【LACCO TOWER】叩かれているほうが
性に合っている
L→R 真一ジェット(Key)、塩崎啓示(Ba)、松川ケイスケ(Vo)、細川大介(Gu)、重田雅俊(Dr)
メジャー1stアルバム『非幸福論』が完成! 株式会社アイロックスという会社も立ち上げているLACCO TOWERが、復活したレーベル『TRIAD』の新人第一弾となったのだ。代表取締役と役員でもある塩崎啓示(Ba)、松川ケイスケ(Vo)との名刺交換からインタビューは始まった。
取材:高橋美穂
バンドとの名刺交換からインタビューが始まるって、ライター人生史上なかなかないですよ(笑)。
塩崎&松川
(笑)。
まずうかがいたいのが、結成12年という長い歴史があり、しかも自分たちで作った会社という地盤がある中で、なぜメジャーデビューを決めたのか?というところなのですが。
塩崎
いろいろ理由はあるんですけど、このままじゃなぁっていう思いがずーっとあって。インディでは評価されて、仲間も増えて、ツアー先ではおもてなしされるようになったんですけど、もともと描いていた夢は、武道館でライヴをやりたいとか、『ミュージックステーション』に出たいとか、中学生の頃から変わっていないんですよね。そこで、会社設立を機に、地元でロックフェスをやる夢も叶ったし、もっと夢を叶えられるんじゃないかって思って、メジャーデビューを決めたんです。
王道思考だったんですね。
松川
全然そうですよ。ただ、当時はメジャーデビューってひとつのゴールみたいに思っていたんですけど、長く活動してきて、簡単じゃない世界だって分かってきて、でもバンドの道の中でひとつのステップとして、コロムビアさんと一緒に歩いていったら面白いんじゃないかなって。アンチメジャーみたいな、変なパンク精神はなくなりましたね。
世代的に、インディーズ指向でもおかしくないですよね。
松川
でも、メジャーに入ってみたらみんなパンクなんですよね。いろんなものを肯定して、年齢を重ねても頑張っているサラリーマンも俺はパンクだと思うし。33歳で新人っていうのも、俺ららしいと思います(笑)。
むしろメジャーデビューは修行ですよね。
松川
だから、決まった時は怖かったですよ。ヤベェ!って。
塩崎
発表も、ちゃんと意味を直接伝えたかったんで、昨年末の自分たちが大事にしているワンマンライヴの時にしたんです。3月23日に正式発表することが決まっていたんで、ライヴではフライングだったから、周りに言わないでねって言ったんですけど、見事にそこにいた奴らは守ってくれましたね。
この情報社会で、素晴らしい信頼関係ですね!
松川
ほんとですよ!
塩崎
俺も初めてエゴサーチしたんですけど(笑)、見事に出てなかったですね。
このタイミングで新人って、こそばゆくないですか?
松川
でも、どっかでもてはやされてるよりは、叩かれているほうがバンドの性に合っているんですよね。
その言葉、“非幸福論”っていうアルバムのタイトルともつながってきますね。
塩崎
まぁ、そうなんですよ(笑)。
松川
作っていく中で、この紆余曲折感…あんまり自分たちで苦労したって言いたくないんですけど、上手くいくことばかりじゃないって。10何年体験してきているし、そこを表現するのが分かりやすいし、僕らも嘘付かなくてていいかなって。
でも、“非幸福論”ってタイトルの作品でメジャーデビューってかなりインパクトがありますよね。
松川
新人って言っておいて、この写真ですしね(笑)。
メジャーという大きなフィールドから、時代に冷や水をぶっかけるみたいな気持ちはあったとか?
松川
今回、意識的になんですけど、歌詞に《幸せ》とか《幸福》ってかなり出てくるんですよ。僕、歌詞を書いている時にそれについて考えすぎて、白髪が増えちゃって。考えすぎるとダメなんですよね。だから、いい意味でも悪い意味でも周りを気にしていなかったっていうか。これをやったらびっくりするだろうとかは考えてなかったですね。
でも、結果的に冷や水ぶっ掛けてるとは思いますよ…連呼しちゃってますけど(笑)。
塩崎
いいですね(笑)。
松川
今まで掛けられた分、掛け返したっていうか(笑)。でも、今、この人たちに僕らの音楽が響くんだろうなっていうのが、明確に見え始めていて…僕と似てる人なんですけど(笑)。だから、マジョリティーに向けてというよりは、もっとニッチになったところはあります。
松川さんは、今までも白髪になっちゃうくらい追い込まれたことがあったのですか?
松川
あんまりなかったんですけどね。今回はいろんなものが背中に乗っかっている気がして…。
塩崎
みんな頑張ったんですよ。ギターの奴も追い込まれすぎて救急車で運ばれたりしたんで(笑)。
それだけ精魂込めたからこそ、情熱のバンドということが伝わってくる作品になったんでしょうね。特に歌は役作りを考えているのかと思うほど、一曲一曲に違う主人公がいるように変化していると思ったんですけど。
松川
僕、ピンヴォーカルなんで、どう振る舞うか悩んでいた時期もあったんですけど、演じるにしても嘘を付いていると恥ずかしくなるんですよね。最近はLACCO TOWERっていうフィルターを通して裸になっていったほうが楽だし、伝わるなって。僕、一曲一曲にミュージックビデオを作れるくらいイメージがあるんです。一曲一曲で表現が違うっていうのは、そういうところにつながっているのかもしれないです。
「傷年傷女」はシャレと毒が利いてますよね。
松川
僕、そういう書き方が好きなんです。そういう曲の、聴こえないところに言いたいことが詰まっていたりして(笑)。
サブリミナル効果!?(笑)
松川
あと、僕ら、前に書いた歌詞に状況が被ることが多いんです。今回も何年か後に、そう言えばあの曲の状況になってるよねっていうことになるのかな。だから、“禿げる”っていう曲は書かないようにしています(笑)。
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