L→R 村井研次郎(Ba)、石井秀仁(Vo&Gu)、桜井 青(Gu&Vo)

L→R 村井研次郎(Ba)、石井秀仁(Vo&Gu)、桜井 青(Gu&Vo)

【cali≠gari インタビュー】
こんなご時世なのに
コール&レスポンスが
必要な曲ばっかり

青さんの曲をいじらせてほしいと
頼んだのは初めてのことだった

有観客のライヴをやり続けたことがアルバムの熱量につながっているんでしょうか?

桜井
それは間違いなくありますね。

先ほど話に出た「一つのメルヘン」はスパニッシュなギターで始まり、村井さんの饒舌なベースと石井さんの歌が絡んでいく曲で展開がとても刺激的でした。

桜井
実はもともとはボツ曲だったんですよ。ゴミ箱に捨てたものを石井さんが拾ってきたみたいな。
石井
曲ができた時は自信たっぷりだったのに…
桜井
アルバムに入れるとエネルギッシュというより雄大さとか野生の風みたいなのを感じて、なんか違うと自分でお蔵入りにしたんです。
石井
確かライヴ会場でiPadで聴かせてくれたんですよ。“カッコ良い曲だな”って印象に残っていたんですけど、選曲会の段階になったら外れていて、“アルバムに合わないから”って言うから“じゃあ、俺の好きなようにいじらせて”と。最初に聴いた時から今までにない曲だと思っていたのでイメージも湧いていたんですよ。今まで青さんが作った曲をいじらせてほしいって言ったことなかったから“どう思うんだろう?”と楽しみだったんですけど、概ね好評で、結果的に“これをリード曲にしましょう!”となったんです。
桜井
その時点でリードになるような曲がなかったんですよ(笑)。

艶やかさもあるし、エキゾティックなムードもある曲ですからね。

桜井
最初はBIG COUNTRY風というかスコティッシュで作っていたんですけど、いろいろとつけ足していったら突然スパニッシュになって、“じゃあ、面白いから入れちゃえ!”と。仮タイトルが“野性”だったんですよ。草原に男が立っていて、太陽に向かって行く…『母を訪ねて三千里』的なイメージ(笑)。ジプシー感ある“男の旅立ち”だったのが「一つのメルヘン」になって返ってきたっていう(笑)。中原中也の原詩の主題を感じますね。

「一つのメルヘン」は桜井さんと石井さんの共作ですが、アルバムで各自が書かれた曲について新鮮に感じたこと、印象的な曲というのは?

桜井
毎回、石井さんが出す曲はすごいんですが、両極端なところで言うと2曲目の「ハイ!」は石井さんからしてみたら5分ぐらいで作れる曲なんですよね。
石井
そんなことないよ(笑)。
桜井
なのに、あれだけキャッチーな曲に仕上げるっていう。対して9曲目の「100年の終わりかけ」は実は10年以上前に発表されていたんです。

そうなんですか!?

桜井
cali≠gariが復活した時に「9 -踏- 編」と「9 スクールゾーン 編」(どちらも2009年7月発表)というシングルを出したんですけど、そこに収録されているネタで作った曲なんです。僕は「PPPH」というアイドル用語を入れた曲を一発録りして、石井さんは「画竜点睛を欠いた曲」というデヴィッド・ボウイみたいな曲を作ったんですけど、まさかその曲が完成形になって返ってくるとは思ってなかったですね。
石井
そうそう。当時、そういうボーナストラック的な曲を入れてほしいっていう周囲からのリクエストがあったんだよね。それをふと思い出して、きちんとしたかたちでちょっとグッとくるような曲として歌詞も含めて完成させられたら、それはそれでcali≠gariらしいと思って。

「100年の終わりかけ」には《孤独を共に撫で合おう》という言葉が出てきますが、今の時代だから書いた歌詞でもありますか?

石井
そういうことは昔から思っているんですが、こんなことが起こらなかったら言わなかったんじゃないかな? 書きやすい環境になったのもあるし、年齢もあるかもしれないですけど。
村井
最初に聴いた時は当時の曲だって気づかなかったです。単純に“いい曲だな”ってすごく新鮮でした。あとで聴き比べたんですけど、別の曲みたいに聴こえましたね。この曲に限らず、石井さんの曲は演奏し甲斐があります。すごいと思いますね。

アッパーな「ハイ!」や“ケセラセラ”から来ている「ケセ」は聴いていてテンションもアガるし、気持ちが楽になります。

石井
それは良かったです。

桜井さんの楽曲に関してはどんなことを感じられましたか?

