【BUCK-TICK】『THE DAY IN QUESTIO
N』2015年12月29日 at 日本武道館

撮影:田中聖太郎/取材:土屋京輔

 2001年の初開催以来、12月29日の恒例行事となった、BUCK-TICKの日本武道館公演。今年は長野、大阪、札幌、横浜も回るツアー形式の『THE DAY IN QUESTION』となったが、特定の作品に伴うライヴではないため、今回も予測不可能なセットリストが組まれていた。何しろ1曲目から「ANGELIC CONVERSATION」(1989年発表の『TABOO』に収録)である。

 とはいえ、新旧織り交ぜたレアなマテリアルだけが目玉ではないのが、BUCK-TICKならではの奥深さだ。曲の並びにしても、例えば「メランコリア -ELECTRIA-」から「ICONOCLASM」へ、「JUPITER」から「夢見る宇宙」へ、「太陽ニ殺サレタ」から「die」へといったように、サウンド傾向やタイトルや歌詞にちなんだレトリックを通じた連関があり、なぜそのオーダーだったのか、ライヴ中はもちろん、鑑賞し終えた後も、個々にじっくりと探求できる楽しさがある。

 言わずもがな、どんな音楽性のものであっても、類稀な求心力で惹き付けていく固有のパフォーマンス自体が全ての基盤である。1カ月ほど前には櫻井敦司(Vo)のソロプロジェクト、THE MORTALのステージも目撃したが、唯一無二のパーソナリティーを持つ彼にしても、やはりBUCK-TICKの一員たる見え方になるから興味深い。当然、他のメンバーも同様で、この5人が集結することでしか生まれない世界が恒常的に会場内を支配していく。

 終演後には2016年9月11日の横浜アリーナ公演の実施と『或いはアナーキー』に続く作品の制作へと入ることも発表になった。しばらくは再び地下活動となるが、それもまた次なる変貌に向けた、意欲的な胎動期でしかない。彼らの進化/深化は今も続いている。



セットリスト

  1. ANGELIC CONVERSATION
  2. 惡の華
  3. LADY SKELETON
  4. Brain, Whisper, Head, Hate is noise
  5. BUSTER
  6. 狂気のデッドヒート
  7. tight rope
  8. 密室
  9. スパイダー
  10. MISTY ZONE
  11. メランコリア -ELECTRIA-
  12. ICONOCLASM
  13. 細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM
  14. JUPITER
  15. 夢見る宇宙
  16. <ENCORE1>
  17. 形而上 流星
  18. 太陽ニ殺サレタ
  19. die
  20. <ENCORE2>
  21. FLAME
  22. MISS TAKE〜僕はミス・テイク〜
  23. CLIMAX TOGETHER
  24. LOVE ME

BUCK-TICK

バクチク:1987年にメジャーデビューを果たし、以降メンバーチェンジすることなく、日本のロックシーンの第一線で活躍し続ける。不動であり孤高であるその姿は、後続するアーティスト達にも多大な影響を及ぼしてきた。89年にリリースされた3rdアルバム『TABOO』でチャート第一位を獲得、デビュー後わずか2年の間に日本武道館、東京ドームと席巻し、名実共にトップアーティストの仲間入りを果たす。その後も独特なポップセンスとダークな世界観を深く掘り下げていく一方で常にその時代の先鋭的な要素を積極的に取り入れ、まさにBUCK-TICKでしか成し得ない独自の音楽性を提示しながらも、今なお進化し続けている。

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