【鉄風東京 インタビュー】
自分たちのことを
好きでいてくれる人を
信じてやっている

L→R ふわふわのカニ(Dr)、大黒崚吾(Vo&Gu)、muku(Ba)、シマヌキ(Gu)

仙台を拠点に活動する4人組オルタナティブロックバンド・鉄風東京が、1stミニアルバム『From』をリリースした。コロナ禍もバンドを鍛え上げ、信じて恐れずにやる胆力を身に着けた彼ら。原点回帰したストレートなサウンドや新たな挑戦に挑んだ、最新作について大黒崚吾(Vo&Gu)に訊く!

届いてることを信じて、
恐れずにやる

先日、ライヴを観させてもらったんですけど、2年前に観た時と比べて、別のバンドくらいカッコ良かったです。いよいよコロナ禍も明けて、本領発揮という感もあると思うのですが、いかがですか?

ありがとうございます。2年前とは別モノっていうのは、コロナ禍でライヴハウスに行き始めた人が初めて声を出してもいい状況になったりする中、僕らもバンドとして成長できていて。ライヴを思いきり楽しめるようになったお客さんとの爆発力も生まれるし、今の状況をお互いすごく新鮮に感じていますね。仙台FLYING SONというホームにしているライヴハウスがあるんですが、コロナ前からいるお客さんと鉄風東京が好きになってライヴに来始めた10代や20代の子が、一緒になって楽しめているんです。コロナで新たにリセットされて、ライヴハウスが平等にみんなが楽しめる場所になったのを感じていて、演ってる側としてもすごく楽しいですね。コロナ禍が明けて良かったです。

明らかにライヴハウスに新しい渦が生まれている感じはありますよね。鉄風東京のライヴを観た時、こういうバンドに新たなシーンを引っ張ってほしいと思いました。

嬉しいです。僕らは同世代に比べたらオルタナティブっていうジャンルで、“オルタナティブ”って“代わりのもの”という意味があって、まさにポップミュージックとは逆のことをやっているんです。でも、そういうバンドが集まるライヴハウスから出てきた僕らが、最近は若いバンドの集まるサーキットとか出た時に、トリ前をやらせてもらったりするので、“そういう位置にいてくれるのが嬉しい”と言ってくれる人が多くて。

俺もまさにそれです(笑)。部屋でひとりで音楽を聴くのが当たり前だったコロナ禍で、内に向けた音楽が多かったのは当然だし、そういう音楽を求めてる人ももちろんいるけど、俺はやっぱり鉄風東京のような外に向けてぶっ放すバンドが好きで。2018年の結成だから、活動のほとんどが規制下だったし、我慢しなきゃいけないことやウズウズしてたところもあったでしょう?

高校卒業してからは、お客さんたちがはしゃげない中でやっていたんですが、自分らのライヴでダイブやモッシュが起きたり、グチャグチャになっているのを経験してれば、ウズウズしていたと思うんですけど、バンドとして成長すべきタイミングでのコロナ禍だったから、お客さんが感情を表に気持ちを出せなくても、それを信じ抜いてやらないといけないっていうか。届いてることを信じて、恐れずにやるって胆力が逆についたので、バンドの成長だけを見たらそんな良さもありました。

今の話を聞いて『From』に通づる部分があると思いました。『From』は自分たちのカッコ良いと思うこと、伝えたいことがしっかり届いていると信じきって、やり抜くという意識で作品でもありますよね?

僕らは“Born in 2002、From 仙台FLYING SON”と謳って、生まれと育ちを告げてからライヴをやっているんですよ。前回のシングル「BORN」(2022年10月発表)があって、そのつながりで“From”というタイトルにしたというのもあるんですが、自分たちにはそれがあって鉄風東京をやれているし、そんな鉄風東京をリスナーは信じてくれているんで。自分に自信はないですけど、自分たちのことを好きでいてくれる人を信じてやっています。家族でも、友達でも、憧れのバンドでも、何でもいいんですが、そういう人たちが自分の周りにいてくれるから、“おまえはすげぇよ!”とか言ってもらえている鉄風東京って、きっと間違いないと思うんです。そういう人たちのおかげで頑張っているという意味での“From”でもありますね。

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