『RIDE ON THE EDGE』で理解する
GRANRODEOの正確性と親しみやすさ
GRANRODEOが約3年振りとなるニューアルバムを3月23日にリリースした。通算9枚目となる今作のタイトルは『Question』。アニメ『最遊記RELOAD -ZEROIN-』OP「カミモホトケモ」、アニメ『範馬刃牙』OP「Treasure Pleasure」などのシングル曲など全12曲を収録しており、今や日本を代表するバンドのひとつと言っていいGRANRODEOの最新型が詰まったアルバムだ。今回はそんなGRANRODEOの1stアルバムから、彼らの本質に迫った。
アニソンユニットならではの職人仕事
当コラムでは多用している“デビューアルバムにはそのアーティストの全てがある”という仮説に基づいて、このGRANRODEOの名盤紹介でも彼らの1stアルバム『RIDE ON THE EDGE』を取り上げる。これは彼らに対する最大級の誉め言葉と受け取ってほしいのだけれど、本作を聴いて、日本製の工業製品のような正確性と親しみやすさを同居させたバンドという印象を抱いた。その日本製工業製品も“いい時期の”との注釈を付けなければならないのが現代日本の哀しいところだが、それはさておき、個人的に思ったところをいくつか挙げていきたい。
まず、外形的なことから言えば、シングル曲が4つ収録されている。“それがどうした!?”と呆れ顔の方もいらっしゃるかもしれないが、これは結構、特徴的なのことなのではないかと思う。2ndシングル「Infinite Love」、3rd「DECADENCE」、4th「慟哭ノ雨」、そして、1st「Go For It!」も“style EDGE”となってリメイクされている。タイトル曲だけはない。そのカップリングも、本作発表時点のものはすべて収録されている。上記に沿って順に紹介すれば、「紫炎」、「ケンゼンな本能」、「シルエット」、そして「mistake」。生真面目というか何というか、すごくちゃんとしている気がする。GRANRODEOはそののち2012年に『GRANRODEO B‐side Collection "W"』という文字通りシングルのB面=カップリングだけを集めたアルバムを発表している。それならば何も先発のアルバムにカップリング曲を入れなくともよかったのではないかと思ったりもするのだけれど、こういうところに彼らのユーザーフレンドリーさが表れていたのではないかと思うのだ。
あと、これらのシングル曲はすべてタイアップが付いたものである。これは忘れてはならない。1stがアニメ『IGPX』のOP、2ndと4thがアニメ『恋する天使アンジェリーク〜心のめざめる時〜』のOP、3rdがOVA『鬼公子炎魔』のEDである。GRANRODEOが今もそのカテゴリで語られることが多いかどうかは分からないが、出自がアニメソング、所謂“アニソン”であったことがこの1stアルバムでうかがい知ることができる。シングル曲以外でも、M4「未完成のGUILTY “style GR”」とM11「LAST SMILE “style GR”」とがゲームから派生したアニメの関連楽曲のリメイクで、M15「Once&Forever」もゲーム関連曲と、アニソンバンドの面目躍如といった感じである。自らが手掛けた楽曲をひとつもスポイルしないというか、こうしてアルバムに入れ込む辺り、すべての楽曲にもちゃんと敬意を表している印象も受ける。
ついで…言っては何だが、アニソンであることに関してひとつ述べさせてもらうと、その楽曲からも生真面目というか、冒頭で述べた正確性といったものを感じたところである。それはタイムである。1番終わりまで、概ね1分半以内。シングル表題作に限って言えば、ほとんど1分20秒以内に収められている。アニメの場合、OPとEDで3分という不文律があるので(不文律ではなく、業界ルールかもしれない)、そこにきっちりと併せているのはお見事である。80秒程度に収めるだけでも大変だろうに、A、B、サビと所謂Jポップの公式(?)に合わせているのは職人的仕事っぷりと言ってよかろう。すべての作曲を手掛けるe-ZUKA(Gu)=飯塚昌明の手腕の確かさは本作から十二分に確認できる。
職人的仕事っぷりはKISHOW(Vo)=谷山紀章が作る歌詞も同様だ。全部が全部そうだとは言わないけれど、アニメのOP、EDとなるとその歌詞は作品の内容に沿ったものであることがほとんどだろう。本作収録のシングル表題作に関して言えば、明らかに作品由来であることが分かる。それだけでなく、この歌詞から作品の内容を想像することすらできるのではないかと思う。M2「慟哭ノ雨」とM3「Infinite Love」は恋愛ものであってその成就をゴールとするものであることは伝わるし、壮大な世界観であるような気がする。M12「DECADENCE」はタイトル通り、退廃的な匂いがプンプンしていて、《グロテスクな化粧》《スカルフェイス》《悪魔のベッドシーン》《媚薬にまみれ》《堕落にまみれ》などなど、それらしいワードが並んでいる。もちろん作品のストーリーをそのままトレースしたものではないだろうが、その作風を直感的に感じさせるものではあろう。筆者はどちらのアニメも見ていないので間違っていたら素直に謝るしかないけれど、軽くググったところでは、バトルものにラブソングを当てているとか、コメディにダークな内容を添えたとかではないようなので、それほど大きな認識違いはないだろう。世界観を大きく損ねず歌詞を作る、しかも、1stアルバムからそれをやっているのだから、谷山紀章の作詞家としての手腕も確かなものである。(ちなみに、M6「Go For It! “style EDGE”」はmavieが作詞を担当しており、本作で唯一、谷山紀章の作詞ではない)