石井
「四畳半漂流記」は誰が聴いても青さんらしい曲で、お客さんもこういう曲調を待っているんだろうなって。
桜井
久しくこういう曲は作ってなかったですね。長いことそういうアプローチから外れた曲を作ってたというか。「ブルーフィルム」(2000年7月発表のアルバム『ブルーフィルム』収録曲)や「グッド・バイ」(1998年12 月発売のアルバム『第4実験室』収録曲)があるからその手の曲はもういらないだろうと自分に言い聞かせてたんですよ。でも、やっぱ分かりやすい曲ってパワーあるじゃないですか。で、気づけば“まだああいう曲を作れるのかな?”と思って無我夢中で書いたんですよね。
石井
パワフルかつポップでいいですよね。「光と影 -His Master’sVoice-」はレコーディングの最初の頃からあった曲なんですが、最後の最後まで歌詞ができなかったこともあって歌い終わった時に達成感がありましたね。夜中の3時すぎぐらいに青さんの歌詞を待ちながら、ようやくスタジオでできたところから歌って朝の9時半までレコーディングしていたので、“俺がやってやったぞ!”みたいな。

アンカーとしての達成感?

石井
ですね(笑)。そんなふうにはいつも思わないんですけど。

桜井さんの歌詞を朝まで待っている中、《また陽はのぼる》という歌詞が届くってドラマチックですね。

石井
歌詞に感動する余裕はなかったですけど(笑)、曲が曲なので気持ちは入りましたね。
村井
青さんの曲はやり慣れていますけど、ライヴが始まって幾度となく演奏すると“あぁ、cali≠gariの曲だな”と染みてくる感じになるんじゃないかと。この数年、一緒にスタジオに入って“せーの”で合わせて曲を作っていないというのもあるんですけどね。「四畳半漂流記」は青さんらしい曲ですけど、まだベースを弾いていて身体に染みついていないので、これからが楽しみですし、今はどの曲も新鮮すぎちゃう感覚ですね。

『15 予告版』に入っていたエッジがあって痛快な「腐った檸檬」や「そして誰もいなくなった」も収録されていますが、曲によってロックンロールの王道のフレーズが入っていたり、今作に入れたかったエッセンスがあるんじゃないかとも感じたんですが。

桜井
今作というよりも僕はいつでも忘れ去られたフレーズを引っ張り出してきて、“これ、どこかで聴いたことある!?”みたいな要素をわざと入れることが多いですね。自分の曲に限らず、石井さんや村井さんの曲でも何も言わず勝手に偉大なる先人たちのオマージュを弾いてくスタイルなので。
村井
それはみんなそうなんですよ。
桜井
うん。こっそり自己満でやっている(笑)。

桜井さんが今作でトライしたことというのは?

桜井
「裂け目の眼」のHR的キメのフレーズや「嗚呼劇的」のエッジを連想しちゃう空間系のギターはこれまでほとんど弾いていなかったですね。聴くのは好きだけど、やらなかったことをあえて今回はやってみました。初期パンクみたいにただひたすらガーッ!とコードを掻き鳴らす体育会系なプレイが自分のスタイルなんですが、今作はギタリストがよくやることを普通にやってみたっていう。

それでいて情景が浮かぶフレーズをサラッと弾いてしまうのがすごいですね。「嗚呼劇的」のギターなんてキラキラしているし。

桜井
キラキラしていますね。ただ、ライヴではそれを再現しても面白くないので、CDも出てないのにすでにライヴでしか聴けないアレンジになってます(笑)。あとは、基本的にギターのトラックを増やすのが好きじゃないんですよ。ツインギターのバンドじゃないんだから1本でいいじゃん!っていうのが自分の矜恃なんで。だから、できる限りライヴでひとりで再現できるアレンジになっています。

村井さんの曲についてはいかがですか?

石井
「裂け目の眼」は僕との共作なんですが、研次郎くんの曲は面白い作り方が多いんですよ。cali≠gari用にアレンジする前提のベーシックトラックが届いて…分かりやすく言うと、メタルやハードロックだったらパンキッシュに変換する作業をするんです。
桜井
研次郎くんの曲だと、「ニンフォマニアック」が今までとアプローチが違ったので大変でしたね。話に出たようにいつもは石井さんのフィルターを通したものでくるんですけど、研次郎くんオリジナルのデモだったので、いきなりGenesisが来たなって。

Genesisですか!?

桜井
広がり方とかブリッジの展開の仕方にピーター・ガブリエル感があって、照明まで思い浮かんだ上で“ギターは何を入れようかな?”って。でも、自分らしくないギターを弾くのは嫌だし、そもそも弾けない(笑)。できる範囲で面白いことをやろうと。この曲はギタリストとして楽しい曲でした。

聴いていてもワクワクする曲調でした。

石井
そうですね。歌はそんなに悩むことはなかったんですけど、これまで青さんの曲は青さんが歌詞を書いて、研次郎くんの曲は自分か青さんが書いていたので、研次郎くん作詞作曲はメロディーを含めて新鮮でしたね。歌もイメージできたし、分かりやすかったし…青さんの曲はほとんど苦手なタイプなんですよ(笑)。あっ、嫌いっていう意味じゃないですよ。“これを上手に歌える人いるのかな?”と思うぐらい難しいんです。

タイトルは女性のセクシュアリティがテーマだった映画『ニンフォマニアック』に着想を得たんですか?

