【ライブレポート】「MOTTO!MOTTO!!
」と、僕らはJAM Projectを求めてい
た。
【ライブレポート】「MOTTO!MOTTO!!」と、僕らはJAM Projectを求めていた。
この日のライブの感想を述べるときに、遠藤正明がこう伝えてきた。「こうやって活動を続けていくのを当たり前だと思っていたけど、今日の公演を通して当たり前が特別なんだと感じさせられました」と。
僕らにとって一本のライブは、その日のために日程も空けチケットを購入するためにお金も用意し、当日へ向けて音源を聴いたり、ときには出かけるための洋服や化粧道具を買ったりといろんな準備を重ねながら期待を膨らませてゆくように、当たり前ではなく特別な存在。日常の中に生まれるサプライズな日。
先に触れた遠藤正明の言葉は、「ふたたび日本武道館でライブができる保証なんてないからこそ、その日のライブを大切にしたい。また日本武道館のステージへ立つためにも目の前のライブを、日々の活動をしっかり噛みしめたい。それくらい、毎回のライブが特別な意味を持っている」という想いから出た言葉だった。
音楽ファンであるなら、誰もが「解散」という別れを経験したことはあるだろう。たとえ一度大きな舞台に立ったことがあっても、ふたたび同じ舞台に立つ現実を迎えられず活動しているアーティストたちの姿も知っているのではないだろうか…。つまり、僕らもまたJAM Projectが「また日本武道館でライブをやるだろうからさ」「また次も(次のライブが)あるさ」と安易に思ってはいけないということだ。
頭上高く吊るされた巨大な日の丸。場内が闇へ包まれると同時に、その旗の元へ広がったのは、派手に着飾ったサイバーシティTOKYOの夜の姿。きらびやかな輝きも、すべては現実を覆い隠す偽りの華やかさ。そんなフェイクファーな世界へ5人の戦士たちが姿を現した。そう、JAM Projectのメンバーだ。5人が、エレクトロでラウドな『TOKYO DIVE』に合わせ軽快にステップを踏みながら歌うたびに、発色するコスチューム姿の5人の動きに合わせ、闇の中へ鮮やかな蛍光カラーな5つの姿が浮き上がっていた。
TOKYO DIVE
蒼の世界へ全力でダイブ!!。『迷宮のプリズナー』でも、轟音渦巻く演奏と、気持ちを高揚へ導く歌に触発され、天高く拳を上げ続けたかった。これはバトルだ。どっちが先に熱狂へ呑み込まれてゆくのか、感情の限界と限界をぶつけあいながらも、互いを求め合う魂の戦場だ。
次のブロックでは、「メモリアルコーナー」と題し、メンバーがいろんな組み合わせのもと、これまでにJAM Projectを彩り続けてきた楽曲を披露。JAM Project feat.きただにひろしとして歌った『Divine Love』を、この日は作詞作曲を担当した奥井雅美がソロ曲として熱唱。男らしいハードでワイルドなロックンロールナンバーを、野性味をしっかり活かしながらも、奥井雅美は雄々しく美しく歌いあげた。
影山ヒロノブと福山芳樹の2人は、互いに手にしたアコースティックギターと2人の歌声のみというシンプルな編成で登場。『星空のレクイエム』を切々と披露してくれた。ブルーズな要素も巧みに折り込んだ2人の歌声と演奏は、会場へ居た人たちの気持ちを、荒れ果てた大地へ連れ出した。壮大な荒野が思い浮かぶスケールあふれた楽曲だ。でも、その歌や2本のアコギが織りなす演奏には、哀愁と優しさが満ちていた。とても浪漫を抱かせる楽曲だ。ブルーズな表情も交えた美しくも壮大な物語の中、切なさを胸に抱きながら、誰もが2人の歌声と演奏へ寄り添うように身を堕としていた。
その存在を哀れむ鎮魂の儀式の様にも見えたのが、『アレクサンドリア』。とてもダークでスリリングな楽曲だ。僕らは何時しか赤い光を手に、儀式を彩る祭人となり祈りを捧げていた。
これまでの闇の物語から、一変。輝く光をつかむように『Believe in my existence』が駆けだした。演奏が進むごと、スケールを増しアガってゆく歌声と演奏。曲調を映し変えるごとに、JAM Projectは様々な心の揺れを多彩な音の色を通し音楽のカンバスへ描き出してゆく。絵の表情が変わるたびに、好奇心が刺激されていく。
