山田将司(THE BACK HORN)
- Key Person 第21回 -
山田将司(THE BACK HORN)
切なさや痛みを共鳴できたから
ここまでこれた
自分に似合わないほうを
やってみたほうが面白そう
山田さんが音楽を好きになったきっかけは何でしたか?
家にCASIOのキーボードがあって、キーは半音上げくらいで合っていなかったんですけど、3、4歳の時からそれをいじりながらCMの曲を耳コピしていたんです。小学生になってからは、3つ上の姉と一緒に歌番組を観たり、チェッカーズを聴いたり、光GENJIを踊りながら歌っていたので、それが入口ですね。中学生くらいから尾崎 豊さんを聴き始めて、ヴォーカリストに意識がいくようになりました。尾崎さんの曲は何でも好きでしたね。中1くらいからアコースティックギターを始めて、尾崎さんの曲を1オクターブくらい低い声で、歌本を見ながら部屋でボソボソと弾いていました。
人前で歌ったりはしました?
もともとは人前で歌うなんて恥ずかしくてできない人間だったんですけど、カラオケが流行り始めた時に友達に無理やり連れて行かれ、そこで歌って褒められたのが嬉しくて、だんだん抵抗がなくなっていったんです。そこそこうまいって言われていたので、それを聞いた隣の席のクラスメイトがドラムをやってるからってバンドに誘ってくれて、そこで初めてバンドを組みました。
高校卒業後に上京し、音楽の専門学校へ進学されましたが、音楽の道に進むことはすんなり決まったんですか?
当時からデッサンするのも好きで、放課後に美術室で絵を描いたりもしていたので、その二択でした。どっちをやりたいか考えた時に、絵はひとりで描いているイメージが強かったんですよ。俺は人と話すのも苦手なタイプで、ひとりでいることが多かったので絵のほうが向いていると思ったんですが、音楽には華々しいイメージがあったから、あえて自分に似合わないほうをやってみたほうが面白そうだと思って決めました。
THE BACK HORNの結成は専門学校在学時の1998年ですが、そこで出会った菅波さんと松田さんにはどんな第一印象がありましたか?
出会ったのは栄純(菅波)のほうが先で、入学した翌日の授業だったんですよ。英語の授業でギター科とヴォーカル科の人が一列ずつに並んで、英語で3分間ずつ自己紹介をするって時に、俺の目の前に栄純が来て、バリバリの福島弁で“音楽は何を聴いてんの?”と訊いてきたんです(笑)。
“英語で”と言われているのに(笑)。
そう。その時は特にBLANKEY JET CITYを聴いていたので、“ブランキーとか…”と答えたら、栄純が“うすっ。じゃあ、バンドやっぺ。あとでベランダ来て。じゃあね”って(笑)。だから、第一印象は訛りすぎの田舎者で、着ている服もヒョウ柄のハーフパンツにシースルーの迷彩柄のベストだったし、お調子者だなと思いましたね。で、マツ(松田晋二の愛称)はチャラ男でした。ガングロメッシュでスラックスを履いて、革靴を履いて、当時流行っていたムラサキスポーツの袋からスティックが出ているって感じの(笑)。
そんな個性の強いおふたりとバンドを組むことになったと。
もう巻き込まれた感じでしたね。マツと当時のベースは栄純が誘っていたので、“まず曲を合わせてみよう”とブランキーの「ガソリンの揺れかた」をやって。まぁ、みんな下手くそでしたけどね。そのセッションが終わったあとにマツが栄純に“お前はメンバーを集めたんだから曲を作ってこいよ”って言ったら、一週間後くらいに「冬のミルク」を作ってきて、そこから曲を作っていくうちにバンド名を決めて…最初は“魚雷”がいいんじゃないかって(笑)。でも、あとからダサいと思って“THE BACK HORN”になりました。外のライヴハウスでもライヴやるようになって、気づいたらバンドとして活動していましたね。
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