【Jeepta】
取材:田上知枝
静寂と破壊、知性と狂気を兼ね備えたバンド
Jeeptaのヴォーカル石井 卓は、ステージで何かに取り憑かれたかのように目を剥き、にやりと笑う。人間の心の機微や、そのさらに奥深いところに渦巻く感情を吐き出すように、そのまま歌にぶつける。だからこそJeeptaのサウンドは生々しく、観客の視線を強引に彼らに向けさせるだけの説得力を持っている。
石井が音楽活動をスタートさせたのは高校生の時。コピーバンドをやっていた彼は、友達のオリジナルバンドを見て、“明らかにオリジナルの方が凄みがあったし、カッコ良かった。で、負けたくないと思った”という理由で、好きな曲のコード進行に自分でメロディーを付け始めた。歌詞を書き始めたのはJeeptaを組んでから。“試しに歌詞を書いて、それを歌った時、すごく気持ちが乗って、すごく気持ちが良かった。それからは自分が書きたいという気持ちが強くなった”という。普段の石井は決して饒舌なタイプではない。そんな彼が思春期に凄みを感じる音楽に出会い、自分の書いた言葉をメロディーに乗せた時、気持ちが上昇するのを感じた。彼がステージで刺々しいほど露わにする情感は、この初期衝動あってこその産物であるように感じてならない。
そんな彼らの名を全国区に知らしめることになるであろう本作は、これまで地元の稲毛を拠点にライヴに重きを置いて活動してきた成果が結実した自信作だ。
「改めてアルバムを通して聴いてみて、とても大きな作品になったなと。僕らの今とこれからが感じてもらえると思います。ライヴも、楽曲制作も、次の場所へ、ステップへっていうのは意識してやっていた部分だったんですが、ここで出てきたかと感じました」(石井)
本作では新たな試みとして一発録りの曲も収録され、彼らのライヴへのこだわりと、媚びない自信がうかがえる。次のステップへと、今まさに歩みだそうとしている彼らは、自分たちの弱い部分を認めた上で、揺るぎない姿勢を貫いている。そこがまた人間臭く、魅力的なのだ。
「ステージでは、一緒に成長しようということを伝えたい。僕らは未熟者だし、完璧な人間もいないと思います。僕らは周りの人々に成長させてもらっています。それと同じようなことを僕らがステージでやりたいですね。もしかしたら、僕らの音楽から“前向き”が始まるかもしれません。ぜひ『進化論』を聴いて、ライヴにも遊びに来てください」(石井)
アーティスト
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