【The Brow Beat インタビュー】
ひと筋縄じゃいかない
面白い作品ができて良かった

L→R HAKUEI、Ryuji

俳優の佐藤流司とPENICILLINのHAKUEIがタッグを組んだThe Brow Beatが通算4枚目のアルバム『404』をリリースした。世代も個性も違うふたりのツインヴォーカルが絶妙で、生み出された楽曲もジャンルレスでハイブリッドな刺激物。苦しみからも目を背けない人間賛歌でありたいというメッセージも刺さってくる。

やりたいことを信じてやるという、
その姿勢を思いっきり音で表現したい

The Brow Beatは2018年に始動し、2021年7月に「ハレヴタイ」でメジャーデビューしましたが、メジャーでの1stアルバム『404』が発売された今の心境は?

HAKUEI

結成してからの3年間はインディーズでやっていて、最初は手探り状態だったんですが、だんだんThe Brow Beatの個性がギラギラ出てきたので、そろそろもっとでかいエンジンでガーン!といきたくてメジャーデビューを決めたんですね。“これからさらにいくぜ!”っていうメッセージが伝わればいいかなって。「ハレヴタイ」ではタイアップ(アニメ『遊☆戯☆王SEVENS』オープニング主題歌)もいただいたんですが、メジャーに行ったから大衆向きになるということではなく、逆にエッジが効いたもの、媚びていないもの、自分たちがやりたいことを信じてやるという、その姿勢を思いっきり音で表現したいと思っています。むしろ、それしかやりたくないので。

エッジがあって媚びないロックというのは最初から思っていたことですか?

HAKUEI

当初から思ってはいましたけど、アルバムはさらに突き抜けたいという気持ちで作りました。曲数も今までより全然増えているし、曲の幅もジャンルも広がったし、ひと筋縄じゃいかない面白い作品ができて良かったと思っています。

Ryuji

心持ちも気合いもこのプロジェクトが発足されてから全然変わっていないんですけど、メジャーからアルバムを出すということで心機一転、リスタートの気持ちを持って、ここからさらにThe Brow Beatをたくさんの方に聴いてもらえるようになっていけたらいいなと思っています。曲をリリースするたびにイチからみたいな気持ちでやってはいるんですけど、何年経っても新人のような想いを忘れずフレッシュにやっていきたいです。

The Brow Beatは個性も世代も違うふたりのマッチングとバランスが刺激的なのですが、お互いに感じている面白さは?

HAKUEI

まずツインヴォーカルで曲を成立させるって、なかなか狙ってもできないと思うんですよね。僕らは極端に言うと男女のツインぐらい声質が違うと思うんです。切れ味が良いRyujiくんの歌を日本刀に例えたとしたら、自分の歌は鞭というか。ちょっと与えるダメージが違う(笑)。この組み合わせだから曲にコントラストがついて面白くなるんですよね。いいコンビだと思っています。

組み合わせの妙が一緒にやっていくうちに明確になっていった?

HAKUEI

そうですね。個性の違いを想定して曲を書くようになってきました。

Ryuji

高音域になると、だんだんHAKUEIさんと声質が似てくるんですよ。それが面白いと思っていて。

HAKUEI

言われてみたら、そうなんだね。

Ryuji

低音は全然違うのに高い音をハモると、どっちが歌っているのか分からなくなるぐらい似ているんですよ。

では、パートの歌い分けはどうやって決めているのですか?

Ryuji

歌詞ができてからですね。歌う直前に決めてます。

HAKUEI

曲調で決めてたりしますね。基本的には先にRyujiくんが歌って、僕に切り替わったり、曲によってはメインがRyujiくんで僕がDメロっぽいところや合いの手を入れる曲もあるし。

くっきりふたつに分けられるわけではないけれど、Ryujiさんが持っている闇の部分とHAKUEIさんの持つ光の部分のバランスも絶妙ですよね。世代や音楽のルーツが違うからこその面白さは?

HAKUEI

もちろん聴いているものは違ったりするんですけど、ロックのとらえ方って精神的な部分がでかいじゃないですか。その根底が一緒だから、あまりずれないですね。“この曲はこうしたらカッコ良い”っていう感覚が似ている。ジャンルの違いで言うと僕はヒップホップはあまり通ってないんですけど、Ryujiくんはラップが自然と入っているロックを聴いているので、今回のアルバムではそういうテイストをフィーチャーした曲も作ろうって。“この曲のサビは全部ラップにしちゃおう”とかね。僕だけだったら、やりたくてもやれないし、一緒にやることで自分も得意になってきたし。

刺激し合っているんですね。

Ryuji

個人的にはラップのほうがサラサラ言葉が出てくるんですよ。小節のケツが決まっているっていうのもあるし、言葉を詰め込める。

実際『404』はヒップホップのアプローチの曲が増えていますね。

HAKUEI

そうですね。ロックとの相性がいいと思うし、俳優をやっている強みだと思うんですけど、Ryujiくんは言葉に対する感情の込め方がミュージシャンとは違うんですよ。そこはすごいところで。

舞台やドラマで役になりきって台詞を言うことも役立っていますか?

Ryuji

そうですね。語りを入れる時も役者をやっていて良かったと思います。

アルバムはヘヴィロック、パンク、和の要素とエレクトロがブレンドされた曲などアプローチが多彩で、型にとらわれない自由さがあって、それがHAKUEIさんの言う突き抜けた感覚に通じていると感じました。それはアルバムのタイトルを“404”にしたことと関係がありますか?

HAKUEI

制作している中でRyujiくんから出てきた言葉なんですけど、今作で表現したかったことにぴったりだったので、僕はすぐ気に入りました。そういう意味では“404”というタイトルに引っ張られた部分もあったかもしれないですね。底が見えないものというか、得体の知れない作品を作りたかったので。

イントロダクション的な1曲目「NOT FOUND」から攻撃的でエモーショナルな「404」に移行しますよね。“404 not found”は検索したページが見つからない時に出てくる表示ですが。

Ryuji

“The Brow Beatって何なの?”って分からせたくないというか、底知れないバンドになりたいっていう想いと、誰もが明日はどうなるか分からないのが今の社会的状況なので、そのふたつの意味を込めてつけたんです。

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