【LUNKHEAD】今のモードに当てはまる
曲を無意識に選別した
L→R 合田 悟(Ba)、小高 芳太朗(Vo&Gu)、山下 壮(Gu)、石川 龍(Dr)
かつてないほどに挑発的でワイルドなサウンドと、ストレートな言葉を持った5枚目のアルバム『孵化』。バンド結成10年目にして、再びロックの初期衝動が彼らのスピリッツを奮い立たせているようだ。
取材:石田博嗣
今作は“LUNKHEADってこんなバンドだったっけ?”と思うほど、ロック色の強いアルバムだと思ったのですが。
小高
ロックバンドだからロックなアルバムを作りたかったんですよ。
合田
そういう気分というか、モードだったんです。
石川
前作の『FORCE』を出して、ツアーを回って、ライヴを通してバンド感というか、4人で出す音というものがビルドアップできたから、そういう意味では『FORCE』のツアーがデカかったですね。
では、曲をバンドで煮詰める時、どんなことを意識してました?
小高
悪い感じ…3枚目のアルバムとか、『FORCE』の時のシングルって耳触りのいいものを意識していたんですけど、そういうものじゃなくて、ヒリヒリとしたものを出していこうって思ってました。そんな中で「サイダー」や「羽根」みたいな柔らかくて聴き心地のいい曲もちゃんとあるという。そこもLUNKHEADの魅力だから、そういうものも入れたいなって。でも、トータルのカラーとしては、尖った感じというか、“歪みたい!”みたいな(笑)。
山下
うん。赤黒いイメージを思い浮かべながらやってましたね。だから、気持ちの部分で攻撃的になってたり。
石川
今回の11曲というのは、最初に小高が曲を持って来て、“こんな感じでやってみようか”ってみんなでバーンと音を鳴らした時にしっくりときたものなんですよ。今のモードに当てはまる曲を無意識に選別してて、こういった曲が残ったような気がしますね。
4人が見ている方向も同じだった?
小高
同じ方向を向くための努力をすごいしました。同じ方向を向いてなきゃ、いいものは作れないし。
山下
作業も早いしね。だから、横のコミュニケーションをすごくとるようにして、早くイメージを固めるようにしてましたね。
あと、今作はラヴソングが多いですよね。
小高
そうですね。1枚目や2枚目の頃も同じことを歌っているんですけど、直接的なことが言えなかったから、ラヴソングっぽく聴こえないようにしてたんですよ。でも、もうそういうのは取っ払って、一番強い言葉で歌いたいと思ったんです。アルバムのタイトルを“遺言”にしたいと言ってたくらい、言葉が強いものを作りたかった。売れたい気持ちはずっとあるんですけど、いろんな人に好かれたいというか、みんなから嫌われたくないって思うと言葉が出てこないんですよね。本音が出ない。みんなが気に入ってくれて、嫌だと思わない言葉を選んでいくと、どんどん自分が薄っぺらくなっていくから、みんなに嫌われてでも言いたいことを言った方がいいなって。だから、今回の歌詞は1対1っていう関係をすごく大事にしたんですよ。その言葉を本当に伝えたい誰かをイメージして、その人のために書いたというか。結局、その方がより多くの人に届くような気がするし。
言葉がストレートになった分、より自分をさらけ出してますよね。今までも十分裸になってたけど、今回はフルチンになったというか。
小高
何年か前に、どこかのインタビューで“裸になったけど、まだパンツは脱げてない”って言ったことがあるな(笑)。でも、今回はフルチン状態ですね。善くも悪くもベスト盤を出したことで、いろいろバンドのことを考えるきっかけになったし、これまでの9年間のことや、逆にこれからの10年、20年についても考えた…この先もバンドを続けていきたいけど、どうなるか分からないじゃないですか。だったら、悔いのないものを作り続けるしかないなって。そういう気持ちが歌詞や音とかに出ていると思いますね。
石川
小高が“遺言”っていうタイトルにしたいって言った時、俺はなるほどって思ったんですよね。だから、俺も一番伝えたいことっていうものを考えて、曲を作って、歌詞を書いた…「羽根」って曲なんですけど、これもラヴソングなんですよ。今、付き合っている女性のことを思って書いたもので、もしも自分が明日死んでしまっても、この曲があれば彼女への気持ちは残るだろうなって思って書いたんですよね。
まさに、渾身の一枚ができたという感じですね。
小高
より多くの人に届くアルバムができたと思いますね。俺はすごく満足してます。
山下
“孵化”っていうタイトル通りに卵からかえるというか、殻を破って出ていくような感覚があるんですよ。5枚目のアルバムなんですけど、自分的にも、バンド的にも、殻を破って出て行く一枚になるんじゃないかと。
合田
“こういうのが欲しかった!”って感じですね。すごく自信があるので、これからどんなイベントやライヴがあっても、このアルバムの曲をやれば大丈夫っていうか。そういう手応えがありますね。
石川
ロックバンドが出すアルバムらしいアルバムができたと思いますね。セールス的なことを考えなければ、シングルなんて出さなくていいと思うんですよ(笑)。2年か、3年に1枚のペースでアルバムを作って、“これを聴けば、全てが分かるから”みたいな。そういうアルバムってカッコいいし、そういうものになったと思いますね。
アーティスト
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