【J インタビュー】
あぁ、俺たちは
何も間違ってなかったんだな
ソロデビュー20周年記念ツアーの熱気あふれるファイナルを収めた映像作品をリリースするJ。フロアーに自らダイブした模様は大きな観どころで、その背後には20年を掛けて築き上げたファンとの信頼関係があった。
映像化される6月25日のEX THEATER ROPPONGIでのライヴは、どんな手応えがありましたか?
ソロ20周年を祝う記念のツアーだったので、全国各地いろんな想いを持ってステージに挑んでいったし、会場中の熱がいろんなドラマを生んでくれて。そのファイナルだったので、“最高のライヴにしたいな”と思っていました。気持ちは高まっているとはいえ、空回ってしまうのではなくて、20年間やり続けたことに対しての自分なりの答えを持って、自然にステージに上がれたかなと。まさに俺自身の、俺がやり続けてきた音の世界を表現できたライヴだったと思いますね。
MCでは“お礼を伝えに行くツアーだった”と振り返っておられましたが。
そうですね。20年前の1stツアーで今のことを想像できていたかというと、まったく考えてなかったですからね。自分でも“よく続いたな”と思うところもあるから。自分だけの意志や力ではここまで辿り着けなかったというのは、今改めて感じることなんです。全国各地、20年前の当時も今も何も変わらずライヴでみんなが一緒になって熱くなれるなんて、本当に素晴らしいことだと思うし。感謝しかないんですよね。
8月にはコンセプトが全て異なる3デイズ公演を開催されましたが、6月のセットリストはどのように決めたのですか?
今までは各地でメニューを変えたりしてたんだけど、今回はひとつのメニューを持って、あえて変えずにずっと回ってたんですね。ひとつのメニューを磨き上げてもっと熱を高めて、成熟させていくのもいいんじゃないかなと。それもひとつの進化だと思うし。特に今回は20周年というアニバーサリーツアーだし、“自分自身のあるべき姿”というのをどこまでも打ち付けてみてもいいんじゃないかなと思ったんです。
驚いたのはJさんがダイブされた場面で。“気付いたら飛んでた”とのことですが、かなり久しぶりでしたよね?
久しぶりです(笑)。“沸点を超えたいな”って。ある程度ライヴを進ませていくと、ゴールって決まっていってしまうから、あの瞬間、自分の手でそれを壊しちゃいたいと思ったんですよね。壊した先のドラマは何がどうなっていくか分からないけど。全国各地で同じメニューをずっとやってきたことから生まれる安心感や、自分たちに対してのプライドもあったからこそ、最高な場所へ行けると確信があって、だからこそあそこに行けたんだと思うんですよ。今思い返してみると、ですけどね。
実際にダイブしてみての感触はいかがでした?
実は20年前…大阪の会場だったかな? ダイブをしてグチャグチャになってしまって、ライブを止めたことがあったんですよね。あの時から比べると、俺たちはお客さんとの信頼関係を築くことができていて。ダイブ後に何事もなくああやってライヴが進んでいくのは、無秩序なように見えて、やっぱりみんなの中でのルールや秩序が存在しているからだし。それは自分たちの音楽を守り続けてきた、自分たちの場所を守り続けてきたフロアーのみんなのプライドだと思うし。だから、それはそれは温かかったですよね。“あぁ、俺たちは何も間違ってなかったんだな”と。あの日のライヴのひとつの答えを得られたような気がした瞬間でした。
この公演のみ、ダブルアンコールで「NEVER END」を披露されたわけですが、強烈なメッセージを感じる熱い選曲でした。
“ツアーファイナルではあるけど、次に向かってのスタートなんだ!”ということを伝えられたらいいなと思ってプレイしましたね。想いはずっと一緒だとすれば、やっていることはスタートポイントと変わってないといけないとも思うんですよ。守りに入らないようにしていきたいとは常に思ってるし、それは20周年にしてより強く思いましたね。
映像化する際、Jさんは“こういう画を撮っておいて”と、ライヴ前に具体的な指示をなさるのですか?
うん。やっぱり、ライヴ感を損なうような画は撮ってほしくないという想いはあるんだよね。それがいくらきれいな映像であっても。その日に渦巻いている熱をキャッチしてほしいということは監督にはいつも伝えてるし、みんなでグルーブしていく感じは求めますよね。
編集チェックも細かくされるタイプですか?
実は、自分の音楽にまつわること…例えばレコーディングとかライヴとか、もしくは取材とか、その中で一番嫌いな作業は映像編集で…卒業写真とか見るの、好きですか?(笑)
恥ずかしいですよね(笑)。
ずーっとそれを見てなさい、と言われてるようなものだから(笑)。観返せば当然“ああすれば良かったな”“こうすれば良かったな”という気持ちもある中で、それは置いておいて、ちゃんとみんなに届くように作品を作り上げていくわけなんですけど…でも、LUNA SEAの映像編集のトラウマもありますよ。今はハードディスクでバンバンつなげるから早いけど、VHS時代は待ち時間も長くて。俺、『マリオブラザーズ』をやり終わりましたからね(笑)。それに、ひとりがどこかを直しちゃうと、それによってこっちも直さないといけなくなるし。
収拾がつかないですね。
収拾なんかつかないですよ、そもそも(笑)。誰が降参するかだけ。恐ろしかったですよ(笑)。
では、最後に年末に向けての意気込みをお願いします。
去年から始まった『放火魔 大暴年会』(12月30日)は、タイトル通り楽しくて熱いライヴになったので、今年も去年以上に盛り上げていきたいですね。そろそろキャスティングも発表していきたいな、と。LUNA SEAの新作のレコーディングもやっているので、ものすごい速度で全てが次のフェイズ、ステージに向かって行っていて。ソロ20周年という節目の年が、俺自身にものすごい力を与えてくれたから、またさらにこの先をものすごく熱いものにしていきたいと思うことができた…そんな年になった気がします。
取材:大前多恵
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