【The Wisely Brothers
インタビュー】
さまざまな“気付き”を経て
辿り着いた
それぞれに色の強い全11曲
L→R 和久利 泉(Ba&Cho)、真舘晴子(Gu&Vo)、渡辺朱音(Dr&Cho)
早耳のリスナーの間で注目を集めていた3ピースバンド、The Wisely Brothersが1stフルアルバム『YAK』でいよいよメジャーデビュー! 自分たちらしさと楽しむことをモットーにポップかつ、ちょっとアンニュイなロックを奏でる天真爛漫さがどんなふうに歓迎されるかが楽しみだ。
いよいよメジャーデビューする現在の心境は?
真舘
私たちの音楽をもっとたくさんの人に届けたいと思ってくれる人たちがいて、“もっと届けていいよ”って言ってくれていることが、まず一番に嬉しいです。そういう状況にある中で“じゃあ、どういうものを作ろうか?”って考えた時に、でもやっぱり一番表現したいのは私たちらしさなんだと思いました。だから、すごく大人っぽくやるわけでも、好き勝手にやるわけでもなく、私たちらしさというこれまで培ってきた中で見えてきたものを、一曲一曲いいかたちで音楽にして届けたいと思いました。
今、自分たちがやりたい音楽を言葉にすると?
真舘
私たちが日常の中で感じている楽しいことだったり、面白いなと思う場面だったり、ちょっと温かいなと思うことだったり、ちょっと寂しいなと思う気持ちだったり、そういうものを音楽を通して、この3人で表現することが誰かの面白さになるかもしれないし、もしかしたら寂しさになるかもしれないし…そうやっていろいろな感情になってもらえるんじゃないかと思って、それを楽しんでもらえたらいいと思いながら、今、やっているような気がします。ただ、それはこれまでCDをリリースするごとに、自分たちにはこういう一面があるんだって分かってきたことで。CDを出して気付くってことが、そもそもありがたいことなんですけど、CDを出させてもらったことで気付くことが本当にたくさんあって、今回のアルバムもできたような気がしています。
ところで、The Wisely Brothersの音楽をジャンルで言ったら何だと思いますか?
和久利
バンドを組んだ時から“どんなバンドなの?”って尋ねられても、ジャンルが分からないから答えられなかったんです(笑)。自分たちがどんなバンドなのか説明できないことが嫌だった時もあったんですよ。
渡辺
それでネガティブになったこともありましたね(笑)。
和久利
でも、いろいろな人がいろいろなイメージを持って“こういうバンドだよね”って言ってくれるようになると、特にジャンルを設定しなくても聴いてくれる人がそれぞれに感じてくれればいいかなと思うようになって。それに、どんなにいろいろな曲をやっても私たちの曲になるような気がしてきて、最近はどんなイメージを持たれても安心できるようになりました。だから、ジャンルレスです(笑)。
真舘
むしろ、いろいろなジャンルの曲をやりたいんです。
和久利
どんなジャンルの曲をやっても晴子の声がある時点でThe Wisely Brothersの曲になるだろうって思えるから、いろいろな曲をやるのが楽しみなんですよ。
今回のアルバムで曲の幅がすごく広がったと思うのですが、その中でも自分たちでも新しいと思う曲を挙げるとしたら?
真舘
一番新しいのは「彼女のこと」かな。
ファンクっぽい演奏は確かに新しいですね。
和久利
その「彼女のこと」をはじめ、今回は一曲一曲が強い色になっていて、そういう曲が11曲集まっているから、すごくカラフルなアルバムになっているんです。
多くの音を重ねず、余白も聴かせるようなアレンジと音の作り方になっているところも聴きどころだと思います。今回は3人同時に演奏したものを一発録りしたそうですね?
真舘
はい。これまでもそうだったんですけど、今回はアナログテープで録ったので、独特の温かみやひとつひとつの音が近くに感じられるというか、演奏している私たちの気持ちに寄り添った音になった気がしています。一発録りってお互いの音を聴きながら演奏するじゃないですか。私たちは曲を作っている時もそういうやり方で気持ちを重ねていくようなことをしているので、それをレコーディングでもやるっていうのは、私たちに一番合っていると思いました。
ふんだんに入れたハーモニーも聴きどころですね。
真舘
プロデューサーの片寄明人さんが泉と朱音の声はすごくきれいだから、例えばストリングスを入れたいのにストリングスがいないという時でも、入れたい音を声で出せば、もうそれで3人でできるからって教えてくれて。
和久利
去年3月にリリースしたEP『HEMMING EP』でそれをやり始めて、今回は片寄さんに考えてもらったコーラスもあるんですけど、自分たちでもどんな面白い音にしようか考えながら作ったことがすごく楽しくて、コーラスを楽器のひとつみたいにできたという手応えもあるんです。
真舘
同じコーラスが主旋律の上にずっといるみたいなのが好きで、「give me a mileage」という曲では“ずっと歌ってて”って泉と朱音にお願いしました。バランスを考えてカットしたところもあるんですけど、ベールのようにずっと鳴っている楽器のイメージだったんですよ。
改めて気付いたことも含め、吸収してきたいろいろなことが反映された今回のアルバムは、まさにバンドの著しい成長を印象付けるものになりましたね。
和久利
作品を作るたびに気付くことばかりなんですけど、まさかフルアルバムを自分たちが完成させるとは思ってなかったです(笑)。
真舘
本当に想像できなかったんですよ(笑)。
和久利
無事に完成させることができたのは、本当に大きいと思います。もちろんたくさんの人の応援と支えがあってできているものなんですけど、その根本に私たちがいられるっていう。信じられないです(笑)。
次も、そしてその次も楽しみにしています。
渡辺
今までより時間をギュッと凝縮して作った分、達成感もあったんです。今後、苦しむこともきっとあると思うんですけど、完成した時の達成感を思えば、乗り越えられると思うので、この先も頑張ります!
取材:山口智男
「庭をでて」MV
アーティスト
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