【cali≠gari インタビュー】
こんなご時世なのに
コール&レスポンスが
必要な曲ばっかり

L→R 村井研次郎(Ba)、石井秀仁(Vo&Gu)、桜井 青(Gu&Vo)

2月に先行リリースしたニュウ・イーピー『15予告版』を経て、待望のメジャーフルアルバム『15』が完成した。コロナ禍の閉塞ムードに風穴を開けるようなエネルギー、cali≠gariらしいエッジと独創性を失わない作品が生まれた背景やリード曲にまつわる意外なエピソードをメンバーに語ってもらった。

こんな時代だからエネルギーがあって
パワーのある爆発的なものを作ろうと

『15』にはえも言われぬエネルギーを感じました。コロナ禍で思うような活動ができない中、どうモチベーションを保ち、どんな想いがアルバムを作らせたんでしょうか?

桜井

一曲一曲に言いたいことはあっても、アルバム全体に言葉にできるようなメッセージ性があるわけではないんですよ。ただ、“こんな時代だからエネルギーがあってパワーのある爆発的なものを作ろう”っていうのは共通意識としてあったんです。そういう漠然としたテーマがあった上で各自が曲を作っていきましたね。

そう思われたのはいつ頃だったんですか?

桜井

それこそ緊急事態宣言が最初に発令された頃からそう思っていましたよ。その結果、今回のアルバムってこんなご時世なのにコール&レスポンスが必要な曲ばっかりだったりするんですよ。

確かに。ライヴで盛り上がりそうな曲が多いですよね。

桜井

みんなが声を出したくなるような曲を率先して作った感じです(笑)。個人的な想いですけど、願かけみたいでいいかなって。こういう曲たちを作ることによって、またコロナ禍前のように騒げるよう思いを馳せるというか。cali≠gariはだいたいいつもシニカルだったり悲観的だったりするけど、今作ではストレートな想いや願いみたいなものが強いですね。

最近はチル系の癒しの音楽が主流になりつつありますが、やっぱりcali≠gariは尖っていると思いましたよ。

桜井

ありがとうございます。

石井

今まではみんな、自由に人と食事に行ったり、酒を飲んだりしていたと思うんですけど、それができなくなると、そのありがたみを感じるじゃないですか。晴れてそういうことができたら、より楽しく感じたり、美味しく感じたりすると思うんですよ。そんな気持ちを曲に反映させたかったんです。

解き放たれた時の想いを想像しながら?

石井

でも、今までのcali≠gariがやっていなかったことをやったというわけでもないんですけどね。「一つのメルヘン」は今までにないタイプの曲ではありますけど、よりパワフルにエネルギッシュに!というのは意識しました。

村井さんはいかがですか?

村井

ステイホームの時間が長いので、どのバンドも曲を作る時間はあったと思うし、ライヴができるできないに限らず、こういう時こそ音源をリリースするべきというのはバンドの意志としてありましたね。みなさんも音楽を聴いたり、本を読んだりする時間が増えていると思うので。

では、cali≠gariはコロナ禍でナーバスになるのではなく、むしろ創作意欲が高まった感じだったんでしょうか?

桜井

綺麗事を言うのは好きじゃないので、ご飯を食べるためにどうしたらいいかを必死で考えました(笑)。コロナ禍でもっとも進んだのは配信だと思うし、プラットフォーム自体が進化したので、うちらも昨年はそのおかげで乗り越えられましたね。昨年の7月に初めて無観客ライヴをしたんですが、最初は勝手が分からないし、自分的には“あぁ、今までこんなにお客さんに助けられてたんだ”と実感して、昔を思い出しましたよね。cali≠gariを始めた頃は3〜4人しか客がいなくて…でも、やっぱり少しでもいると違うんですよ。誰もいなくて何もない空間に向かってライヴをするのは初めてだったので、なかなかつらいものがありました。そのあとすぐかな? 配信もしつつ有観客でのライヴにも取り組んでいきました。振り返ってみても、有観客でライヴをするのはなかなか風当たりも強めだったんですけど、そこは細心の注意を払い、半分のキャパで赤字なのにさらに制限して。そこまでしてでも、ライヴをしないとダメな気がしたんです。

自粛ムードの中、有観客でライヴをやらないとダメだと思われたのはなぜですか?

桜井

“うちら、何やってるんだ? バンドマンはライヴやらないとおしまいだろう!”って。音楽業界がお通夜みたいな雰囲気だったし、限られた中、手の届く範囲の人たちに楽しさを届けたいと思ったんですよね。もちろん行きたくても行けない事情がある方もいらっしゃるのは分かっていたんですが。3.11の時、シンディ・ローパーのライヴに行ったんですよ。あの頃って凄まじい自粛ムードだったじゃないですか。個人的にも3.11でいろいろ重なってしまって。照明もセットも何もかも簡素なライヴだったんですけど、シンディが口火を切ってくれたあのライヴにすごく救われたんですよ。その時に改めて思ったんですよね、音楽には力があるんだなと。

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