GZA

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    GZAジザ

    ジザ a.k.a. ジニアスといえば驚異的なモンスター・グループ=ウータン・クランのメンバーとして名高い男だ。しかし、それ以前にも<COLD CHILLIN'>から『ワーズ・フロム・ザ・ジニアス』(90年)という本人名義のアルバムを1枚リリースしている。そこでは、ファンク・テイストのヒップホップ・トラックをバックに脱力かつ頭脳明晰(ジニアス)なリリックのラップを披露しているが、セールス的には恵まれなかった。なにせ派手さがない。ジザは“通ウケ”なリリシストなのである。
    その後、ウータン・クランのブレイクで一気に名を馳せたジザは、2ndソロ・アルバム『リキッド・スォーズ』(95年)を発表。ラップ面はグッと引き締まったハードボイルドな口調となり、さらにサウンド面で泥臭いソウル・ネタを随所に配した不穏な音を響かせることで、作品全体に硬派なムードを漂わせた。この『リキッド・スォーズ』はセールス的にも充分なヒットを記録。そして、3rd『ビニース・ザ・サーフィス』(99年)は前作の流れを引き継ぎつつも、よりビートのエッジを際立たせた楽曲群を展開。容赦なく脳髄を刺激する快作となっている。続く『レジェンド・オブ・リキッド・スォード』(02年)もすこぶる高水準の出来だ。——GZAはメソッド・マンやオール・ダーティ・バスタードと比べてもけしてキャラ立ちするタイプではないが、確かなラップ・スキルと男臭い雰囲気により、コアなヘッズから支持の厚い、信頼できる知性派MCである。