ポジティブなロックスピリッツと高い文学性を同居させたパティ・スミスのパンク期の名作『ラジオ・エチオピア』
代表的な女性ロックシンガーを挙げろと言えば、誰が思い浮かぶだろう。ただ単にシンガーとすると、すぐに幾つもの名前が羅列されるけれど、ロックとなると古いところでジャニス・ジョプリンや同じスタイルで人気があった英国のマギー・ベル、ジェファーソン・エアプレーンのグレース・スリック、新しいところでビョークとか…案外思いつかない? 吟味すればいろんな人がいるのだが、70年代以降、最も女性ロックシンガーとして、色褪せることなく存在感を示し続けているのはパティ・スミスではないだろうか、と。今回は彼女の名作『Radio Ethiopia (邦題:ラジオ・エチオピア)』('76)を取り上げつつ、リリースされた当時の状況、彼女の活動などを振り返ってみたいと思う。