【LUNKHEAD】LUNKHEAD Shibuya O-EA
ST 2009年8月28日

撮影:西原勝哉/取材:石田博嗣

1曲目からフルスロットル! これからライヴという3時間弱の長距離を走るのに、短距離走ばりの勢いとテンションだ。つまり、力を温存していないということ。1曲1曲に120パーセントの感情を出しきらないと、自分たちが楽しめないと言わんばかりの様相である。しかし、そこで感じたのは“これがLUNKHEADだよな”という安堵感だった。それは、パーマネントにバンドに関われなくなった石川 龍 がドラムを叩いていることも大きいかもしれない。その生々しいサウンドを全身に受けて、バンドというのはメンバー全員が主役だと改めて痛感した。サポートを迎えて、3人の主役で展開していた新しいドラマも魅力的だが、そのツアーを経ての4人集結した新ドラマということで、やはり興味深いものがある。ドラムがよりタフに、よりシャープに、より強靭になっていると感じたのは僕だけではないだろう。そんな石川に触発され、他のメンバーの意識が高まっていることも言うまでもない。となれば、楽曲が持つ生命力や躍動感、メッセージ性なども高まるというもの。最上級のラブソング「呼吸」は痛いまでにサウンドがヒリヒリとしているのに、眩しい光に包まれている温かい包容力を持っていたし、「トット」では渦巻く音の中で“猫が見ていた夢”をイメージさせる説得力を秘めていた。もちろん、観客の高揚感も半端ではない。屈強なバンドのサウンドに対して、凄まじいエネルギーを返している。そんなパッションの循環によって、場内に尋常じゃない熱気が立ち込めていたのも特筆すべきところだ。そして、両者の気持ちが完全にひとつとなったったのがオーラスの「僕らは生きる」。大合唱を呼び、メンバーも観客も汗だくになって完全燃焼したのだった。

LUNKHEAD

ランクヘッド:1999年に愛媛県で結成され、04年1月にシングル「白い声」でメジャーデビュー。10年4月にオリジナルメンバーの石川 龍(Dr)が脱退するも、桜井雄一(ex.ART SCHOOL)を迎えての新体制となる。結成20周年となる19年には、4月に12枚目のアルバムとなる『plusequal』を発表。

アーティスト