L→R HAKUEI、Ryuji

L→R HAKUEI、Ryuji

【The Brow Beat インタビュー】
コンセプチュアルな楽しさ
みたいなものも感じてほしい

2018年に始動すると同時に大きな注目を集め、以降多くのリスナーから熱烈な支持を得続けているThe Brow Beat。そんな彼らがデビュー5周年を飾るシングル「ラブレター」を完成させた。“5”という数字にこだわって5形態でリリースされる同作は、The Brow Beatならではの豊かな発想力が発揮された注目のアイテムと言える。

5周年にちなんで
“5”という数字にこだわった

デビュー5周年を飾るシングル「ラブレター」が完成しましたね。

HAKUEI
今回のシングルは5周年にちなんで“5”という数字にこだわって、レコード会社からの提案もあって5タイプ同時リリースというかたちにしました。“5”という数字から“人間の五感”というワードが出てきて、5タイプそれぞれが視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚をコンセプトにしたパッケージになっています。

アイディアが豊富なThe Brow Beatらしいリリース形態と言えますね。その5種類の内容というのは?

HAKUEI
まずType-01は視覚がコンセプトで、目で楽しんでもらうということでブックレットをつけることにしました。他の4タイプは半折りのインナーなのかな? Type-01のブックレットは16ページ仕様のしっかりしたものなので楽しんでもらえると思います。
Ryuji
「ラブレター」のメインビジュアルの流れで撮った写真が使われていて、カッコ良い感じになっている…と思います(笑)。「ラブレター」のジャケットの世界観をより深く味わってもらえるので、ぜひ見てほしいですね。
HAKUEI
Type-02は聴覚ということで、hide with spread beaverさんの「ROCKET DIVE」をカバーさせていただきました。もともとRyujiくんはhideさんをリスペクトしていることを公言していて、「ROCKET DIVE」はThe Brow Beatのライヴで演奏したことがあるし、昨年hideさんの命日である5月2日にパシフィコ横浜で開催された『hide Memorial Day 2022 Sing along Live "Hi-Ho!"』にも参加させてもらいましたし、うちのバンドメンバーにCHIROLYNさんがいるというご縁もあって、「ROCKET DIVE」をカバーさせてもらいました。リリースされた当時、カッコ良過ぎて衝撃を受けた曲なので。
Ryuji
「ROCKET DIVE」はどう仕上げるかの塩梅が難しかったですね。オリジナルに寄せすぎてもそれはそれで失礼な気がするし、完全な自分にするのもリスペクトがないし。なので、どれくらいのパーセンテージで寄せるのかということをすごく考えましたね。

本当にhideさんを敬愛されていることが分かります。実際、今回のカバーはオリジナルの魅力を継承しつつ途中にレゲェパートを織り込むなどオリジナリティーも活かして絶妙のところに落とし込みましたね。

HAKUEI
オリジナルもリズムチェンジするパートがあって、そこのギャップを少し強調して裏のリズムを強調してレゲェっぽい感じにしました。そういうところのバランスも難しかったですね。あまりぶっ飛びすぎてもダメで、hideさんや楽曲に対する気持ちがしっかりある上で自分たちなりに昇華するというところに持っていきたかったんです。そういう意味では、いいところに着地できたんじゃないかな?

同感です。The Brow Beatバージョンの「ROCKET DIVE」はサウンドが21世紀ならではのメリハリの効いた音になっていて、オリジナルとはまた違ったカッコ良さがあります。

HAKUEI
ドラムとかはミックスのチェックで結構でかくしました。ビシビシくる音にしないとダメだと思って。当時の僕らが「ROCKET DIVE」を聴いた時に感じた衝撃を今のリスナーにも感じて欲しかったので派手さと勢い重視でいかせていただきました。

細やかなプロダクトが奏功して、hideさんの熱心なファンの方も喜ぶカバーになっていると思います。続いて、Type-03についてもお願いします。

HAKUEI
Type-03は触覚で、スタッフパスのレプリカが同封されています。
Ryuji
これは、いいアイディアだと思いましたね。
HAKUEI
The Brow Beatのツアーグッズで、パスが貼ってあるようなプリントがしてあるものがあったんですよ。それが好評だったというのもあって、今回はスタッフパスのレプリカを作ることにしました。実際にパスを持って、その手触りとかを感じてほしいですね。スタッフや関係者がライヴの時に貼っているパスと同じ素材で作られているので。スタッフではない方がスタッフパスに触れる機会ってなかなかないと思うので(笑)
Ryuji
そうですよね。だから、俺がリスナーだったら、これは絶対に欲しい。芸能人とか関係者になった気持ちを味わえるから(笑)。

