Corrupted

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    Corruptedコラプテッド

    1stからずっと想い出波止場でドラムを叩いてきたChewが率いるバンドなのだが、コラプテッドがダークなアンダーグラウンド・パンク/ハードコア・シーン中心に活動する今となっては、その経歴は興味深い。
    95年にリリースされた4枚目のオリジナル・アルバム『金星』を最後に(しかも、その作品の全曲で叩いていない)、Chewは想い出波止場を抜け、コラプテッドという"正真正銘のバンド"に専念。そもそもChewは、想い出波止場以外にも実に様々なユニットや"バンド"で活動してきた。90年代の前半にはEYE(ボアダムスほか)らと一緒に、コンクリート・オクトパスで激烈ハードコア/パンクもやっていた。そのメンバーでもあったタルボットも誘い、とにかくChewはコラプテッドに集中してバンドやることにしたのだ。
    『金星』が発売されたのと同じころ、コラプテッドの最初の音源が7"シングルの「Anciano」という形で、<JAPAN OVERSEAS>から出た。続いて96年の頭に、<TAG RAG>から10"EP『El Dios Queja』をリリースする。徹底してスローでヘヴィな曲、フィードバック/ノイズを絶妙にブレンドした音、ひりついた濁声というサウンドで、聴いた者すべてにコラプテッドの存在を印象付けた。また、モノクロの死体写真のアート・ワークも衝撃的だった。以降は必ずしも死体だけではないが、破壊された後や朽ち果てた後、または腐敗の状況の写真がジャケットによく使われる。このあたりがコラプテッドのコンセプトの一つと言えるだろう。
    また初期の方はスペイン語中心の歌詞だったが、日本語の歌詞も増えてきた。音的には、99年に<H.G. FACT>から出た2枚組の『Llenandose De Gusanos』では、現代音楽のようなピアノもフィーチャーし、1枚の方は静謐なアンビエント音楽だ。他のレコードではアップ・テンポの曲もある。とにかく最重要バンドなのは確かだ。 (行川和彦)