【かりゆし58】メンバー全員の総力で
作り上げた傑作『8』

L→R 宮平直樹(Gu)、前川真悟(Vo&Ba)、新屋行 裕(Gu)、中村洋貴(Dr)

シングル「青春よ聴こえてるか」を含むフルアルバム『8』。メインソングライターである前川真悟(Vo&Ba)以外のメンバーも作詞作曲に参加し、大きく音楽性が広がった本作はかりゆし58にとっても大きな意味を持つことになりそうだ。
取材:森 朋之

かりゆし58の音楽が豊かに広がったことを実感できる、 素晴らしいアルバムだと思います!

前川

うわー、嬉しい! 作ってる時は良いアルバムになるかどうか分からなかったんで…。

新屋

うん。

前川

今まで詞と曲を作ってきた人間(前川)が“何を作っていいか分からない”ってなって、他のメンバーが“俺らもやらないとマズい”って思ってくれたのが始まりだったんですよね。

曲作りが上手くいかなかった?

前川

前アルバム『5』を作ってる時から“あれ?”っていう感じがあったんですけど、どうやってエンジンをかけていいか分からなかったんですよね。曲の書き方、言葉のハメ方は分かってる。でも、出てくる楽曲に感動が伴わないというか…。音楽を聴く時に分析しながら聴いてしまう感じに似てるかもしれないけど、どこで何がズレてるか分からないまま、空回りしたんですよ。で、“助けて~”って(笑)。

メンバーに“助けてサイン”を出した、と(笑)。

新屋

1月くらいからレコーディングを始めることになってたんですけど、曲が何もなかったんですよ。スタッフの人からも“何か曲があったら出して”って言われたし、このままじゃヤバいから、試しに自分で作ってみようと思ったのがきっかけですね。

確実に意識が変わってますよね、そこは。以前だったら、“真悟が曲を持ってくるまで待とう”ってことになったんじゃないですか?

新屋

そうですね(笑)。

前川

8年間、ずっと待ってたしな(笑)。

新屋

“いつかは曲を書かなくちゃいけない時期がくるだろうな”とは思ってたんですよ。それが今年だったんでしょうね、たぶん(笑)。

しかも、新屋さんは自分で作詞作曲した「16号車」でメインヴォーカルも取っていて。列車に乗る人たちの様子と自分自身の人生を重ねた歌詞も素晴らしいし、歌もすごく良いですよね。どうして今まで歌わなかったのか…。

新屋

…緊張するじゃないですか、歌うのって。レコ̶ディングの前日も憂鬱だったし。

前川

(笑)。でも、いい曲ですよね。この曲、売れてほしいんですよ。で、歌番組で歌う時の緊張感を味わってほしい。

新屋

ハハハハハ!

宮平さんが作曲した「アイスクリン計画」はハードロックのテイストが入ったアップチューンですね。

宮平

ミディアムスローの曲が多かったから、“アッパーな曲もあったほうがいい”って話になって。アルバムのリリース後にライヴハウスツアーもありますからね。で、いくつかネタを持っていったら、結構反応が良くて。あとはみんなで話しながら作っていった感じですね。

前川

曲を書いてきた以上、俺とか他のメンバーに“この曲はどういう感じにする? ”って尋ねられたら、ちゃんとイメージを口にしないといけないじゃないですか。“それでいいんじゃない?”って感じではなくて、“こうじゃないとダメ”とか“それをやってしまうと、自分のイメージから外れる”っていうことも出てくるし。

この曲、歌詞も面白いですよね。《この手にLet’s Get Yes! 秘密のパラダイス》とか。

前川

アイドルみたいな感じにしたいって言ってて(笑)。

宮平

NMB48とか(笑)。

前川

歌ってるのはオッサンだけどな。でも、自分で書いた曲だったら、こういう歌詞にはならなかったでしょうね。

本当に幅が広がってますよね。リズムもすごく多彩になってるし、レコーディングも楽しかったんじゃないですか?

中村

“できるだけ同じことはやらないようにしよう”ということは考えてましたね。自己満足かもしれないけど(笑)、一曲一曲、楽しめるようにしたいな、と。

宮平

音作りもすごくこだわってたし。

前川さんの作詞作曲による「潮崎」も印象的でした。潮崎って、みなさんの地元ですよね?

前川

そうですね。洋貴の家の近くです。

中村

いいところですよ(笑)。

前川

潮崎の祭りにも出させてもらったことがあるんですよ。

改めて地元のことを歌おうと思ったのは、どうしてなのですか?

前川

特別な何かがあったわけではないんですけど…バンドを始めてから、“全国でライヴをしたい”とか“音楽番組に出れたら嬉しいな”みたいなことを目指してきたんですけど、今はそれを続けていくことのプレッシャーだったり、フェードアウトしてしまうことの怖さと闘っている感じもあって。今までとはまったく別の覚悟が必要なんですけど、そういう時に大事なのは、今まで歩いてきた道を忘れずにいることなんじゃないかなって。

10月からスタートする46都道府県ツアー『HAISAIROAD BEYOND 2013-2014』も、かりゆし58の新しい歴史につながっていきそうですね。

中村

全国を回るのは4年振りですからね。

前川

4年振りくらいに会う人たちもたくさんいると思うし。去年の12月に今まで一番多いお客さんの前でライヴをやったんですけど(渋谷公会堂、オリックス劇場でのホールライヴ)、今回はライヴハウスが中心なんですよ。近い距離で、“1対1”のライヴができたらなって。自分たちもすごく楽しみですね。

『8』 2013年09月11日発売
LD&K Records

  • 初回限定盤(DVD付)
    LDCD-50091/B 3800円
    ※BOOK仕様

  • 通常盤
    LDCD-50092 2800円

かりゆし58

カリユシゴジュウハチ:2005年4月に沖縄で結成。06年2月にミニアルバム『恋人よ』でデビュー。同年7月にリリースした「アンマー」が多くの共感を呼び、日本有線大賞新人賞を受賞。11年発表の初ベストアルバム『かりゆし58ベスト』はオリコンアルバムチャート1位を記録。沖縄音階にロック、レゲエをチャンプルーしたサウンドと、飾らない言葉でメッセージを発信し、世代を超え人気を呼んでいる。沖縄で生まれ育った彼らならではの“島唄”を全国に向け歌い続け、2016年でデビュー10周年を迎える。