バッグやギターケースなどに貼るのもいいですよね。Type-04は味覚コンセプトですが、『ブラック・ジャック』連載50周年記念のテーマソングとなる「紡ぐ」が収録されているんですよね。

HAKUEI
はい。これはですね…調味料の“さしすせそ”って、あるじゃないですか。“さ”が“砂糖”で、“し”が“塩”で、“す”は酢で、“せ”は“せいゆ=しょう油”と、ちょっと強引なんですよね。Type-04はそういうポジションです(笑)。
Ryuji
そう! ちょっとこじつけというか(笑)。
HAKUEI
『ブラック・ジャック』は漫画の神様の手塚治虫先生が手がけた名作中の名作で、先生の作品の中でも一番人気があると言っても過言ではないので、そんな名作の50周年を「紡ぐ」で味わってほしいという(笑)。
Ryuji
あははは!
HAKUEI
まさに“せいゆ”のポジションです(笑)。

な、なるほど(笑)。とはいえ、「紡ぐ」は本当にいい曲ですね。

Ryuji
メチャメチャいい。
HAKUEI
すごく、いい曲になりましたね。最初はもっとシンプルなアレンジで、それをちょっと劇伴っぽくしたいと思って、そういう方面専門のアレンジをされている中川幸太郎さんにお願いしたところ、すごくいい感じに仕上げてくれました。オーケストラとピアノだけで進んでいって、最後の大サビからバンドインしてくるというアレンジで、すごくドラマチックな曲になっています。
Ryuji
シンプルなかたちを聴いていた時に想定していた歌詞と今の歌詞は全然違っているんです。オーケストラが入った状態で聴かせてもらった時に…別にそれまでもサボっていたわけじゃないけど、火がついたというか。“これだけ2日くらい時間をもらっていいですか?”という話をして、歌詞をしっかり書きました。

死生観をテーマにした文学的な歌詞で深く心に染みます。それに、「紡ぐ」はおふたりのヴォーカルも本当に聴き応えがあります。

Ryuji
ありがとうございます。この曲の歌を録った時はエンジニアの人に言われたんですよね、最初のサビは抑えたほうがいいんじゃないかと。
HAKUEI
そう。僕はRyujiくんが普通に歌っていても全然カッコ良いと思ったんですけど、いつものエンジニアのソウスケくんが“いや、そこはアツくなるのはまだ早い”みたいな感じで言い始めて。それもありかなと思って、試しにRyujiくんが歌ったらすごく良くて! “ソウスケ、ナイス!”と思いました(笑)。

Ryujiさんの歌唱力や表現力の高さを改めて感じますし、HAKUEIさんが自分らしさを押し出すことで生まれているコントラストも聴きどころです。

HAKUEI
もうこのメロディーは“こう歌うしかない!”という感じでした。ニュアンスで持っていって、最後の大サビに橋渡しするわけじゃないですか。そこの渡し方がなかなか納得のいくものにならなくて、声の抜き方とかビブラートのかけ方、声の長さとかをいろいろ試して、ようやく“これだな”というところにいけたんですよ。この曲、そういうところも印象に残っていますね。

最後のType-05は嗅覚ということで、香り付きトレカが同封されています。

Ryuji
匂いは俺が選びました。何系の香りにするのかと訊かれて何種類かピックアップしたんですけど、すごい量のサンプルがあって決めるのは難しかったですね。2、3回嗅ぐと鼻が利かなくなってしまうんですよ。
HAKUEI
最終的にどんな香りを選んだかは、ここでは種明かししません。分からなくなっちゃったわけではないですよ(笑)。それぞれが嗅覚を駆使して、Ryujiくんがチョイスした香りをしっかりと味わってほしいです。

Ryujiさんを一番身近に感じられるのはType-05のような気もします。それにしても5タイプ全部が魅力的で、コンプリートしたくなりますね。

HAKUEI
そう言ってもらえると嬉しいです。5タイプの中から好きなのを選んでもらってもいいし、全部揃えてもらってもいいですし。今はCDが複数バージョン出るのはもう当たり前の時代なので、ただありきたりに出すのも面白くないというか。コンセプチュアルな楽しさも感じてもらえればと思います。
L→R HAKUEI、Ryuji
The Brow Beat
Ryuji
HAKUEI
シングル「ラブレター」【Type-01】(CD)
シングル「ラブレター」【Type-02】(CD)
シングル「ラブレター」【Type-03】(CD)
シングル「ラブレター」【Type-04】(CD)
シングル「ラブレター」【Type-05】(CD)

OKMusic編集部

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