【angela】後ろから突き落とすくらい
の強さを持った応援歌

L→R  atsuko(Vo)、KATSU(Key&Gu)

『蒼穹のファフナ―』『シドニアの騎士』等、人気アニメの主題歌を次々に手掛けてきたangelaの最新アルバムは、アッパー曲満載の雄々しくも聴き手に力を与える作品。“ONE WAY”というタイトル、そして挑戦的な新曲とともにangelaという存在の強さを表している。
取材:清水素子

“ONE WAY”は直訳すると“一方通行”ですが、おふたり が込めた意味合いは、どんなものなんでしょう?

atsuko

何があっても後戻りはできない、とにかく行くしかない!ってことですね。いわば片道切符。

KATSU

一昨年に出した前アルバムが『ZERO』だったんで、今度は“ONE”を使いたかったんです。で、去年ロサンゼルスに行った時、道で“ONE WAY”っていう標識を見た瞬間、ピンときて。考えてみたら「シドニア」の《誰がために 我は往く》だったり、「その時、蒼穹へ」の《行け行け》《翔べ翔べ》の繰り返しだったり、今回の収録曲って“行く=GO”というキーワードを持った曲が、すごく多いんですね。

atsuko

angelaって、命を賭けて何かを成そうとするアニメの主題歌を担当することが多いので、どうしても“行くしかない”系の曲になっちゃうんですよ。

KATSU

じゃあ、後ろから“行け!”って突き落とすくらいの強さを持った応援歌的アルバムにしようと。それを踏まえて最新シングル「騎士行進曲」ではジャケット写真で僕ら、はちまきを巻いてるんです。

はちまきって、今作の初回限定盤に封入されている?

atsuko

はい。プロデューサーに“最新シングルではちまきを巻いてアルバムに付けたいんです”と話したら、快諾いただいて。はちまきなんて大抵の人は高校の体育祭を最後に使ってないでしょうけど、私自身「騎士行進曲」の撮影で巻いてみたら、すごく気合いが入ったんですよ! よく考えたら桃太郎だってはちまきしてるわけで、私たち日本人の中に眠っている遺伝子を、ここで活性化したかったんですよね。

KATSU

実はね、最初は「騎士行進曲」にも笛がピーピー入ってたんですよ。それこそ応援団みたいに。でも、曲自体はわりとクールな印象が強かったんで、これは合わない!と断念して。その笛の素材を今回、ボーナストラックとして収録しているリミックスバージョンに使ってもらったら、甲子園の応援スタンドのような雰囲気の、でもダンサブルでカッコ良い曲になったんです。リミックスしてくれたHEAVENS WiREは昔からの知り合いで、唯一ライバル視していた存在なんですよ。去年、小松未可子さんに提供した「Sail away」でも、後半部分のアレンジをお願いしていて。

どバラードな前半から、突然ダンサブルな4つ打ちになる曲ですね。今作ではatsukoさんが歌うセルフカバーのバージョンで収録されていますが。

atsuko

中川翔子さんに提供した「キラキラ-go-round」も歌わせていただいたんですけど、2曲とも予想以上に難しくて。特に「キラキラ-go-round」は掛け合いが多いから体力を消耗します。

KATSU

意外にatsukoとしょこたんの声が似てるんですよ!物真似してんのかな?って思う瞬間もあったくらい。

いや、キュートでしたよ。そんな中、書き下ろし新曲の「二十四 節気恋唄」は和風のラブソングで、アルバムの中では異色かつangelaとしても斬新な空気を放っているなと。

atsuko

これはいろんな要素が積み重なって生まれた曲で、まず、海外で演奏する機会が増えてから、もっと日本の文化を知りたいと思うようになったんです。私なんて着物も自分で着れないし…ま、KATSUさんはお茶立てられるけど。

