【vistlip インタビュー】
現段階でやれることを、
『M.E.T.A』でやりきった感覚がある

L→R Yuh(Gu)、瑠伊(Ba)、Tohya(Dr)、海(Gu)、智(Vo)

結成15周年を迎えてさらなる進化を遂げたvistlpより、3年4カ月振りとなるアルバムが到着! “M.E.T.A”と名づけられた同作はより洗練感や大人っぽさを増した楽曲群と、それを最良のかたちで表現する演奏力が相まって良質な一作に仕上がっている。智(Vo)と海(Gu)に『M.E.T.A』について語ってもらった。

大人っぽさとかセクシーさを
出していきたいという話をしていた

新しいアルバムの制作に入る前、どんなことを考えていましたか?

今回はとりあえず最初にコンセプトとタイトルを決めなければいけなくて、そこで自分が思い描いていたものが“META”というワードだったんです。昔からよく使われている言葉ではあるけど、今の時代の中で話題として一番盛り上がっていて、これからの世の中はそこに向かっていくと思った時に、たぶん今しかタイトルに使えないと思ったんです。そもそも3年振りですし、未来に向かっていくためのアルバムになるだろうというのもあって、“超越する”という意味も込めて“META”というタイトルにさせていただきました。

“META”という言葉は、後ろに何をつけるかで意味が変わってくるじゃないですか。どの方向なのかは、智から“超越する”ということをしっかりとした意味として持たせたいという話があって…もともとはいくつか候補があったんだよね?

そう。アルバムの2曲目に入っている“METAFICTION”というのも候補のひとつだったけど、それだと意味が全然変わってしまうんですよね。楽曲のコンセプトとしてはばっちりだったけど、アルバムを象徴する言葉ではなかった。そんなふうにいろいろ考えた結果、他の言葉はつけずに“META”でいくことにしたんです。

それは賛成だったけど、僕は“META”という言葉は響きが可愛いと思ったんです。意味を知らない人が聞いたら、可愛い感じをイメージするだろうなと。だったら、そうじゃない読み方にしたいと思って“M.E.T.A”にしたんです。アルバムタイトルとしては“エム・イー・ティー・エー”と読んで。そうやって、固いのか柔らかいのか分からない印象を与えたかった。コンセプトの内容はいつも智に任せていて、僕的には言葉の響きとか、なんとなく聞いた時の印象が大事なんです。それに、今回のビジュアルイメージをどういう方向にしようかと思って、3種類くらい自分の中で考えていたんですね。智が目指しているコンセプトはちょうどそのうちのひとつに当てはまるから、ビジュアルもそれでいこうと。

個人的には“META 〇〇”ではなく“META”と言いきったタイトルに力強さを感じました。タイトルを決めた時点でアルバムの音楽的な方向性なども見えていましたか?

見えていました。実は楽曲は一年半くらいかけて作ってきたんです。もちろん最近作った新作も入っていますが、ずっと曲作りをしていたから曲はたくさんあって、その中からアルバムに入れたい曲を選んでいきました。ピックアップした曲たちを聴いた時に、今までvistlipがやってきたものを超えられる楽曲が集まったことを感じて、“META”というタイトルが合うと思ったんです。

確かにvistlipの新たな魅力が詰め込まれたアルバムに仕上がっています。では、アルバムに収録する曲を決めていく中でキーになった曲は?

僕の中では「BGM「METAFICTION」」と「"TOXIC"」、それに海が持ってきた「無音」ですね。この辺りの曲は新しさを感じてもらえると思う。ただ、「"TOXIC"」はすごく古い曲で、一年前くらいに瑠伊からデモが届いたんです。その頃はvistlipももう15周年だから、大人っぽさとかセクシーさを出していきたいという話をしていたんですよ。今だからこそそういうものをいいかたちで表現できると思うからやっていきたいと。そうしたら瑠伊が見事にかたちにしてくれて、これはアルバムに入ることになるだろうなと思って一年間取っておきました(笑)。

「"TOXIC"」のデモが瑠伊から送られてきた時は、“どうしたらこういう曲を作れるんだろう?”と思いましたね。彼は“あぁ、瑠伊らしいね”という曲ではなくて、“どこからこういう要素を持ってきたんだろう?”というものを投げてくることが多いんですよ。この曲が届いた時はまさにそうで、“最近の瑠伊はどんな音楽を聴いているんだ?”と思った記憶がありますね。ただ、僕はどんな音楽も聴くタイプだから違和感はなかったし、これまでのvistlipも大人な要素がまったくなかったわけでもないんですよ。でも、今まではそっちの方向に持っていくと、ライヴがいまいち見えない曲になっていたんです。お洒落な曲にはなったけど、ライヴでは普通に演奏して、みんなも普通に聴いているというか。今回は「BGM「METAFICTION」」とか「"TOXIC"」に限らず全体に言えることだけど、大人っぽかったり、洗練感のあるものこそライヴが見える曲が多いと感じているんです。そこに関しては曲を作った瑠伊とTohyaはすごいな…みたいな(笑)。“こういうものをよくちゃんとかたちにできるなぁ”と思いながらデモを聴いていました。

作曲スキルの高さに加えて、こういうテイストの楽曲をいいかたちで表現できることもvistlipの強みと言えます。

確かに曲の噛み砕きで苦労した曲はなかったです。デモを聴いて“どういうギターを弾けばいいのか分からない”というようなことはなかった…今回、今までで一番なかったですね。音の面でもイメージしている音が出なくて苦労したことはあったけど、どういう音が合うかというのはすぐに分かったし。瑠伊は最初からすごく特殊なコード感を持ってきて、今まではそれをきれいに出そうとしてライヴが見えない感じになっていたんですよ。今回はコード感をどこまで消しても大丈夫なのかということを見極めました。ギター録りの時に毎回瑠伊が来てくれて、レコーディングの現場で最終的なアレンジも含めて完成させることが多かったので、それがいい方向に出たことは感じています。

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