【グッバイフジヤマ】いつ聴いても切
なくなる、1stアルバムのような一枚
L→R 高原星美(Dr)、中澤健介(Ba)、中山卓哉(Vo&Gu)、小島“lue”秀和(Gu)
“17歳”を掲げたミニアルバム『スイートセブンティーン』の何とも言えない甘酸っぱさ、やるせなさ、懐かしさは聴けば共感できる人も多いはず。そんな同作について、中山卓哉(Vo&Gu)に訊いた。
取材:高良美咲
グッバイフジヤマがどんなバンドなのかを分かりやすく説明するとしたら?
うーん。自称平成の渋谷系(笑)らしいので、それですかね。いろいろなことに疑問を抱いてたり、毎日つまらない人のためのポップなバンドだと思います。
前作『ひばりくんの憂鬱ep.』から1年でリリースされるミニアルバム『スイートセブンティーン』は“17歳”を掲げた作品ですが、このテーマを掲げたきっかけは?
最初は特にテーマも掲げてなかったんですけど、最後に「スイートセブンティーン」という曲ができて6曲出揃った時に、17歳がテーマの曲や17歳の頃に影響を受けたからこそ今消化できている曲たちなことに気付き、このテーマになりました。
収録曲の6曲の中にはすでにライヴで披露している曲もありますね。
僕らはCDになっている曲をライヴであまりやらないで、新曲をどんどんやってしまうバンドなので、今、ライヴでメインになっている曲たちを入れようと思いました。ただ、ミニアルバム制作に向けてスタッフと話し作った曲もあります。
《やまぐちみかこに騙された》と声を上げる「やまぐちみかこに騙された」は『グミ・チョコレート・パイン』(大槻ケンヂ)を題材に書かれた楽曲だそうですね。
もともと数年前からこの題材は頭の中にあったのですが、かたちにしてなくて。スタッフから『ひばりくんの憂鬱』に続く曲を書いてみてと言われたのでとりかかりました。頭の中ではできていたので、プリプロまでを含めて1週間でかたちにできました(笑)。内容としては、17歳の頃に出会った曲が『グミ・チョコレート・パイン』を教えてくれて、僕の人生における価値観や概念を変えてしまったなぁと。そんな感じです。
「やまぐちみかこに騙された」をはじめ「レノンとマッカートニー」のように、物事に影響されたことがあって書いたような楽曲が多いですよね。
僕は本が好きで、読んでいると時間を忘れてその世界に入ってしまうんです。学生時代は授業中に本を読んだりしていて、先生が僕を怒っているのに気付かないくらい入り込んでしまってることもしばしばありました(笑)。そういう時は夢もその本の内容なんです。そういう日々が続くとポンと1曲できますね。
「はっぴいえんど」は、今作のジャケット写真になったあのさん(ゆるめるモ!)と歌、MVで共演していますね。
これもある本を読んですぐできた曲で、勝手に生まれました。17歳がテーマなので、それのイメージに近い人に出演してほしいなと思って真っ先に浮かんだのがあのちゃんでした。あまり前向きでない歌詞にもぴったりだと思ったので。出来上がってみて、あのちゃんで良かったなと思いましたね。今、この瞬間しかない輝きを映像や音の中に残せて嬉しいです。みんなが年老いてしまう時はいつか必ずくるんですけど、この中の僕らやあのちゃんはずっと変わらないんです。なんかすごいなぁ。ずっと残る曲になったと思います。
最後を締め括る「スイートセブンティーン」はどこかやるせなさのある歌を、青春のような甘酸っぱい空気感を持ち合わせたどこか懐かしいメロディーに乗せているのが印象的でした。
若さゆえの前のめりを表現したくて、めっちゃ速いカントリーをやりました。ギターのルーに“お前はアルバート=ルーだ!”って無茶を言って作りました。できた時、“なんだこれ、すごいな”って思いましたね。いい意味で。
ミニアルバムのタイトルにもなった“スイートセブンティーン”という言葉に込められた意味とは?
毎日退屈でどうしようもなくて、空も曇ってて、どこにも行けなくて、誰とも分かり合えなくて…そんな17歳だったけど、今思い返すとやけに輝いて見えて。あの頃の僕は…なんて言いたくないけど、東京ってものや未来に理想を描いていて、でも目の前に絶望していて。そんなあの頃がとても愛おしくなる時がくるんだな、時間っていうものは全てを解決してくれるんだなと思って。それはとても悲しいことでもあるんですけど、このタイトルにしました。いつ聴いても切なくなっちゃうような、まるで1stアルバムのような一枚になったと思います。初心を忘れちゃいけないなぁと思いました。音楽って楽しいですね。
聴きどころはずばりどこでしょう?
「曲もいいと思うのですが、今までよりドラム、ギター、ベースが面白いアプローチをしてると思います。僕もリズムギターを一生懸命弾きました(笑)。あ、あとハーモニカも(笑)。
リリース後には10月25日に渋谷CLUB QUATTROでワンマンライヴ『HELLO,goodbye,HELLO』を予定していますが、どのようなライヴにしたいですか?
特別なライヴなんですけど、いつも通りのライヴをしたいと思っています。初めて僕らのライヴに来る人、いつも来てくれる人、すごく久しぶりに来た人、みんなを置いていかないで音楽をしたいです。そして、何か生活の中に持って帰ってもらいたいですね。頑張ります!
アーティスト
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