【Chicago Poodle】このアルバムは今
の僕らのメッセージ
L→R 辻本健司(Ba)、花沢耕太(Vo&Piano)、山口教仁(Dr)
ベストアルバム『HISTORY I』後のオリジナルアルバムとなる『3.0』は、まさにネクストステージの幕開け! “新しさ”であり、“らしさ”であり、何よりもバンドとしてのChicago Poodleが垣間見れる一枚となっている。
取材:石田博嗣
2011年11月のベストアルバム『HISTORY I』発表後、配信限定シングル2曲を経てのニューアルバムとなるわけですが、ベストアルバムでひと区切りした感じはありました?
花沢
そうですね。インディーズからの楽曲をひとまとめにしたってことで、また新たな気持ちになりましたね。僕らは作品ありきのバンドだと思ってますんで、3rdアルバム…もちろん4枚目、5枚目とアルバムをどんどん作っていきたいっていう気持ちになって、早くオリジナルアルバムを作りたいなって思ってました。
配信曲2曲を含め全12曲がアルバムには収録されているわけですが、これまでにもいろいろなアプローチの楽曲があったので、振り幅の広いバンドとは分かっているのに、さらに広がった印象がありましたよ。1曲目の「ともし灯」は音楽劇の劇中歌みたいだし。
辻本
ジブリっぽいですよね(笑)。
そんな「ともし灯」の次にソウルのテイストが盛り込まれたポップスの「More Soul Train」がくるという(笑)。そういう振り幅は意識的なものだったりするのですか?
花沢
特に意識していたわけではなくて…今までもそうなんですけど、僕の中ではジャンルやテンポって関係ないんですよ。いい曲を作ろうと思ってピアノに向かってできる曲が、たまたまジャズのビートだったり、たまたまワルツのリズムになるだけであって、そういうものを意識して作ろうと思って作ってるわけじゃないんですね。“あっ、これワルツやん。これ心地ええな”っていう感覚だけで作ってるというか。だから、振り幅にこだわったっていう感覚もなくて、今言われて“あー、確かに振り幅があるなー”って(笑)。
では、アレンジで意識したことは?
花沢
“ここでどういう楽器を入れようかな”という部分で悩んだところはあったんですけど、基本的にピアノとベースとドラムが聴こえていたら成り立つんだってところを打ち出したかったんで、そういう意味では今回のアレンジにおいてはそんなに難しくは考えなかったですね。自分の中で一曲一曲にイメージがあった…“ピアノとベースとドラム以外に、こういう音色を入れたらええかな”っていうのがあったんで。逆に歌に対して“この楽器はいらんな”っていう感じで、音色をプラスするんじゃなくて、マイナスして、より歌周りがすっきりするようなアレンジを考えました。
山口
アレンジに関して言うと、今までとはちょっと違うものにしたいなっていうのがあって。3人の音にこだわろうっていうことで、3人でがっつりと作って、どうしても必要な音だけを足そうっていう感じだったんですよ。そういうところが今までのアルバムと違うところですね。だから、今までってアレンジャーさんにお願いする部分が多かったんですけど、今回は3人でディスカッションしながら作っていきました。
だから、全体的にバンド感が強いし、Chicago Poodleの根っこの部分も出てきてますよね。
山口
あー、そうかもしれないですね。花沢的にもブレない部分があるでしょうし、メジャーになってから抑えていた部分も出せたとも思いますね。花沢がリーダーとなって進めつつ、僕らのやりたいことも混ぜつつっていう感じだったんで。
歌詞に関しても話し合って?
山口
そうですね。今回は一曲一曲、花沢とすごいディスカッションして…何回も提出し直したものもあるし。
辻本
“これどう?”って花沢に見せた時に、“もっとこうした方が~”とかが多かったんですよね。それだけ今回は歌い手としてのこだわりが強かったみたいで、いろいろ修正したり、まるまる書き直したことが何度もありました。
花沢
一曲一曲、自分の中にイメージがあったんで、自分の中の イメージと山口や辻本の言葉に対するイメージを近づけていっ た感じですね。
それは言葉の響きで? 内容的なことで?
花沢
どっちかと言えば、内容ですね。入れてほしい言葉があったというか。それこそヨーロッパの風景が浮かぶようなものとか、ロマンチックなものにしてほしいっていう要望を出しましたね。
そうなんですね。歌詞に関しては全体的にポジティブになっている印象があったんで、「ありふれた今日の特別な場面」の流れもあったのかなと。
花沢
基本的に僕らは前向きなんですけど、「ありふれた今日の特別な場面」を作った時にバンドのカラーというか…例えば、“日常を生きていることは些細なことであっても素晴らしいことなんだよ”っていうのは、僕ら3人の等身大のメッセージだし、Chicago Poodleとして伝えたいことだっていう話をしたんで、それが無意識のうちに3人の中での共通認識としてあったのかもしれないですね。
あと、気になるのが花沢くんの“山口からもらった歌詞にメロディーを付けてんけど”というトークから始まる「おやすみ(仮)」なのですが。
辻本
新曲を作っている過程みたいなところで、珍しく山口が先に歌詞を書いてきたんで、それに花沢がメロディーを付けたっていう。それって僕らにとっては新しいことだし、しかもどんどん新曲も作ってるってところも出したかったんで、クッション的に新曲をワンコーラスだけ入れたんですよ。
山口
ベストアルバムを出した時にも言ってたんですけど、これからはいろんな作り方をしたいっていうところで、歌詞から曲を作るのもやってみたいと思ってたんですよ。こういう挑戦をどんどんやっていきたいですね。
花沢
歌詞が先であれ、曲が先であれ、最終的に良い曲ができればいいんで、そのためにはいろんなことを貪欲にやっていきたいですね。
アルバムタイトルの“3.0”というのも気になるのですが。
花沢
2年半振りのアルバムっていうことで、3人各々がいろんなことを考えていたと思うんですけど、3人の音…ドラムとベースとピアノの3つの音にこだわっていきたいっていうことで、このタイトルにしました。
山口
三位一体じゃないですけど…って、“三位一体”っていう案もあったんですけどね(笑)。僕らとお客さんとスタッフってことでも。なんで、最初は“3”にしようと思ったんですよ。でも、“3”って付けているアーティストって多いよなって話になって、ここからまだ続くってことで“.0”を付けたんです。で、そこからアップデートされたってことでアルバムツアーのタイトルは“3.1”なんですよ。
まさに今回のアルバムは新章の始まりのような感じですね。
花沢
そうですね。今の自分たちのできることであったり、いろんな想いを盛り込んだアルバムになっていると思うし、またここから新たにスタートするっていう一枚になったかなって。ちゃんと次につながるもの…例えば、新曲の一部分ということで「おやすみ(仮)」があったりするし、そういうものを聴いてもらうことでワクワク感も持ってもらえるんじゃないかなと思いますしね。『3.0』というアルバムは、今の僕らのメッセージなんで、これを聴き込んでツアーに参加してもらって、これからのChicago Poodleを期待してほしいですね。
辻本
3人の音にこだわったという意味でも、アレンジをバンドでやったという部分でも、今までの作品の中で一番僕らの素に近いと思いますね。今まで聴いてくれていた人には新しさを感じてもらえるだろうし、このアルバムから聴いてくれる人には“Chicago Poodleってこんなバンドなんですよ”っていうことが伝わりやすいと思うので、どういうふうに聴いてくれた人に届くかが楽しみです。
山口
一曲一曲深みが出せたと自分でも思っているので、この感じのままどんどん曲を作っていきたいっていう意欲が駆られるアルバムになりましたね。
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