【まきちゃんぐ】


取材:武市尚子

人を愛することは己の弱さを知ることなのかもしれない

“貴方はアタシを弱くする”。まきちゃんぐは今にも泣き出しそうな切ない声でそう歌う。

“アタシは弱い 弱い 弱い…”とリフレインするサビのフレーズはどうしようもなく心に突き刺さってくる。この曲は今から1年ほど前に作られたのだという。

その時してた恋愛が上手くいかなくて、メンタル面でヘコんでた時にできました。

彼女は歌詞を描く時、何かを伝えたいと思って書いているのではないという。

私、説明するの苦手で…カッコ良いこと言えないんです。『煙』も平たく言ったらただの失恋ソングですから(笑)。どんな煙を想像してもらってもいいんですが、私のイメージはタバコの煙。煙って燃えた後残るでしょ。そんな感じがしたんです、この曲。ただそれだけ。彼はタバコ吸わない人だったんで本当にただイメージだけなんですけど(笑)

深い意味なんてない。感じたままがそこにある。“だからこそ”の力が彼女の歌詞には宿っている気がした。シンプルながらも深く心に刻み込まれるメロディーと、飾ることなく感じたままが描かれた歌詞と赤裸々な歌声。1987年9月19日岡山生まれの20歳。彼女の素顔を知る前、イメージしたのは楚々とした、もの静かな少し影を持った女性だった。

すいません~。こんなふざけた奴で(笑)

人懐っこい笑顔を返してくれた彼女は、想像とまるで違ったあっけらかんとした娘だった。“この娘が!?”と、正直そこにアンバランスさを感じずにはいられなかった。しかし、それと同時にそんな彼女だからこそこの曲と歌詞を生み出せるのだろうと愛しさを覚えた。

私、恋の歌と人生を小馬鹿にしたネガティブな歌しか作れないんです。気持ちのメーターが振り切った時にできるんです。

そう語る。彼女の歌は人生そのものなのだろう。

「煙」はアニメ『秘密(トップ・シークレット)~The Revelation~』のエンディングテーマでもある。

死んだ人の脳の視野の部分をスクリーンに映し出して犯人を探し出すっていう人の記憶を扱った作品で、歌詞ともリンクしているのでぜひ映像と一緒に聴いてほしいです。

カップリングの「雨と傘と繋いだ手」は雨の中、その愛を確かめながら愛しい人の元へと歩いていく切なくも深い愛しさが描かれている。

まきちゃんぐ

1987年9月19日生まれ、岡山県出身の女性シンガーソングライターまきちゃんぐ。学生時代からバンドを組むなど音楽活動を行なってきたが、05年12月よりソロでの活動を開始。06年11月、『ヤマハティーンズ・ミュージック・フェスティバル』全国大会に中国四国代表で出場。08年1月に<VAP>より1stシングル「ハニー/ちぐさ」でメジャー・デビュー。その後、映画『青い鳥』の主題歌に抜擢された「鋼の心」を含む2枚のシングルを経て、12月に1stアルバム『知と性、毛布とセックス』をリリース。

09年3月に実施した初のワンマン・ライヴ「ウェルカム トゥ ザ マキヂャングル」はチケットが完売するなど成功を収めた。09年6月に発売された4thシングル「愛の雫」は、10年に岡山県で開催される第25回国民文化祭『おかやま2010』イメージ・ソングに起用されるなど、中国地方での認知は大変高い。東京でのライヴ活動も回を追う毎ごとに観客動員数が増え続け、切ないメロディと飾りのない言葉が絶妙な歌たちを類稀な魅力ある声と歌唱力で我々に届けてくれる。

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