親しみあふれた笑顔もまた、互いの関係を心の深いところで繋いでゆく
後半のライブの始まりを告げたのが、「スーパーロボット大戦X」の主題歌の為に書き下ろした新曲『鋼のWarriors』だ。荘厳でシンフォニック。何より「スパロボ」ナンバーらしい、轟音を叩きつけるスタイルが魅力の、触れた人たちの感情を瞬時に爆発させる表情だ。理性を瞬時に壊す破壊力満載な楽曲に相応しく、初見にも関わらず、誰もが渦巻く音の嵐の中へ飛び込み、騒いでいた。ヤバい、ふたたび心の中の炎がたぎってきた。
グロウルにも似た、きただにひろしのシャウトが合図だった。超強烈で強大なパワーソング『Crest of "Zs"』の登場だ。鋼のように強靱な音が身体中を叩きのめす。だからこそ僕らも、全身を震わせ、魂を鋼のパワーに変え5人にぶつけていた。絶叫と熱狂が交錯し生まれた壮絶な戦いの風景。こんなにも理性をぶっ壊し、己を野生に変えてゆく戦いなら、もっともっと味わいたい。
アンコールでは、場内に生まれた熱の余韻に包まれながら、『HERO』が作りだす心地好い歌と演奏へ身を任せ、互いに心と心で優しく抱きあっていた。「ラーラーララー」と響く、会場中を包み込んだ歌声。熱い拳を交わすだけがJAM Projectのライブではない。根底には、思いやりを持ったハートフルな意志やメッセージがある。彼らの愛情を持った歌声と真っ直ぐな想い込めたメッセージのバトンを、僕らは共に歌うことで受け取っていた。
『Rocks』を通し爆裂した感情と絶叫の掛け合いを行えば、『VICTORY』でガンガン感情を燃えたぎらせていた。身体中が、嬉しすぎる興奮に呑み込まれ震えていた。嬉しすぎて、楽しすぎるあまりに感情が崩壊する、そんな気持ちにまでJAM Projectの歌が導いてゆく。だからこそ『GONG』を歌わずにいれなかった。会場中の一人一人がJAM Projectのメンバーとなり、魂のGONGを打ち鳴らしていた。嬉しくて、興奮を押さえられなくて、魂が震え続けている。だから僕らは、『SKILL』と一緒に限界を突破し、虚飾に塗れたサイバーシティさえ飛び越え、熱狂の桃源郷の中、彼らと一緒に「MOTTO!MOTTO!!」と叫んでいた。そこに居たのは、理想としていた自分の姿。いや、その姿は、無邪気な、夢見る少年や少女だった頃の自分と言ったほうが正しいか。
おすすめ記事
-
『OKMusic』サービス終了のお知らせ
2024.02.20 11:30
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.89】公開
2024.02.20 10:00
-
今年でデビュー50周年の THE ALFEEが開催する、 春の全国ツアー神奈川公演の チケット販売がいよいよ開始!
2024.02.13 18:00
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.88】公開
2024.01.20 10:00
-
宇多田ヒカル、 初のベストアルバム 『SCIENCE FICTION』発売決定& 全国ツアーの詳細を発表
2024.01.15 11:00
人気
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第1回 『自己紹介を。』 -
2014.12.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第16回 『巡り合いを。』 -
2016.03.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第2回 『忘れられていることを。』 -
2015.01.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第3回 『魔法の言葉は在るということ、を。』 -
2015.02.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第4回 『モヤモヤの正体を。』 -
2015.03.20 00:00