KATSU

祖母が先生だったんで。免状も持ってます(笑)。

atsuko

あと、去年から『アニぱら音楽館』っていう番組で、ボーカロイド曲を歌う機会が増えて。私たちはボカロのない時代に育っているから、最初は敷居が高かったんですけど、歌ってるうちにボカロ曲の共通点みたいなものに気付いたんです。とにかくサビがキャッチーで、ひとつのサビを繰り返して、和風の題材をモチーフにしていて、妙に生々しい恋愛模様が描かれている歌詞が多い。そのへん勉強になったんで、せっかくだったらangela流に消化してみたいと思ったんです。それでカレンダーで見かける春分とか夏至とかって言葉から、二十四節気とか七十二候っていう季節の区分を知り、そこに出てくる用語を使いながら一年の流れに恋愛をギュッと落とし込んだのが、この「二十四節気恋唄」ですね。

KATSU

アルバムツアーが香港・台湾から始まるので、和と一緒にアジアも表現できるものにしようと、琴とかの和楽器に二胡の音も組み合わせているんですよ。それと去年、ニコニコ動画に“『シドニア』を和太鼓で叩いてみた”っていう動画を上げていた、うさぎいぬさんって方がいて。観てみたらすごく面白かったんで、この曲でも叩いていただきました。

“ソイヤ!”の掛け声といい祭り感満点で、まさしく和な曲になっていますよね。

atsuko

そう。最初に私が“ソイヤ!”を入れたいって提案したら、KATSUは“ダサいから嫌だ”って言ってたのに、レコーディングの最終日になったら“はい、ソイヤ!録るよ~”って、手の空いてる人を全員マイク前に集めて。

KATSU

一番ノリノリだった(笑)。いや、太鼓叩きながら“ソイヤ!”って言うと、すげぇ元気出るんですよ! やっぱり“ダサい=インパクト”ですし、僕もツアーでは「騎士行進曲」で太鼓を叩く予定です。僕らが主題歌を歌っているアニメって海外でもすごく人気があるので、香港・台湾でのオーディエンスの反応も楽しみですね。

atsuko

アニメがシリアスな分、曲もすごく真面目でジャケット写真も硬派な感じだから、初めてangelaのライヴに来られる方は多少の緊張もあると思うんです。なので、それを覆すような無駄話を交えて、真面目な楽曲との絶妙なコラボレーションを披露したいなと。やっぱり笑いで心を解きほぐしてこそ、楽曲にも集中してもらえるだろうし、私たちの曲って振り付けも多いんで、良いリハビリにもなりますよ。音楽が中心であるのはもちろんのこと、私たちの人間性も含め、プラスアルファの要素でも魅せていきます!

『ONE WAY』 2015年05月20日発売
STARCHILD/KING RECORDS

  • 【初回限定盤(DVD付)】
    KICS-93189 3700円
    ※クリアケース仕様 ※封入特典:24Pブックレット、特製はちまき

  • 【通常盤】
    KICS-3189 3200円

angela

アンジェラ:低音から高音に伸びる独特のヴォーカルセンスを持つatsukoと、ギターやアレンジなどでその世界観を生み出すKATSUによるユニット。2003年にTVアニメ『宇宙のステルヴィア』の主題歌「明日へのbrilliant road」でメジャーデビュー。以降、『蒼穹のファフナー』など数々のアニメ作品の主題歌を担当。また、海外イベントへも多数出演しており、世界中のアニソンファンの支持を得ている。17年には初の日本武道館単独公演を成功させ、18年にはデビュー15周年を記念したベストアルバム2枚を同時発売、19年3月下旬よりアジアツアーを、21年12月には17年にもわたってシリーズ全ての主題歌・挿入歌・イメージソングを担当したアニメ作品『蒼穹のファフナー』が完結を迎えることを記念した『蒼穹のファフナー FINAL Fes in パシフィコ横浜』のDay 2にて、“angela LIVE -蒼穹作戦-”と題した豪華ライヴを開催した。

アーティスト