【angela】過去最高に吹っ切れたアル
バム登場!
L→R atsuko(Vo)、KATSU(Key&Gu)
1年3カ月振りとなるアルバムのテーマは“愛”と“祭り”。シリアスなタイアップ曲とEDMにハロウィン、和物とバラエティー豊かな新曲群の共存が、“図々しい部分もふざけた部分も真面目な部分も全部引っくるめてangela”という言葉を証明する。
取材:清水素子
今作はあらかじめテーマを決めて制作されたとのことですが、そういう手法ってangelaでは珍しくありません?
atsuko
シングル曲やタイアップ作を収録すること前提で、何曲くらい新曲が必要だろう?と数えたら、いつもより曲数が多くて。だったら方向性を決めておいたほうが作りやすいだろうと、私のほうから“今は“祭り”です!”と強く主張したんです。最近アニソンの世界でもイベントやフェスの数がものすごく増えていて、それって人が“祭り”を求めてるからだと思うんですね。例えば、花火とかも見えたら“ラッキー!”って喜ぶし、公園で盆踊りをやってたら覗いてみたりするじゃないですか。そういった感覚をアルバムで表現してみたくて提案したら、プロデューサーから“そして、“愛”ですよ!”のひと言があって、確かに“愛”は普遍のテーマですからね。「愛、ひと欠片」に「愛すること」というタイアップ曲も入ってますし、じゃあ、今回は“愛”と“祭り”でいきましょうと、タイトルも“LOVE&CARNIVAL”になりました。
KATSU
で、アメリカンなEDMのパーティーチューンだとかハロウィンだとか、“祭り”とangelaっぽさを融合した曲を作っていったんですけど、これが面白くて! 普段アニメのタイアップを手掛けることが多いので、自分の中で妄想しながら進めていったんですよ。例えば、日本の夏祭りがテーマの「是、夏祭り」だったら“こういう和物アニメの主題歌”とか。今まで和物アニメの曲なんてやったことないのに(笑)。
angelaの場合、SFだとかシリアス系のアニメを担当されることが多いですからね。
KATSU
アイドルものとかもできると思うのに! ま、そういう意味では自分の中から出てくる“やりたいこと”を、1個ずつかたちにしていくような作業でもあったんですよね。
atsuko
もう“次、何の祭りにしようかな?”って、楽しみながらやれました。「That's Halloween」ではついにKATSUさんが歌ったり、いろいろ加工した声も入れて、最後にはウチの愛猫ハロの“ニャー”も入ってます。KATSUさんなんて「是、夏祭り」では趣味の三線まで弾いてるんですよ!
KATSU
“三線入れたらいいんじゃない?”って、レコーディング用に沖縄の縞黒っていう触り心地の良い木で自分好みにカスタマイズした三線を作ってもらいました(笑)。三線はあの独特の響きが好きなんです。
驚いたのが「EIEIO」で。タイトルからして応援団的祭り歌かと思いきや…
KATSU
スパニッシュですね(笑)。atsukoが最初に曲を作った時からサビの“EIEIO”っていう言葉は決まってたのに、それをどうアレンジするかという時に出てきたのが、なぜか楽器持って集まって、少人数で酒飲んで騒いでるようなスパニッシュの祭りだった(笑)。
atsuko
なんという憂いを帯びた哀愁漂う曲!って感じなのに、歌詞が笑かしにくるという(笑)。それくらい自由というか、今までになく吹っ切れたアルバムになっているんですよね。普段はタイアップ曲でメッセージ性の強いものを書いてるからこそ、音楽ってそれだけじゃないことに気付けたんです。歌詞に辻褄が合ってなくてもいいし、小難しいことを書かなくてもいい。今回、中川翔子さんに以前提供した「ストーリーが始まる」をセルフカバーしてるんですけど、これって実はangelaのインディーズ時代の曲で、久々に歌ってみたら構成も単純明快だし、歌詞も幼い恋愛を歌っていて、すごく分かりやすいんですよ!
重いメッセージも壮大な世界観もない、いわゆる“普通の曲”ですよね。
atsuko
でも、そこって大事だと思うんです。長く音楽をやってると“前と同じじゃいけない”とか“こんなすごい曲が作れるってところを見せたい”とか、変なカッコ付け心が出てきて、曲も難解になりがちなんですね。でも、それをリスナーが求めてるかって考えると、単なる作り手の自己満足でしかなかったりもする。どんなに素晴らしくても、伝わらないほど難しかったら意味がないじゃないですか。むしろ、悪なわけだから、変に考えすぎないでいい。全てに意味を持たせる必要はないって、10年以上経ってやっと吹っ切れました。
KATSU
ビートルズとか“名曲だな”と思っても、歌詞の意味なんて知らなかったりしますからね。だから、タイアップの主題歌でやってきたような、壮大でマイナー調のカッコ良い曲を期待してる人は戸惑うかもしれないけど、これがangelaなんです。今、素直にやりたいこと。
そういう意味では“祭り”って、すごくangelaに合ってると思うんですよ。祭りって本来は神事で、非日常にトリップできるものじゃないですか。angelaの曲やライヴもそうだし。
KATSU
確かに。トランス状態になるのもお祭りですよね。
atsuko
そう言ってもらえると嬉しいな。私たちも作っていて楽しいアルバムだったんで、それが伝わって“飽きずに聴けて面白い”って感じてもらえたらありがたいです。ジャケットも吹っ切って派手にやったんですよ。奈良の信貴山で雨上がりに大きなオブジェを組み立てて! 「Jump up!」ではみんなジャンプしてるんだろうなぁとか、今回の新曲はわりと絵が見える曲が多いので、10月の野音ライヴも今から楽しみでしょうがないです。初めての方には初回盤のライヴ映像をぜひ先に観てもらって、音源だと重々しい曲もangelaは笑顔で楽しく歌ってますから、怖がらなくて大丈夫(笑)。
KATSU
5月に河口湖ステラシアターで、メジャーでは初の野外単独ライヴをやったんですけど、すごく楽しくて気持ち良くて! atsukoの表情も違うし、それで今回も野外の会場を選んだんです。ただ、河口湖でやった花火が今回はダメみたいなんで、atsukoさんに花火になってもらえたらなと。
atsuko
そうね。ライヴという花火を打ち上げます!
アーティスト
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