Notorious B.I.G.

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    Notorious B.I.G.ノトーリアス・ビー・アイ・ジー

    97年にノトーリアス・B.I.G.(以下ビギー)はソウル・トレイン・アワードに出席するため出向いた先、ロサンゼルスで銃撃され死亡(2パックとの抗争が原因ではないかと噂されている)。それは、まるで『レディ・トゥ・ダイ』(94年)、『ライフ・アフター・デス』(97年)とアルバム・タイトルに示された“死”というキーワードが予告していたかのように……。享年24歳、若すぎる死である。また、ビギーのキャリアにおいてなにかと話題に上っていたのが、2パックとの類似点——波乱に富んだサグド・アウトな生きざま、悲劇的な死(彼も96年に凶弾に倒れた。享年25歳)、希代のリリシスト、そして遺作が2枚組アルバムであったことなどがその類である。
    ビギーの人を威圧する巨体やギョロリとしたヤバイ目つきは、とても堅気ではない雰囲気を漂わしていた。さらに、粘りつくような声質のフロウから繰り出されるライムは、ストリート・ヴァイオレンスやセックスといったハードなテーマをリアルに描写していた。一方でサウンドは、パフ・ダディを始めとするさまざまな時流のプロデューサーを起用し、明快なソウル/ファンクのサンプルをふんだんに使用した親しみやすいものが中心。そのハードコアさとポップの折衷で、ビギーは莫大な数のコア/マス・ファンの獲得に成功したのである。
    R.ケリー、スーパー・キャット、果てはマイケル・ジャクソンに至るまで、ビッグ・アーティストからの客演依頼を呼び起こした才気豊かなビギー。また、“元妻”フェイス・エヴァンス、“愛人”リル・キム、“弟分グループ”ジュニア・マフィアといったメンツを熱心にフック・アップした、ボス的な存在としても多大なるリスペクトを受けていた。
    ヒップホップ・シーン全体が持つそんな彼へのリスペクトの念は、死後8年経過した05年現在においても、まったく消えることはない。いや、ヒップホップ・シーンが内包する人口が増えたためか、リスペクトの念はより濃密に、慈しむ声はますます大きくなってきているようにも思える。人々の心のなかで、ビギーはヴィヴィッドに生き続けているのだ。

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