BUCK-TICK

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【BUCK-TICK インタビュー】
圧倒的な説得力で迫る
“無”の境地

デビュー30周年を記念した一連の公演を終え、新たに発表するアルバム『No.0』。そのシンプルなタイトルにも驚かされるが、BUCK-TICKの幅広い音楽性を改めて提示した、内容そのものが揺るぎない自己主張だ。

映像的な曲だなっていうのは
自分で感じましたね

30周年記念の活動のさなかに準備が進められていた今回の『No.0』ですが、特定のコンセプトに基づいて制作されたものではないと思いますが…。

今井
はい。もう、出てきたものから、いいものを作っていこうみたいな。ただ、映像的な曲だなっていうのは自分で感じましたね、出来上がってみて。そこがちょっと面白いかな。あとは不協和音というか、音がはみ出ている、そういうところを上手く取り入れることができたかなと思いますね。

それは今までの作品でもありましたよね?

今井
でも、それが気持ち良くストンと上手くできたのが今回のアルバムだと、自分で感じるところなんですよ。別にそこがテーマとかそういうわけではないんですけど。

櫻井さんはどのような臨み方をしたんですか?

櫻井
いつも以上に研ぎ澄ませて、パフォーマンスも丁寧に、より美しく、より強く…より美しい言葉、より強い言葉を模索して、今、自分の中でできる完璧に近付けようと。だから、歌詞とか歌入れは…普段から集中してはいるんですけど、今回はものすごく集中していたので、かなり疲れましたね。もっときれいに収まる言葉、もっと人の心に突き刺さる寸前の言葉だったり…傷付けないようにね。その辺の塩梅をすごく考えて、考えて。歌そのものも最後の音符までビブラートも丁寧に、発音も丁寧にとか、自分があとで聴いて後悔しないところまでやれば、聴いている人も“あ、いいな”って感じてもらえると思うんですね。“すごくいいな”じゃなくていいんです。“あっ、いいな”で。

櫻井さんから今井さんのレコーディングの光景はどのように見えていたのでしょう?

櫻井
やっぱり、ここ数枚は音へのこだわりが強くて、マニピュレーターの横山和俊さんへの注文がかなり厳しいものになっているんですよ(笑)。職人でもあるし、アーティストでもあるという、一個一個の音を積み重ねていく中で妥協をしない。かわいそうな横ちゃんっていう(笑)。
今井
ははは。最後までオーケーは出さないです(笑)。とはいっても、難しいことをやっているつもりはないし、本当に思うがままなので。

お台場での『BUCK-TICK 2017 "THE PARADE" ~30th anniversary~』が終わったあと、櫻井さんは“(筆者が)好きな感じのアルバムだと思います”とおっしゃってたじゃないですか。その発言の根底には、櫻井さんなりのこのアルバムのポイントがあったのではないかと思うんです。

櫻井
お気に召しませんでしたか?(笑) 強いて挙げると、キャラがあちこちに行ってて、どれが本当の櫻井さんなのって、そういう煙に巻いた感じがお好きかなと思いまして(笑)、それでそういうことを言ったんだと思うんです。

なるほど。今回の制作で鍵になった曲もありますか? 

今井
特にそういうものはないかなぁ。でも、「ゲルニカの夜」や「零式13型「愛」」は、その8分の6、3拍子みたいなものが自然と出てきたのが、自分でも面白いなと思いましたね。それは今までにない感じで。メロディーも特に考えることもなく、すぐにパーッとすんなり出てきたんですよ。始めのほうに作ったのは、「Moon さよならを教えて」とか「BABEL」とか「美醜LOVE」とかですね。

「BABEL」が第一弾先行シングルに選ばれた理由は?

今井
自分の中ではデモを作った段階でシングル候補ではあったんですけど、スタジオに入って音を詰めていくうちに、こういうタイプはシングル向きじゃないのかなぁと思いつつ…「Moon さよならを教えて」はシングル候補ではあったんだけど、30周年の一発目に出すシングルとして、やっぱり力強いものがいいんじゃないかという考えもあって。あとはチャレンジじゃないですけど、「BABEL」みたいな曲をシングルにするっていうのはうちららしいし。

まさにBUCK-TICK以外の何ものでもない曲ですよね。そして、“BABEL”という題材がまた意味深い。

櫻井
デモの仮タイトルが“BABEL”となっていたんですね。そこにインパクトを感じたのと、ちょうどブリューゲルの『バベルの塔』の展覧会がありまして。海外でもやっていたみたいなんですが、やけにファンの方が“バベル、行きました?”とか伝えてきたり、プレゼントもたくさん届いたんですよ。そんな中で洗脳されまして(笑)、自分なりの解釈で“BABEL”とは何ぞやというものを書いていって。
今井
いつも仮タイトルを付ける時は悩むんですよ。そこでわりと櫻井さんが影響を受けることもあったりするので(笑)。でも、これは曲のイメージは“BABEL”かなってポンと浮かんできたんですね。そこで一応、“BABEL”がどんな感じなのかを調べてたら、ちょうど『バベルの塔』展をやってたりして、何か呼ばれたのかなって。

そんな偶然が重なったんですね。《我はバベル》という一節もかなり力強いですよね。

櫻井
まぁ、バベルの塔の話ですけども、天を目指す、神に近付づこうとするのは愚かな所業だという一説がありますよね。その愚かの象徴が私であり、人であると。

冒頭の《私は無である》という言葉も印象的ですが、近年の櫻井さんを体現するものですよね、“無”というのは。

櫻井
面白いですよね。イメージされた通りです。僕が説明するより、聴いた人のものであってほしいと思いますので。

OKMusic編集部

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