村井
タイトルは青さんにつけてもらいました。
桜井
たまたま最近、ラース・フォン・トリアー監督の『ニンフォマニアック』を観たんですよ。このタイトルだったら歌詞の意味合いにもぴったりハマるし、語感もいいんじゃないかなって。
村井
とはいえ、Genesisと言われて嬉しいですね。そのあたりを咀嚼して作った曲なので。
桜井
改めてこういう要素をどんどん入れていったら面白いと思いましたね。キラキラした展開のフュージョンって最近聴かないし、とても新鮮に感じたので。フュージョン独特のキメを崩す作業とか特に楽しかったです。
村井
僕も好きなジャンルだし、秀仁くんも得意だし、青さんもこういうギター弾けちゃうし、いい感じでcali≠gariに落とし込めるかなと思って。

新たな共通項ですね。ちなみに夜明けをイメージさせるアートワークにした理由というのは?

桜井
「一つのメルヘン」を作った時に自分の中に“野性”というイメージがあったので、最初から写真の構想はあって…本当は超絶に緑が広がっている牧草地で撮りたかったんですよ。

3人のポージングも美しいし、演劇のポスターみたいですよね。

桜井
NHKの大河ドラマみたいですよね。『三匹の夜明け』みたいな(笑)。
全員
あははは。

きっと冒頭におっしゃってくれた、願をかけたアルバムというところにもつながっているんですよね。

桜井
はい。夜明けを感じてくれて良かったです。

取材:山本弘子

アルバム『15』2021年12月1日発売 Victor Records
    • 【初回限定盤】(CD+DVD)
    • VIZL-1979
    • ¥6,050(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • VICL-65593
    • ¥3,850(税込)

ライヴ情報

『cali≠gari TOUR 15』
第一部:「ジュウゴじゃな〜い(^_^)」
※アルバム『15』の世界観を再現するライヴです。
※ライヴハウス会場の各公演第1部の公演となります。
第二部:「ジュウゴじゃないじゃない(T_T)」
※アルバム『15』の曲をメインにしつつ既存曲も満遍なく演奏するバラエティに富んだライヴです(MC有)
※ライヴハウス会場の各公演第2部の公演となります。

10/23(土) 大阪・梅田バナナホール
第一部:OPEN 15:00 / START 15:30
第二部:OPEN 17:30 / START 18:00
10/31(日) 群馬・高崎clubFLEEZ
第一部:OPEN 15:00 / START 15:30
第二部:OPEN 17:30 / START 18:00
11/06(土) 神奈川・横浜BAY HALL
第一部:OPEN 15:00 / START 15:30
第二部:OPEN 17:30 / START 18:00
11/12(金) 埼玉・HEAVEN’S ROCK さいたま新都心
第一部:OPEN 15:00 / START 15:30
第二部:OPEN 17:30 / START 18:00
11/14(日) 静岡・LIVE ROXY SHIZUOKA
第一部:OPEN 15:00 / START 15:30
第二部:OPEN 17:30 / START 18:00

『cali≠gari TOUR 15 FINAL -ジュウゴノヨル…高音域がカリ≠ガリする。-』
12/04(土) 東京・LINE CUBE SHIBUYA
第二部:OPEN 16:45 / START 17:30
※アルバム『15』全曲含め、最新のcali≠gariをお届けするライヴです。

cali≠gari プロフィール

カリガリ:1993 年結成。現在のメンバーは石井秀仁(Vo)、桜井青(Gu)、村井研次郎(Ba)。メジャーデビューは2002 年、ビクター内のガイレコーズより。約1 年後の2003 年、日比谷野外音楽堂でのワンマンライブをもって無期限活動休止。その後、2009 年に消費期限付き(期間限定)で復活。これまたビクター内のフライングスターレコーズよりリリース。この復活期は、シングル・アルバムセールスともに自己ベストを更新。ワンマンライブも日本武道館を完売するなど、復活前のスケールを大きく超えることになった。期限付きでありながら活動は続き、2012 年に「活動休止の休止」を宣言。しかし『ただいまインディーズぅ?さよなら、ビクターぁ?』と銘打ったツアーを行い、活動をメジャーからインディーズに移す。以降、ドラムが抜け現体制になり今にいたる。メジャー復帰10 周年の2019 年、7 年ぶり3 度目となるビクター復帰。2021 年、ニューアルバム『15』のリリースが予定されている。cali≠gari オフィシャルHP

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