ReoNaが歌った森の中の孤独と希望 『
Songful days SEASON2 with "ReoNa"
powered by SPICE』ライブレポート
「ぽつり、ぽつり、頬を水滴が打つ――」
深い森、明るい空、大地を潤す雨、清いせせらぎ。ため息の出るほど美しい映像に重なる、声優・伊東健人の落ち着いたナレーションが物語の始まりを告げる。ゆっくりとシーンが変わり、ステージにたたずむReoNaが歌い出す。ロングスカートのワンピース、白のレザージャケット。1曲目は「雨に唄えば」だ。シンプルなアコースティックギターの爪弾きと、悲しい別れに傷ついた心の乱れを正確に写し取る、小刻みに震える歌声が生々しい。続けて、ムソルグスキー「展覧会の絵」から「プロムナード」の勇壮なメロディを引用した「step, step」と、“ここに生きるReason、それはあなたでした”と、エモーションいっぱいに歌い上げる「Rea(s)oN」。バックを固めるのは、アコースティックギターとピアノと弦楽四重奏。端正な演奏をバックに、空を舞うような伸びやかなハイトーンが美しい。
撮影:アンザイミキ
雨に煙る森の情景と、ストーリーの続きを伝えるナレーションを受けて、再びReoNaが歌いだす。ステージセットは、枯れ木を思わせる柱に絡まる緑、そしてあたりを照らすいくつものランタン。タンゴのリズムとジプシージャズ風のイメージを散りばめた「ないない」から、弦楽器、ピアノ、ギターが風を切って疾走する「ANIMA」へ。ReoNaは激しいブレスを入れながら、リズムに飛び乗ってぐんぐんスピードを上げる。サウンドはクラシックだが、まっすぐに心に届く激情はまぎれもなくロック。ゾクゾクするほどの迫力だ。
撮影:アンザイミキ
映像の中では雨がやみ、怖いほどに美しい満月が昇った。9月に出たばかりの最新曲「生命線」は、静寂と激情、ロックとエレクトロ、暗闇への憧れと希望への破壊衝動など、ReoNaのエッセンスをすべて詰め込んだ1曲。ゾクリと脈を打つ命の線、ナイフでなぞって伸ばしてしまえたら。クラシカルな弦楽四重奏とピアノ中心の、そぎ落としたアレンジだからこそ、普段は心の奥底にしまった感情がむき出しになる。あえて光量を落とした暗いステージで、目の表情や手のしぐさだけで感情を伝える、劇的パフォーマンスに息を呑む。アカペラで歌い出した「葬送の儀」の、永遠の別れの向こう側にある、永遠の平穏を夢見る歌詞と、慟哭するほどに激しい歌が胸を打つ。そして歌うたびに、きっと強くなる。
撮影:アンザイミキ
「旅は続きます。貴方の、そして私の――」
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