【ハンサムケンヤ】感性を研ぎ澄まし
まくりの日々を
送って生きたい


取材:土内 昇

ハンサムケンヤの楽曲を聴いて、まず思ったこと。それは“彼にとって歌とは何だろう?”ということだった。なので、まずはそれを質問した。

体に収まらない感情を貯めておく、いわば感情の収納箱のようなものですね。PCにとってのUSBみたいなものです。みかん農家にとっての貯蔵庫でもあり、魔法少女にとってのソウルジェムみたいなものですかね。“この気持ち忘れまい”と今まで書き綴ってきました。

そのさまざまな感情が作品としてまとめられたのが、1stフルアルバム『エフコード』。基本的にポップで、歌もどこか飄々としているのに、歌詞が心の内を吐き出しているのが印象的だった。キャッチーに耳に馴染むだけでなく、しっかり心に訴えてくるものがあるのだ。

収録されている曲は、ほとんどが大学時代に作りました。なので、僕からすると大学時代の日記です。自分が子供なのか大人なのか、そのどちらの側面も持ちながらいろんな人と接する時期だったので、常に戸惑い、迷い、疑問を持ちながら暮らしていました。読み返すとすでに若さを感じます(笑)。歌詞を書く時は、日記を付ける感覚なので、“幸せになろう”とか“信じれば叶う”とか前向きというよりは、淡々と愚痴をこぼしたり、こんなことがあったからうれしかった、こんなことがあったから悲しかった、というようなどっちかと言うと暗い…。そんな歌詞が暗い曲調になるともう、どうしようもなくなるので(笑)、楽曲はあくまで自分の好きなポップスでいきたいと思っています。

では、そんなハンサムケンヤが目指す音楽とは?

昔の自分の歌詞に励まされたり、可愛いなって思ったり、元気をもらったりすることがあるんですよね。なので、変に大人びることなく、粋がることなく、歳相応の詩を延々と書き続けたいです。そうしていつか人生を振り返る時期がくると歌詞帳を読み返しながら、ニヤニヤしたいですね。感性を研ぎ澄ましまくりの日々を送って生きたいです。

4月より全国ツアーをスタートさせるハンサムケンヤ。最後に、その意気込みを語ってもらった。

“へー、あんまりハンサムじゃないじゃん”って思われたいです。でも、終演後に“ライヴはハンサムだった!!”と言われたいです。僕自身これが初めてのツアーで、しかも初めて訪れる地が多いのでワクワクしています。このワクワクがお客さんにも伝わればいいなとも思っています。

ハンサムケンヤ

1987年生まれ、熊本県出身のシンガー・ソングライター。2011年より本格的に活動を開始。同年5月、立命館大学在学中にバンド仲間とインディ・レーベルの古都レコードを立ち上げ、その第1弾アーティストとして1stミニアルバム『これくらいで歌う』をリリース。映像作家の椙本晃佑によるアニメーションやCGを取り入れた同作の収録曲「蟲の溜息」「これくらいで歌う」のビデオ・クリップが、動画サイトを中心に話題となる。同年8月、1stフルアルバム『エフコード』を発表。ポップなメロディを届けるどこか捻れたバンド・サウンドと日常を描きながらも非日常に誘うかのような歌詞世界で、徐々に注目を集めていく。2012年7月、「集積ライフ」「カサブタ」を配信リリースし、メジャーデビュー。同年10月には、メジャー1stミニアルバム『ゴールドマッシュ』を発表。2013年2月、メジャー2ndミニアルバム『ブラックフレーム』をリリース。とにかくクセになるポップ・ワールドはその人気をさらに拡大し、2014年3月には待望のメジャー初フルアルバム『アムネジア』を発表した

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