上杉昇「自分の価値観が覆される不安」
上杉昇の12年ぶりとなるソロ・アルバム『The Mortal』が10月24日にリリースされた。
WANDS脱退後、上杉昇はal.ni.coでの活動を経て2002年からソロ活動をスタートし、2006年からはロックバンド“猫騙”とソロ活動を並行して行ってきた。元々はハードロックにルーツを持ち、その後はグランジ/オルタナを追求してきたボーカリストであるが、今作の音作りはバンド・サウンドではなくエレクトロニカだ。研ぎ澄まされたような緻密なサウンドと上杉の繊細かつエモーショナルな歌とのコンビネーションは、刺激的でありインパクトに満ちている。
そして、更なる衝撃を与えてくれるのが歌詞の世界観だ。太平洋戦争の時代を生きた人々をリスペクトした楽曲もある一方で、現代社会に対する疑問や怒りも詰め込まれている。そこに息づいているのは、日本人である誇りと矜持である。『The Mortal』は、自身の信念を貫くメッセージ色の強い歌詞を最新のサウンドに乗せた、攻めの一枚となった。