【Wienners ライヴレポート】
『BATTLE AND UNITY TOUR 2022』
2022年3月17日 at 恵比寿LIQUIDROOM
2022年3月17日 at 恵比寿LIQUIDROOM(Wienners)
アルバム『BURST POP ISLAND』で再メジャーデビューを果たしたのが2020年5月。1回目の緊急事態宣言が発出されていた時である。アルバム発売記念ライヴを生配信で行なったものの、本来であればリリースから間髪入れずに行なわれるはずだった全国ツアー『BURST POP ISLAND TOUR 2020』も延期という憂き目に遭ってしまう。この間にはライヴハウスなどへの支援としてイベント出演や、玉屋2060%(Vo&Gu)が主導してコンピレーションアルバムも制作している。
これだけに留まらない。2021年8月に新曲「GOD SAVE THE MUSIC」を配信。それに先駆けて『GOD SAVE THE MUSIC TOUR 2021』を敢行し、全国のライヴハウスを廻った。そして同年10月、フジテレビ系TVアニメ『デジモンゴーストゲーム』のオープニングテーマとなった配信シングル「FACTION」を発表。“音源を発表したらツアーは当然!”と東名阪クアトロツアー『Welcome to the FACTION』も決行する。この間、フェスやイベントにも出演した他、年末には『Wienners感謝祭2021〜年末特番!!2時間SP〜』も実施している。
年が明けて2022年となってからも、2月27日に所属するレーベルのイベント『No Big Deal NIGHT ~No Big Deal Records 10th Anniversary Party~』に参加したと思ったら、その翌月には、このツーマンでのツアー『BATTLE AND UNITY TOUR 2022』と、“コロナ禍、何するものぞ”と言わんばかりに、獅子奮迅、八面六臂の活躍を見せている。彼らの頑張りは、もはや日本の音楽シーンの一筋の希望と言っていいのではないだろうか。音楽を止めない。ライヴシーンを閉ざさない。ノンストップで有言実行している、その姿勢はもっと称えられていいと思う。そこはしっかりと強調しておきたいし、多くの人にも認識していただきたく、前置きが大分長くなったが、記させてもらった。
撮影:かい/取材:帆苅智之
■ オメでたい頭でなにより ■
そのオープニングは「乾杯トゥモロー」。初めて彼らのライヴを観た人も半ば強引に乗せてしまうような親しみやすさを持ちながら、しっかりラウドと、瞬間的にフロアーを“オメでた”カラーに染める。続いて「あれこれそれどれ」→「哀紫電一閃」と荒々しいナンバーで攻め立て、硬派な音像をしっかりと見せつける辺りに、真剣勝負ならではの鋭さのようなものを感じさせる。かと思えば、その後のMCでは笑いを交えて、緊張と緩和を巧みに操り続けるのだから、やはりこのバンド、只者ではない。赤飯(Vo)がシャウトと女声を交互に使い分けるという、そのポップさからそうは見えないけれど、実は相当に高度なナンバー「推しごとメモリアル」では間奏でWiennersからアサミサエ(Vo&Key)がステージへ。壇上でエアギターを披露するとともに、オメでたのメンバーとダブルピースを掲げながら踊る。文字通りの結束、団結で、対バン形式ならではのスペシャルなパフォーマンスだ。
そして、Wiennersのナンバーから「FAR EAST DISCO」をカバー。アサミサエのパートも赤飯が声色を変えることでひとりで努めたことに何よりも驚いたし、のちにアサミサエが嫉妬していたことにも十分に頷ける芸達者ぶりには感服するばかりであった。その後、ファンキーな「生霊の盆踊り」から「スーパー銭湯〜オメの湯〜」→「オメでたい頭でなにより」で締め括り、その場を盛り上げることの関しては当代屈指の実力の持ち主と言えるオメでたが、如何なくその実力を発揮して先行は終了した。
■ Wienners ■
この日、とりわけ印象的に思ったのは、KOZOの叩くスネアドラムの抜けの良さだ。MCを挟み、「THE BATTLE」に続いて演奏された「ELECTRIC FOR YOU」でそれを強く感じた。ギターが和音のストロークではなくアルペジオになる時、サウンド全体の密集感が薄れ、ややもすると散漫な印象を受けることがなくはない。だが、そこで力強くスパッと鳴らされるスネアが緊張感を持続させて、楽曲のテンションを下げないのだ。支え合っている…という言い方はどこか牧歌的で好みではないけれど、そうして保管し合う様子もバンドらしくて良かった。バンドとは(Wiennersであれば)4人が奏でる音の集合体であり、そのどれかひとつ欠けてもそのバンドの音になることはないーーそれをまざまざと見せつけられた格好である。
それは続く「ANIMALS」でさらにはっきりと示されていたように思う。「ANIMALS」は音源では3分と決して長いとは言えないナンバーで、その中でリズムパターンもコロコロと変わるし、メロディーもさまざまに展開する(Wiennersらしい楽曲であると言ってしまえばそうな)のだが、それゆえに素人が考えても4つの音を合わせるのは至難の業ではないかと思ってしまう。だが、これがバシッバシッとよく合うのだ。簡単に言えば、メンバー4人の呼吸がぴったりと合っている。聴いているほうとしてはとにかく気持ちが良い。
戦いと結束の全国ツアーは見事に大団円を迎えたが、Wiennersの進撃はこれだけに留まらない。5月から再びツアーをスタートすることがこの日、告げられた。『春雷行脚』がそれだ。“日本”をテーマにした内容になるという。京都のライヴハウス、磔磔でライヴをしてその和風なテイストに感銘を受けて以来、温めてきたものだとか。コンセプチュアルなツアーは昨年末の『Welcome to the FACTION』以来となるが、今後はこういうスタイルもまたWiennersの武器として定着していくかもしれない。いずれにしても、2022年、まだまだ彼らは我々を楽しませてくれることは間違いなさそうだ。
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