【ザ・クロマニヨンズ】初となるシン
グルコレクション・アルバム
L→R 小林 勝(Ba)、甲本ヒロト(Vo)、真島昌利(Gu)、桐田勝治(Dr)
デビュー曲「タリホー」から最新曲「炎」まで、ザ・クロマニヨンズの足跡を辿るシングルコレクション。限りなくシンプルなロックンロールに明快なメロディーを乗せた楽曲の数々から、彼らのブレない音楽性が伝わってくる。
文:岡本 明
ザ・クロマニヨンズのシングルコレクション・アルバム『13 PEBBLES ~Single Collection~』が4月9日にリリースされる。映画『ワルボロ』の主題歌「ギリギリガガンガン」、日清カップヌードルTV-CMでお馴染みの「ナンバーワン野郎!」、そして最新シングル「炎」に至る、これまでのシングル12枚から13曲「流線型」「飛び乗れ!!ボニー!!」は両A面シングルを収録。彼らにとって初のシングルコレクションであり、リリース順に並べることでこれまでの歩みを時間軸に沿って眺められる内容になっている。
彼らが初めて登場したのは、2006年7月23日のイベント『FM802 MEET THE WORLD BEAT 2006』のステージ。多くの夏フェス告知に名前を連ねていたザ・クロマニヨンズの全貌がここで明らかになり、シングル「タリホー」で同年9月20日に衝撃デビューを飾った。無駄を削ぎ落としたシンプルなロックンロールと、真っ直ぐ耳に飛び込んでくる強いメロディー。聴いた瞬間から耳をとらえて離さないシャープなサウンドとパワフルなヴォーカルは強烈なインパクトを与えてくれた。
しかも、今でもこの「タリホー」からそれほど印象が変わっていないところが、このバンドのすごいところだ。それほど完成度の高い出発点を持っていたわけであり、原点を見失うことなく制作を続けている結果だとも言える。作品ごとに多彩な世界を生み出すことに重点を置くアーティストやバンドが多い中、彼らは脇目もふらず、ロックンロールという名のもとに一点突破をはかる。過剰な装飾を排し、余計な音を加えることなく、必要最小限の楽器と歌声だけで自分たちの世界を構築する。目先の変化を求めるのではなく、ブレない音楽性を軸に、自由に転がり続けていく。軽やかな疾走感の「紙飛行機」、モータウン調のビートがダンサブルなノリを生む「スピードとナイフ」、ギターとコーラスが爽快な印象を残す「グリセリン・クイーン」、掛け合いのコーラスが楽しい「オートバイと皮ジャンパーとカレー」、ハンドクラップに導かれる跳ねたビートに自然と体が動く「流線型」、ウエスタン調の「飛び乗れ!!ボニー!!」、CMの映像とともに記憶に鮮やかに刻まれている「ナンバーワン野郎!」、永遠に夢を見続ける者たちに捧げられたであろう「雷雨決行」、そして輝く未来が顔を覗かせる「突撃ロック」と、永遠に瑞々しい個性を与えられた楽曲たちが輝いている。
あっと言う間に聴き終えてしまうと同時に、もう一度聴きたくなる中毒性を持った全13曲。しかも、聴き終えると今度はライヴを観たくてたまらない衝動に駆られる曲たちでもある。そう、彼らの楽曲はそのままライヴに直結した魅力を持った楽曲でもある。ステージが目に浮かぶような、ライヴ映えのする曲というポイントも大きい。
ちなみに“PEBBLES”とは、輸入盤でサイケやガレージパンクを漁っている人には説明不要なガレージロックのコンピレーションアルバムのシリーズで、VOL.13ぐらいまでリリースが進んでいる。60年代ロックが好きな甲本ヒロト(Vo)、真島昌利(Gu)のことだから、この由緒あるコンピにちなんでのタイトルだろう。もちろん、本来の“石ころ、小石”といった意味にとれば、“とるに足らないものだけれど、限りなく愛おしい楽曲たち”という捉え方もできる。
なお、この後には5月14日にカップリングコレクション・アルバム、6月25日にはビデオクリップ集と、3カ月連続でリリースの予定がある。尽きることのないロックンロールのマジックが詰まった彼らの曲たちを余すところなく味わってほしい。
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