【TOTALFAT】ポップさの中に“洋楽感
”を落とし込む
L→R Shun(Vo&Ba)、Jose(Vo&Gu)、Kuboty(Gu)、Bunta(Dr)
ジャパニーズ・パンクシーンのネクストヒーローの勢いは止まらない! 前作「Place to Try」から息付く間もなく完成したニューシングル「Good Bye, Good Luck」から、TOTALFATの加速度的な進化をぜひ感じ取ってほしい。
取材:道明利友
前作の「Place to Try」から2カ月という短いインターバルからして、勢いに乗っている感じがしますね。
Shun
攻め続けよう、みたいな。今は曲もすごくできるし、アニメのタイアップ(『NARUTO-ナルト-』オープニングテーマ)だったりも含めて、バンドを取り巻く状態が良いっていうのもあるし。自分たちも含めたTOTALFATを取り巻くみんなが同じ方向を向いて動けてるっていうところで、“今やんないでどうする!”っていう空気がありますよね。
その「Place to Try」に続く日本語詞や、パンキッシュなスピード感とはひと味違うリズムだったり、今回も新たな要素がすごく詰め込まれているなと感じました。
Kuboty
そうですね。ポップな曲の中にも、俺たちがずっとやってきたパンク、メロコア、メタルもあり…そういう音をなるべく出せたらなっていう意識はありながら、まずはメロディー優先で作った曲ですね。
Jose
最初は、ちょっと軽くなるんじゃないかなって不安もあったんですよ。すごくキャッチーで良い曲だなって思える曲だからこそ、それをいかに“バンドの音”として聴かせるか、“ロック”に聴かせられるかっていう部分ですごく考えましたね。“ガッツリ攻めたいんですけど、この曲自体の良さも出したいんですよね”って話は、アレンジャーさん(岡野ハジメ氏)を含めていろいろな話をして。
Bunta
日本語でポップさもあって、メロコアの2ビートではないテンポ感の曲でも、いかに太く大きな音で表現するかっていう。そういうものを表現しないと軽く感じちゃうと思うんですよね、こういう曲は。それを意識しつつ、“洋楽感”みたいなものをどう落とし込むかもすごく考えましたね。Kubotyがさっき言ったようないろいろな要素が入ってる俺たちの曲を若い子が聴いて、その基になっている音楽ルーツを掘り下げてくれたらいいなっていう思いも含めて。
Shun
うん。それって、バンドがやるべきことのひとつだよね。好きな音楽を、次の世代に伝えていくって。
前回の取材でも、“自分が本気でやってる音楽を次の世代に伝えていきたい”って話をしてくれましたよね。
Bunta
そうですね。俺たちはやっぱり、自分たちが憧れ続けてきたアメリカンロックだったり、パンクだったりを鳴らし続けなきゃいけないと思ってるし、そういう使命感も出てきたし。今は日本語の曲もやっているからこそそういうルーツはもっと大切にするべきで、だからこそもっといろんな音楽を聴いていかなきゃダメだとも思うんです。最新のビルボードチャートはどうなってるのかとか、俺たちがずっと聴いてきたシーンの底のほうにはどんなバンドがいて何が最先端なのか…。そういうことをチェックしていろいろ吸収しながら、俺たちは日本でTOTALFATのロックをいかに体現していくかを、常に考えなきゃいけないというか。
それと、今回のタイトルから切ない別れの物語かなと最初は想像したんです。“さよなら”をイメージさせるタイトルというか。でも、“旅立ち”っていうフレーズもある歌詞には、TOTALFATらしい前向きさが描かれていますよね?
Kuboty
そうですね。“旅立ち”って、前向きだし。
Jose
そうそう。“卒業感”みたいな感じはありますよね。卒業って、後ろ向きな気持ちにはならないじゃないですか。次の進路でお互い頑張ってまた会おうな、みたいな。
Bunta
そういうとこに、“西海岸感”が出るね(笑)。
(笑)。みなさんのルーツの西海岸系のパンクバンドは、明るさとか前向きさを歌うバンドが多いですしね。辛いことはもちろんあるけど、立ち上がってそれを越えていこうっていう前向きさを歌うのはTOTALFATも同様で。
Jose
滲み出ちゃいますね、やっぱりそういうものは。
Bunta
うん。だからこそ、心をえぐるような暗い言葉じゃなくて、前向きなものを歌うっていう。
Shun
そうだね。基をただせば、俺らが音楽からもらってるものってポジティブなエネルギーだし。だからこそ、俺らがあえてマイナスなエネルギーに変えて発信する意味があるの?っていう。ネガティブな気持ちがあっても、それをポジティブなエネルギーに変換できるような…もっと言えば、ポジティブさって、どんな人の心にも訴える普遍性にもつながるような気がしますから。
カップリングでは、高速パンクチューンの「Attack Or Die」とバラードに生まれ変わった「Place to Try」という、振り幅の激しい2曲が並んでいるのにも驚きました。「Place to Try」の末光 篤さんとの共演は、みなさんからの発案だったんですか?
Shun
そうなんです。末光さんとぜひやりたいってお願いをして、アレンジしていただいたんですよ。
Kuboty
俺、めちゃくちゃファンなんです! こういうアプローチもやってみたいって気持ちは前からあったんですけど、なかなか上手くいかなくて。テンポ落とした感じで4人の楽器だけでやるよりは、やっぱりピアノでやってみたかったんですよ。俺らは勢いだけじゃないっていう面とか、こういうアレンジをしても闘えるんだっていうのはアピールポイントではありますよね。俺たちはどんな曲でもメロディーありきでやっているバンドなんで、勢いとか速さの味付けはするんですけど、例えばメロディーだけでも聴けるような曲じゃなきゃダメだなっていうのは常にあるので。
Shun
そういうふうに幅は広げながらも、俺たちがずっとやってきたアプローチである英詞の曲も、珠玉の曲が控えているので次も楽しみにしててほしいですね。今はシングルにバリエーションを付けて出しているからどのアプローチから入ってもらっても良いし…その全てを総括したものとしてアルバムも待っているので。昔からのファンも新しいファンも総動員で聴いてもらって、一緒に次のステップに進みたいっていうのが今の僕たちの計画なんです。
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