まず、外形的なことから言えば、シングル曲が4つ収録されている。“それがどうした!?”と呆れ顔の方もいらっしゃるかもしれないが、これは結構、特徴的なのことなのではないかと思う。2ndシングル「Infinite Love」、3rd「DECADENCE」、4th「慟哭ノ雨」、そして、1st「Go For It!」も“style EDGE”となってリメイクされている。タイトル曲だけはない。そのカップリングも、本作発表時点のものはすべて収録されている。上記に沿って順に紹介すれば、「紫炎」、「ケンゼンな本能」、「シルエット」、そして「mistake」。生真面目というか何というか、すごくちゃんとしている気がする。GRANRODEOはそののち2012年に『GRANRODEO B‐side Collection "W"』という文字通りシングルのB面=カップリングだけを集めたアルバムを発表している。それならば何も先発のアルバムにカップリング曲を入れなくともよかったのではないかと思ったりもするのだけれど、こういうところに彼らのユーザーフレンドリーさが表れていたのではないかと思うのだ。
あと、これらのシングル曲はすべてタイアップが付いたものである。これは忘れてはならない。1stがアニメ『IGPX』のOP、2ndと4thがアニメ『恋する天使アンジェリーク〜心のめざめる時〜』のOP、3rdがOVA『鬼公子炎魔』のEDである。GRANRODEOが今もそのカテゴリで語られることが多いかどうかは分からないが、出自がアニメソング、所謂“アニソン”であったことがこの1stアルバムでうかがい知ることができる。シングル曲以外でも、M4「未完成のGUILTY “style GR”」とM11「LAST SMILE “style GR”」とがゲームから派生したアニメの関連楽曲のリメイクで、M15「Once&Forever」もゲーム関連曲と、アニソンバンドの面目躍如といった感じである。自らが手掛けた楽曲をひとつもスポイルしないというか、こうしてアルバムに入れ込む辺り、すべての楽曲にもちゃんと敬意を表している印象も受ける。
ついで…言っては何だが、アニソンであることに関してひとつ述べさせてもらうと、その楽曲からも生真面目というか、冒頭で述べた正確性といったものを感じたところである。それはタイムである。1番終わりまで、概ね1分半以内。シングル表題作に限って言えば、ほとんど1分20秒以内に収められている。アニメの場合、OPとEDで3分という不文律があるので(不文律ではなく、業界ルールかもしれない)、そこにきっちりと併せているのはお見事である。80秒程度に収めるだけでも大変だろうに、A、B、サビと所謂Jポップの公式(?)に合わせているのは職人的仕事っぷりと言ってよかろう。すべての作曲を手掛けるe-ZUKA(Gu)=飯塚昌明の手腕の確かさは本作から十二分に確認できる。
職人的仕事っぷりはKISHOW(Vo)=谷山紀章が作る歌詞も同様だ。全部が全部そうだとは言わないけれど、アニメのOP、EDとなるとその歌詞は作品の内容に沿ったものであることがほとんどだろう。本作収録のシングル表題作に関して言えば、明らかに作品由来であることが分かる。それだけでなく、この歌詞から作品の内容を想像することすらできるのではないかと思う。M2「慟哭ノ雨」とM3「Infinite Love」は恋愛ものであってその成就をゴールとするものであることは伝わるし、壮大な世界観であるような気がする。M12「DECADENCE」はタイトル通り、退廃的な匂いがプンプンしていて、《グロテスクな化粧》《スカルフェイス》《悪魔のベッドシーン》《媚薬にまみれ》《堕落にまみれ》などなど、それらしいワードが並んでいる。もちろん作品のストーリーをそのままトレースしたものではないだろうが、その作風を直感的に感じさせるものではあろう。筆者はどちらのアニメも見ていないので間違っていたら素直に謝るしかないけれど、軽くググったところでは、バトルものにラブソングを当てているとか、コメディにダークな内容を添えたとかではないようなので、それほど大きな認識違いはないだろう。世界観を大きく損ねず歌詞を作る、しかも、1stアルバムからそれをやっているのだから、谷山紀章の作詞家としての手腕も確かなものである。(ちなみに、M6「Go For It! “style EDGE”」はmavieが作詞を担当しており、本作で唯一、谷山紀章の作詞ではない)
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