【TAIJI at THE BONNET】社会で起き
ていることに
蓋をしないのがロック
L→R 阿部耕作(Dr)、奥野真哉(Key)、佐藤タイジ(Vo&Gu)、うつみようこ(Vo&Gu)、ウエノコウジ(Ba)
百戦錬磨の強者5人が、宿命を抱いて運命的にバンドをスタート。強靭で真摯なメッセージを、タフでセクシーなロックンロールに乗せて連射し続ける。本物のロックスピリッツの塊、しびれるほどカッコ良すぎるぜ!
取材:竹内美保
「100% SOLAR BUDOKAN」の《オレたちはロック畑の人生さ 吠えるなら、闘うなら、今しかない、今しかないぜ》という一節が、この作品を象徴している気がすごくするのですが。今作の制作にあたり、タイジさんは何を謳うべき、届けるべきと考えて臨まれたのでしょうか?
あぁ、俺もあのフレーズは好きです。でも、何を届けるとか…そういう考え方ではなかったかな。もう、出てきちゃうんです。そのこと(震災、原発事故)ばかり考えてるから。で、俺は音楽をやっているから、やっぱりそれがそのまま歌になっちゃう。3.11以降に最初に書いた曲は『ROCK’N ROLL JEDI』なんですけど、居酒屋ネタの下ネタなんですよね、この歌詞は。
でも、ダブルミーニングになってますよね、原発の話との。
そうそう。それがまず出てきちゃって。俺、楽しいのが好きなんですよ。楽しくないと続かないし、大変な壁も上がれないから。
でも、“出てきちゃう”のは出す意味があればこそかと。蓋をしていたら出るものも出てこないですし。
それはそうだよね。でも、ロックってそういうのに蓋をしないという姿勢やんか。蓋をしなかった人たちの声って、やっぱり残ってるし。ボブ・ディランにしても、ジョン・レノンにしても、忌野清志郎さんにしても。そのやり方は60年代からずっとあるし、それはちゃんと伝えていきたいんですよね。
そこが明確に表れているから、このアルバムを聴くとすごく爽快だし、痛快に感じるんです。しかも、尋常ではない濃さのメッセージで(笑)、カッコ良い音楽を鳴らしているので。
ハハハハハ! 爽快ですよね、うん。このバンド、痛快だよ。尋常じゃないし(笑)。傑作だよね、このアルバムも。
楽しい音楽、でも単なる娯楽ではないといいますか。
あぁ、そういうニュアンスはあるかもね…。でも、娯楽っていうのは本来こういうものなんじゃないの?ってところもある。立川談志さんなんかも娯楽に対する視点が高くて、社会のことを見渡していた感じがあるし。だから、娯楽っていうのは社会で起きていることに対して蓋をするのではなくて、全部出した上で、楽しくみんなでやっていかなあかんわけ。自分がいるところでどうやって感じて、未来に向けて…だから、もう未来に集中したいんです、俺は。ウォール街占拠やアラブの春も含めて、地球に対してすごくでっかいサイクルが来てる。で、変わるなら過去よりはもう少し賢くなりたいから。今、我々は我々の子孫からものすごい視線で見られているわけじゃないですか、“この人たち、どうするんやろ?”と。だからこそ、ほんとはロックミュージシャンとかはもっと頑張らなあかんし、ロックミュージシャンの立場でものを言っていくべきやと思うし。俺なんかまだまだちっちゃいかもしれないけれど…ここに至るまでにもうちょっとヒット曲を書いとったらなー(笑)
何をおっしゃいます! このアルバムを聴いた人の原動力に間違いなくなりますよ。実際、私がそうですし。
なってほしいですね。やっぱりロックに育てられたところが大きいんですよ、俺は。何を思ってロックするのか、いろいろあるやろうけど。でも、なんか、概念だの哲学…ではないけど、やはり“態度”は教えられるところは大きいよね。
先程の談志さんを例に出した“本来の娯楽”の話に少し戻ってしまいますが、“ユーモアとアイロニー”を兼ね備えてこそのメッセージというのは大事な気がします。
うん、それはそうですね。だから、“面白い人でいたい”と最近思いますよ。面白い大人たちのロックバンドでありたいし。
そういう発想と楽曲に込められたメッセージを合わせて考えると、『STAR WARS』をモチーフにしたのがよーく理解できます。
いいでしょ? もう『STAR WARS』にしか見えないんですよ、俺には。“あいつ、ダースベイダーだな”とか“あいつがシスだったか!”みたいな。
清志郎さんも登場人物になぞらえて…(笑)。
オビワンケノビーにね。すんません(笑)。でも、フォース磨きたいですよねー。あれ、日本語では“理の力”と訳されているんですけど、素晴らしい訳ですよね。
「THIS IS WE ARE」は、まさにそれが歌われていますよね。
“理力”ね。理力に勝ってほしいですよね、何ものに対しても。
理力と英知を最大限に活かして、未来へ進む。
うん。さっき言ったように、蓋がバンバンとれてきて…みんな分かっているんですよ、己に課せられた仕事を。だから、俺とかはやっぱりバンバン言っていかなあかんのやなってすごく思う。で、みんなも思うことを言うていったらええやん、とも思うし。日本人って“スクラップして、ピルドアップをして”を繰り返してきて、ここで大きい地震と原発がセットになった大事故、大事件が起こった。もちろん、世界中でいろんなことが起きているけど、我々はその前っ面にいるんだよね。で、前っ面にいる人間には、そこにいる人間の役目があるんですよ。
はい。それはこの作品を聴いて、改めて深く思うところで。でも、ステレオで爆音で鳴らしていると自然とガンガン踊っちゃうというのも、このバンドの奏でるロックの魅力でした。
あー! いいんじゃないですか、それ!! それは素晴らしいね。ぜひ踊ってほしいですね、みなさんにも。
TAIJI at THE BONNETというバンドに対しては初めて出会う方も多いので、最後にみなさんへひと言いただけますか。
俺にとっても新しいバンドやし、アルバムも気合いの入った、俺のキャリアの中でも大事な一枚なので、このアルバムを一緒に感じて、そして未来にみんなで集中しよう!
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