月の頭にレコーディングしました。この曲にずっとやられてました…。曲のタイトルの通りで、石崎ひゅーいっていう5年半に、1回ピリオドを打ちたかったんです。もう本当に“終わり”で。“次あります”とかじゃなくて。一旦終わりっていう表現をしたかったんです。次に進むために、どぎつい終わりの曲を作りたかった。そんな曲なんです。
ラブソングなんですけど、過去の自分に対して歌っているように聴こえました。
今までの曲の書き方とだいぶ違うんですよ。今までは自分の中にあるものをそのまま純度の高い歌にしていたんです。でも、この曲は自分の中にない要素があって大変でした。要するにシンガーソングライターとして自分が成長しなきゃいけないって、そういうところで。
この曲があることで、5年半の集大成ベストでありながらも未来も見据えられていて深みが変わってきますよね。
本当に良かったと思ってます。逆にそんなパワーに5年半が追加されたものになったっていうか。
素晴らしいベストアルバムが誕生したということですね。ちなみに、菅田将暉さんのアルバムに3曲提供で参加されているそうですね。それって完結への「ピリオド」という曲に向かいながらも、別軸で新たに音楽の楽しさを追求する体験となってそうですよね?
まぁ、遊びから始まったんですよ。お互いの家に行って“こういうことがあったんだ”みたいに話し合って、“いいね。じゃあ、そういう曲にしよう”というやりとりを去年の夏からずっとやっていて。面白かったですね、本当に。
違うレイヤーでありながらも次のフェーズに向かうというところで、どれも大事な経験ですね。
そうですね。今は正直出し切ったので空っぽの状況かもしれないんですけど、次の自分がどんな音楽表現をしたいかっていうのが楽しみなんです。
ベスト盤のリリースを経て、次の展開を楽しみにしてます。
すごいことになるんじゃないかなと。…あ、なんとなくですけど。…あ、やっぱり嘘です! 間違えました(苦笑)。
そんなひゅーいさんがみんな好きなので、このベストアルバムのリリースに至ったんだと思いますよ(笑)。
取材:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
アーティスト
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