宮脇康之

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    宮脇康之ミヤワキヤスユキ

    かつて"日本のファミリーの象徴"と謳われたTV番組『ケンちゃんシリーズ』。ケンちゃんこと宮脇康之を主人公に、ケーキ屋や寿司屋といったお店を舞台に繰り広げられるホーム・ドラマは、親子で見ることが出来る番組として10年以上に渡りテレビ界に君臨した。
    しかし、ブラウン管の中に描き出された家族団欒とは裏腹に、宮脇自身の家族は"両親の離婚" "兄は自殺未遂"という家庭崩壊状態。リアルタイムでは明かされなかったが、30年以上経って陽の目に晒された事実は、ケンちゃん世代の人間にとって充分過ぎるほど衝撃的であった。
    今、そんなエピソードを知りつつ、アルバム『ケンちゃんシリーズ主題歌』収録の「ケーキ屋ケンちゃん」を聴いてみる。ハッピー・ウォームなヴォ—ドヴィル調のナンバーであり、純粋無垢な魅力をたたえた宮脇の歌唱をメインに、ホーンやマンドリンを加えながらユーモラスに展開していく。——そして問題は、もうひとつの挿入歌「さみしいな」だ。美しいオルゴールの音色で始まるこの曲は、当時の宮脇を代弁するかのような孤独感に満ち溢れ、「長靴がボクの友達♪」という一節に思わず目頭が熱くなる。つまり、ジョン・レノンの悲痛な叫びが込められたザ・ビートルズの「ヘルプ」と同じような意味をもった楽曲なのだ。録音当時、宮脇はどんな想いで歌ったのだろうか……。

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